覚え書き(13)名前
雪の前に慌ててバラを剪定する。
軍手をしているのだけど、やはり人(友人。天才。)に聞いた安全手袋とやらをワークマンで買えばよかったか。棘、刺さる。刺さる。痛い。
しかもうっかりのサンダル履き。いつの間に枝から外れた棘が、サンダルと足の間に入り込んで、作業の動きで空いた隙間に足を戻した瞬間見事に刺さってくる。うきゃ、とサル声が出るほど痛い。踵に本当に刺さってやがる。手を伸ばして、えい、と取ると、意外なほどに小さな棘。
薔薇
薔子 しょうこ
娘には、そんに名前の方がぴったりだった、と思った時期があった。
私との関係がうまくいかなくて、彼女のためを思ってのことが裏目に出る。
薔薇の面倒をみているようだ、と思った。
綺麗に咲かせたいと思って手を入れているのに、棘で、傷だけにしてくる。薔薇。
よく考えたら、私、何本も薔薇をダメにしてるんだった。
娘にとってはあの時の私の方が薔薇だったか。バラどころか荊だったか。
いま、あなたがきちんと生きて、暮らして、笑っていてくれてよかった。
全然、薔子じゃなかった。
あなたの笑顔は薔薇と比べ物にならないくらい美しいよ。遥かに遥かに綺麗だよ。溺愛する母親目線ではありますが。
注〉小心者の言い訳
実際の 薔子 名 様 が気を悪くされたらすいません。
同じ名前でもそれぞれの意味、それぞれの想いが違うということでご納得ください。
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