Liquidity and Solvency 1: Liquidityについて

企業の流動性を測定する重要な指標として「流動比率(Current Ratio)」と「当座比率(Quick Ratio)」があります。これらの比率は、企業が短期的な負債をどの程度迅速に支払うことができるかを示すもので、特に資金繰りが厳しい状況にある企業や、投資の検討をする際に重要な情報を提供します。今回の投稿では、これら二つの比率について、具体的な例を挙げながらわかりやすく説明します。

流動比率(Current Ratio)

流動比率は、企業が所有する流動資産が流動負債に対してどれだけのカバー能力を持っているかを示す指標です。計算式は以下の通りです:

流動資産には現金、市場に出せばすぐに現金化可能な証券、売掛金、在庫などが含まれます。流動負債は1年以内に支払う必要がある借入金、買掛金、未払い金などです。

架空の企業A社の場合、以下のような財務状況を想定します:

  • 流動資産: 1,000万円

  • 流動負債: 500万円

この場合、流動比率は以下のように計算できます:

これは、A社が流動負債の2倍の流動資産を持っており、短期的な負債に対して十分な支払い能力があることを示しています。

当座比率(Quick Ratio)

当座比率は、より厳格な流動性の指標であり、在庫を除いた流動資産が流動負債に対してどれだけのカバー能力を持っているかを示します。在庫を除く理由は、在庫がすぐに現金化できない、または価値が変動しやすいためです。計算式は以下の通りです:

先ほどのA社の例で、在庫が300万円だった場合、当座比率は以下のようになります:

  • 流動資産(在庫を除く): 1,000万円 - 300万円 = 700万円

  • 流動負債: 500万円


この比率は、A社が在庫を除いた流動資産で流動負債の1.4倍をカバーしていることを示しており、流動比率に比べるとやや厳しいものの、依然として健全な水準です。

まとめ

流動比率と当座比率は、特に流動性のリスクが懸念される企業や、経済状況が不安定な時期において非常に重要です。これ

らの比率を用いて企業の財務健全性を評価することで、投資判断に役立つ洞察を得ることができます。次回は、これらの比率が示す警告信号や、企業が直面する潜在的な問題について詳しく解説します。

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