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【セブン銀行】なぜ大幅減益なのか?「決算分析22年第3Q」

セブン銀行の決算のポイントを記事にしました。大幅減益の要因を分析しています。

決算ハイライト

  • 経常収益(売上高):1031億9900万円(-0.7%)

  • 経常利益:235億200万円(-18.1%)

  • 純利益:159億6800万円(-25.3%)

*括弧内は前年同期比

と減収減益でした。
こちらの要因について、セブン銀行は、決算短信の中で下記のように発表しました。

ATM総利用件数は増加したものの、銀行向けの新たなATM受入手数料体系の導入、第4世代ATMを含む将来へ向けた 成長投資・費用増加を主因に、当第3四半期連結累計期間の当社連結業績は、経常収益103,199百万円、経常利益 23,502百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益15,968百万円となりました。

出所:セブン銀行『2022年3月期 第3四半期決算短信』

ATMの利用件数が、増加する一方で、手数料単価の下落が、売上高と利益の減少に繋がっていることが伺えます。
また、成長投資のための費用負担が重く、利益を圧縮しているようです。

ATM総利用件数が増加しても売上が増えないワケ

出所:セブン銀行『2022年3月期第3四半期決算説明資料』

ATM総利用件数は、686百万件と、前年同期の624百万円から9.9%増加しました。
それに対して、ATM受け入れ手数料単価は、109.4円と前年同期の123.1円から11.1%の減少でした。

総利用件数の増加は、単価の低い取引が増加していことが要因と考えられます。
つまり、ATM の利用件数が増加しても、単価が上がらない限りは、売上の増加に繋がりません。
セブン銀行は、2022年期の計画で単価を110.9円を予定しています。そちらを上回らない限り、売上増加は見込め無さそうです。

先行投資は報われるのか?

出所:セブン銀行『2022年3月期第3四半期決算説明資料』

セブン銀行は、新世代のATM導入への費用負担で利益が圧縮されています。
同社は、新機種で生み出すサービスをATM+(プラス)と位置づけ、ATMの付加価値を高めたいと考えているようです。
そんな新機種でのサービスに期待が高まります。

なお、現金プラットフォームから「ATM+(プラス)」への進化を加速させるため、ATM本人確認サービス の実証実験(第2弾)を2021年11月29日より開始しております。第2弾の実施では、金融機関での手続きに係るご 利用のみならず、中古品売買時の本人確認登録やホテルの事前チェックイン受付等、非金融企業での活用方法につ いて検証を図っており、第1弾と合わせて現在6社と実証実験中であります。

出所:セブン銀行『2022年3月期 第3四半期決算短信』

ATMでの本人確認サービスをさまざまな業種に利用したいそうです。

しかし、口座開設や、アプリの利用で本人確認をしたことがある人なら、
『本人確認はスマホで十分』だと考えます。

もちろん、スマホを持っていない方や、スマホ操作に不慣れな方には、ATMで本人確認をするという選択肢があるのは、嬉しいかもしれません。

とはいえ、ATMで本人確認すると、お金の引き出しなどよりも時間がかかるので、他のATM利用者の妨げになるような気がします。

どうしても『本人確認はスマホで十分』という考えが拭えません。
どうなるかは、進捗を見守りたいところです。

まとめ

セブン銀行の今期の決算は、減収減益でした。
決算短信には直接的な記述はありませんが、手数料単価の下落が響いているようです。
また、新機種の入れ替えにより、費用が増加しているようです。
その新機種での、ATMで本人確認がどのように収益化できるかが利益増加の鍵となりそうです。

それでは、良い投資を。

サポーターになっていただけたら、とてもありがたいです。