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意外と身近なところで有名人が生まれる話 ~中日ドラゴンズ岡林勇希選手~

2023年もシーズン序盤に早々とペナントレースから脱落した中日ドラゴンズ。
もはや楽しみと言えば、守護神マルティネス投手がいつまで防御率0点台を維持できるか、そして、岡林勇希選手が最多安打と首位打者を獲得できるか、くらいである。

そんな岡林選手を、私は、彼がプロ野球に入団した当初からずっと注目している。
なぜなら、私は、岡林選手の祖父と過去に一緒に仕事をしていたからだ。

イチロー級のバッティングセンスと守備を持っている岡林選手。それだけに、祖父も、何かスポーツに関係する仕事をしていたのだろう?
と思うかもしれないが、実情はごく普通の会社員だった。

普通の、と言ってしまったが、身分こそ普通の会社員ではあるものの、内情はかなり破天荒な祖父と言い換えた方がいいかもしれない。
お酒が好きで、いつも二日酔い状態で仕事をしていたのだから。

とは言っても、別段、それが原因で大きなミスを連発するわけでもなく、ただいつも酒臭い、というだけであった。

それくらいなら別段、破天荒というほどでもないだろう?そう感じるかもしれないが、大酒を飲んだときの酒癖はかなり悪かったらしい。
居酒屋で泥酔しすぎて全裸になって大暴れし、店を出禁になったという伝説もあるほどなのだ。

私が新入社員だった当時、岡林祖父は、若い社員に結構厳しくて、私の方がいろいろミスをしてしまって怒られていた記憶がある。
2年目で一緒に徹夜で作業をした頃から、優しくしてくれるようになった。

私は、野球ファンサイトを運営していて、岡林祖父も野球が好きだったので、仕事以外で話すのは大抵、野球についてだった。
岡林祖父は、県内の高校野球事情に詳しく、彼が高く評価する高校は大抵、夏の大会で勝ち上がってくる。かなり見る目があったのだろう。

そして、プロ野球も好きで、巨人ファンだった。あの甲子園の一塁側スタンドで巨人の法被を着て応援するほどの。
一塁側だから当然、阪神ファンで埋め尽くされている。巨人を応援していたら、後ろからいろんな物が飛んできたそうだ。弁当まみれになったこともあるらしい。そんなところで応援するのも破天荒である。

まあ、ONに熱狂した世代だから巨人ファンなのだろうが、まさか孫が中日ドラゴンズに入って巨人相手に安打を量産するとは想像すらしていなかっただろう。
残念なことに、岡林選手が中日ドラゴンズに入る前に岡林祖父は亡くなっているので、もはや気持ちを伺うことはできない。

そんな経緯があって、私は、岡林選手に注目していたのだが、バッティングに非凡なセンスを持っていることは素人の私から見ても明らかだった。

特に早くから岡林選手を評価していたのは、元中日の井端弘和さんで、岡林選手がスタメンで出始めた2022年開始当初から「2割7、8分は打つと思う」と述べていた。

そのときはまだ2割3分くらいの打率だったので、私は、そんなに上手く行くかな、眉唾物と疑っていた。ところが、シーズンが終わってみれば、2割9分以上の成績を残して、最多安打のタイトルまで獲得してしまったのだから、末恐ろしい才能だ。
高卒3年目で最多安打を獲得したのはイチロー以来、史上2人目の快挙。
さらには、ベストナインとゴールデングラブ賞にも輝いた。

井端さんは、2023年のシーズン前に「これからは毎年、首位打者争いに絡んでくる」と述べていた。
これまた眉唾物と思っていたのだけど、今、実際に首位打者争いに絡んできているところを目の当たりにすると、井端さんの眼力に敬服である。
シーズン100安打には、なんとセパ両リーグを通じて1番乗り。
今や、日本一のヒットメーカーなのだ。

もし2年連続最多安打達成となると、かなりの名選手しか達成していない偉業だ。
過去に達成したのは中島治康、藤村富美男、川上哲治、長嶋茂雄、葛城隆雄、榎本喜八、王貞治、福本豊、田尾安志、バース、ブーマー、佐々木誠、野村謙二郎、イチロー、R・ローズ、小笠原道大、青木宣親、マートン、秋山翔吾、大島洋平。

並べてみると、誰もが知る名選手ばかりだ。
これだけ若いうちに安打を量産するとなると、将来的には不滅と思えたイチローの通算安打記録4367安打さえ、視野に入ってくる可能性もある。

私の身近なところから初めて生まれた有名人、岡林選手には、ぜひとも不滅の記録超えを目指してほしいものである。
あとは・・・酒におぼれないことを祈るばかりだ。

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