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論点設定について考える

こんにちは!今回は、「論点設定について考える」というテーマでお話しします。戦略コンサルティングの仕事では、論点設定が極めて重要な役割を果たします。これは日常生活の中でも実践されていることであり、具体的な例を交えながらその重要性と方法について深掘りしてみましょう。

日常における論点設定

論点設定は、実は日々の日常生活でも行われています。例えば、気になるあの子とディナーの約束をする時、相手が気に入るお店を予約したいと考えるとします。この時、どのような問いを投げかけるでしょうか?

  • 「何が食べたい?」とオープンに聞く方法

  • 「この前行ったイタリアンが美味しかったからどうかな?」と具体的に提案する方法

どちらも論点設定の一例です。前者はオープンな質問で、相手の好みを広く聞き出そうとします。後者は具体的な提案をすることで、選択肢を絞り込みます。
コンサルタントとしては、経営陣に対して芯を食うような問いを立ててプロジェクトを進める必要があります。

論点設定の難しさ

論点設定は一見シンプルに見えますが、実際には奥が深いテーマです。

  • 抽象的すぎる論点:これは「浅い」と見なされる可能性があります。例えば、「どうすれば売上を増やせますか?」という問いは広すぎて具体的な行動に結びつきにくいです。

  • 部分的すぎる論点:これは「木を見て森を見ず」という状況に陥る可能性があります。例えば、「この製品の広告キャンペーンをどのメディアで行うべきか?」という問いは細かすぎて全体像を見失う恐れがあります。

従って、コンサルタントの技量が問われます。プロジェクト全体の論点設計(=「大論点」)は比較的コンサルタントの中でもシニアなパートナー/ディレクターが策定し、これを分解して小さな論点(=「小論点」)に落とし込むのはメンバーの役割となります。

良い論点とは?

良い論点とは、クライアントの課題意識に応えるための問いを設定することが極めて重要です。

  1. 原則クライアントの"課題意識"に対し、重要な決断を迫ることが必要

    • 自分勝手な論点設定はダメ:従い自分が面白いと思う独りよがりな論点設定ではダメで、クライアントの真の課題にフォーカスすることが重要です

    • クライアントが白黒つけたい争点が重要な論点:議論の余地の無い論点は価値が無く、クライアントの中で議論になりうる(争点、意見が割れる)ポイントを解くべき論点としてセットすべきです

  2. 解像度の高い問いを設定する

    • 課題の真因に近づく問いにする:表層的でクライアントが言っていることをそのままセットしても価値は薄く、クライアントの想いを踏まえた具体性をもった論点をセットすることが求められます

    • 具体性を持った問いの例:例えば、「ROEを上げるべきか?」といった自明かつ表面的な論点は意味がありません。
      「ROEを上げるために、xx事業から今年度中に撤退すべきか?」や「ROEを上げる為に、銀行よりxx億円の借入を行い、新規領域でM&Aを推進すべきか?」という具体的な問いが必要です。

  3. 検証可能な問いを設定する

    • 仮説を立てて検証できる問いを設定する:神学論争になるような答えのない問いは生産性が無く、仮説が立ち、検証できるような答えが出る問いが必要になります。

  4. 実行に繋がり、インパクトのある問いを設定する

    • 問いに対する答えがクライアントの打ち手に繋がる:論点に対する答えが具体的な行動計画や戦略に結びつき、実際にインパクトを生むことが求められます。

論点設定の実践

実際のプロジェクトでは、クライアントから「こういう問題を解決したい」という依頼が来ます。その際、コンサルタントは経営陣との対話を通じて、本当に解くべき問題を明確にします。このプロセスで実際に議論を行いながら、本質的に解くべき論点を見定め、時には議論の中で、「本来、こういう問いを解いていくべきではないか?」との議論を経営陣と行うことも多いです。

まとめ

論点設定は戦略コンサルティングにおいて非常に重要な役割を果たします。日常生活の中で行っている問いの投げかけ方を、経営陣に対しても的確に行うことで、プロジェクトの成功に繋げることができます。抽象的すぎず具体的すぎず、インパクトがあり、検証可能で実行に繋がる問いを設定することが、優れた戦略コンサルタントの価値を最大限に引き出す鍵となります。

これからも、皆さんにとって役立つ情報を発信していきますので、どうぞお楽しみに。

BizInvestor

論点思考に参考になる書籍も掲載しておきます


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