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「香薬師像の右手」を読了

調べたら八年ほど前に刊行されたご本だった。
2024年一月に法廷にて沙汰が下された仏像の盗難及び返却に関しての記事を読んでいて、こちらの既刊に行き当たり図書館で探してもらった。
(本年一月の対馬仏像盗難に関しては別途ネットで調べて頂きたい)

さて、こちらの御本は奈良新薬師寺の香薬師如来立像の三度に渡る盗難事件に関してのドキュメンタリーだ。
仏像の盗難は少なくない。仏像を盗んでどうするのか?と首を傾げる方も居られるだろうが、古物商に売るのだ。美術品としてそれなりの価格で取引されるケースがあるから盗んで売る。これは最近始まった事ではなく、明治以降よりドカドカ盗られてバンバン売られている。海を渡ってしまうケースもある。凄くある!

新薬師寺の香薬師如来立像も、盗まれてしまった仏像である。しかも3回もだ。そして2度までは戻されたが、三度目から今現在も戻されていない。誰が盗み、どうなったのか杳として知れないのだ。
著者の貴田正子さんはこの行方不明の仏像を平成六年よりずっと調査し追跡し、この本にまとめられた。

柔らかな文章で記される本文の読み易さと、ミステリー小説より更に複雑に入り組んだ事実の興味深さ、そして掲載される資料の仔細さで、一気に最後まで読み切ってしまった。

何がミステリーなのか?と欠片くらい気になられたなら一読をお勧めする。
また、良く出来た創作なのでは?と思われたなら、以下より文化庁のHPへ行かれ確認をお願いしたい。

香薬師像の右手 失われたみほとけの行方 https://amzn.asia/d/i3JKSCC

面白い本に出会うと誰かに勧めたくなるものだ。