覚え書き ⑨ 足

 久々に Iちゃんとお電話。
 2.3年前に足を挫いて、松葉杖だった話を聞く。そんなことあったっけ?全く記憶になくて、我ながらびっくり。聞いてないことはないと思うのだけど、すっかり記憶から抹消されていた。
 この捻挫の症状として、土踏まずがなくなってしまうらしい。リハビリをして、アーチが少し戻りましたね、という段階で完治と判断されて、通院終了。でも、まだ痛みがあるそう。完治っていわれて、かなり経つのに。そして、左右の足の幅が、ぱっと見でわかるくらい違うらしい。土踏まずが戻りきってないらしく、いかにも扁平足ってこんな感じ、って足の形になっているらしい。
 Iちゃんは、小学校からの友人で、今は住んでるところが離れてしまっているため、もっぱら電話の会話のみ。それもあってIちゃんを思い浮かべるとき、その姿はカモシカのように引き締まった、バネがありながら華奢で、凛とした顔つきの美少女だ。
 わたしの母親は Iちゃんの足はバレリーナのトゥシューズのような足、と言っていた。その一方で、実の娘の足は、草鞋足*、とケロケロ笑っていた。
 そんなことがずっと心に引っかかって、Iちゃんの足の話題が頭からすっぽ抜けたわけではないとは思うが。

 母は、子供っぽいところのある人で、自分の足も良い形、と自画自賛していた。わたしは、似たくないところばかりが遺伝する、と、げんなりした。もしかすると、父親に似たパーツを娘に見出すことが、母は嬉しかったのかもしれない。


*草鞋のような平たい形をした足

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