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きたもっくに学ぶ「地域の未来」と「豊かさマーケット」

有限会社きたもっく。群馬県は北軽井沢を中心にした、半径35kmの「環浅間エリア」で躍動する地域未来創造企業。

POTLUCKとしての移動型イベント「POTLUCK CARAVAN」にて初往訪したら、学びと豊かさに満ち溢れた体験が待っていた。

地域未来創造企業きたもっく

オートキャンプ場「北軽井沢スウィートグラス」を祖業として立ち上がったきたもっくは、単なるレジャー産業ではなく、「地域未来創造企業」として、①フィールド事業、②地域資源活用事業に取り組む。

①フィールド事業

きたもっくは、祖業であるオートキャンプ場「北軽井沢スウィートグラス」に加え、宿泊型の企業研修施設「TAKIVIVA」を展開する。関係ない2つ思えるが、通底しているのは「地域資源の価値化」だ。即ち、キャンプ場は「家族再生の場作り事業」であり、企業研修は「組織を再生する場作り事業」である。同じ家にいながらも「仕事をする親とネトフリを見る子供」という関係は、キャンプ場で共にテントを張る事で再構築される。厳しい上司と怯えた部下という関係も共にカレーを作り焚き火を囲えば距離感が変わる。

言うのは簡単だが、それを真に可能にさせる「空気感」が、ここにはある。

心地よい秋空の下で地域の未来を語る。

②地域資源活用事業

きたもっくは、半径35kmの環浅間エリアにおいて、生産から消費まで一貫して行う自給経済圏を構築する。シンプルに言うと「一次産業と二次産業」。山から原木を採取し、薪の製造業や製材を通して「木を全て使い切る」。また養蜂業、蜂蜜の加工生産などをと行う。徹底されているのが、「自然と共にある」こと。例えば養蜂業では、蜂に無理を強いず健康に冬を越せるために、車で標高の低い場所へ巣箱を下ろしているという。そしてそれにより、季節・標高により味わいの違う蜂蜜が採取できる事に気がついたとか。「森を痛める」と言う理由だけでアドベンチャー事業から撤退したと言う話にも、驚いた。(事業としてもうかっていたのに。)

標高・季節により色も味も異なる蜂蜜たち

「豊かさ」とは何か

POTLUCK CARAVAN参加者で、焚き火を囲いながら「豊かさとは何か」の議論に及んだ。

空気感の良い場所には、心地の良い人が集まる

「ハードとソフト」とはよく言うが、それよりも、その場に流れる「空気感」が大事だという。デベロッパーとして、ハッとさせられた。思うに、「空気感」を作り出すのは、その場に関わる人々が醸し出す雰囲気の集合体なのだろうと感じた。

正直、写真だけ見ると「綺麗なキャンプ場だな」「おしゃれなコテージだな」としか思わないかもしれない。ただ、場作りをする人の徹底した自然への向き合い方や、受付や案内をしてくれる方の言葉選びの端々が「空気感」を作り出しているのだろう。

だから、単に「キャンプ場運営のテクニックをコピペしたい」という人には到底真似できないのだろうし、都市の企業とは異なる時間をかけて築き上げた参入障壁とも言えるのだろうと感じた。(うまく言語化出来ないが、、)

見るからに良い空気感


自然と向き合い見つける「きれいな心」と、地域の新産業

抽象的な豊かさの議論は怪しさを伴う事が多い中、きたもっくの捉える「きれいな心」の解像度は非常に高くて驚いた。

VUCAの時代、「豊かさ(流行り言葉でいうwell-being)」の発見と創造は、マーケットになり得るが、それを掴みとり新産業を興すには、豊かさの本質に迫り、自己の内面に迫る「感性」が必要であるという。

そして、その感性は、人と自然の関係、即ち、「大きな自然の中のごく一部の自分」という存在に気づく中に生まれる世界観であると言う。

環浅間エリアは、過去2000年で3回、全てを無にする浅間山の大噴火を経験している。そんな自然の中では、豊かさに迫るための感性が自ずと身につくのだろうし、一般化すると、ここにこれからの地域の在り方、戦い方のヒントが隠されている気がした。

焚き火は最強のコミュニケーションツール

人間が人間足り得るのは、火があったからであり、火を使えたから。そんな人間の原点でもある「火」を、東京の生活では目にすることはなく、むしろ危険の対象として忌避される。

しかし焚き火を囲むと、「組織人」から解放され、「大自然の中の1人の人間」に戻れる気がする。それによりフラットなコミュニケーションが生まれ心理的安全性も高まるのだろう。

また、対人コミュニケーションだけでなく、自己とも向き合い=内省においても、非常に効果的だと感じる。(正に今焚き火を目の前にこの文章を書いている。↓)

朝の焚き火。

最後に

本当はもっと色々書こうと思ったが、ここで筆を止める。この場で体験したことを言語化して共有したいと思ったが、地域での体験は言語化すればするほど一般化し陳腐化してしまうなと、いつも思う。

という事で、豊かさを感じる、考えさせられる北軽井沢スウィートグラスやTAKIVIVA、是非体験してほしい。し、また来たい。

薪の焚べ方も初めて教わった

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