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姫様俳話

10 私の推し

私の推しは、なんと言っても犬山城だ。しかし当の犬山城は、どうも私が嫌いなようだ。
犬山城は、国宝だけあってプライドが高い…と私は思っている。犬山城の創建年代は、室町時代末期であり、世の中が乱世・戦国時代になりたての頃だ。
また犬山城は、日本最古の城というプライドも持っている。その犬山城が、個人所有末期から現在に至るまで、400年以上を共に時代を乗り越えて来た成瀬家のお城番が、こともあろうに女性の私になってしまったのだ。
戦国時代を生き抜いてきた城としては、サムライ精神を旨としてきたはずだ。武家の「男子継承」を考えると、きっと理解不能だったに違いない。だが20数年前、次代の私達3兄弟で社会経験があるのは、なんとこの私のみ。こうだから「殿様は…」と言われてしまうかもしれないが。
こういう背景から、致し方なく城は、私で妥協したのだと、私はずっと思ってきている。

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