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DMMバヌーシー 2023年度1歳馬 出資検討会③


前回まで

出資検討会①

 ファイナルドリーム22
 リトルモンスター22
 レインオンザデューン22
 モルガナイト22
 ロスヴァイセ22

出資検討会②

 ミスラゴ22
 アイアムカミノマゴ22
 サマーハ22
 オーサムフェザー22

 ここまで、2回に渡って計9頭の募集予定馬を紹介しました。血統表というカタログスペックだけですと、個人的に検討に入ってくるのはここまでとなりました。

 そのため、検討会第3回となる今回は「現時点でなぜこの馬を検討から外したか」ということがテーマになりますので、どちらかといえばネガティブな書き方になります。すいません。

 もちろん、募集が開始されて、馬体写真や歩様動画で再評価して出資することはありえますので、それはそれで最終的な決断は改めてノートにします!

牡馬

エスジーアンクル22

 エスジーアンクル22は、バヌーシー所属の種牡馬キタノコマンドールの仔になります。レア種牡馬好きからすると外せない1頭でしょう。

 母エスジーアンクルは中央で1勝。その産駒はなかなか中央では勝てずにいましたが、つい先日、カビーリア(父サトノアラジン)が未勝利を脱出しました。キタノコマンドールと同じディープインパクト系種牡馬ですから、エスジーアンクル22の評価も上向いたはずです。

 父キタノコマンドールは日本ダービーにまで出走した素質馬でしたが、怪我で無念の引退。主な勝鞍が重賞でもない「すみれS」とだけあって、通常なら種牡馬になれない戦績ですが、バヌーシー最初期の活躍馬で超良血ということが評価されてスタッドインしました。22年産が初仔です。

 血統はとても良くて、2代母フェアリードールからは3頭もの重賞馬が出ていますし、母ベネンシアドールからは、全姉のデニムアンドルビーが中央重賞、半姉のラーゴブルー(父ハーツクライ)が地方重賞をそれぞれ勝利と、実績馬多数の牝系に属しています。

 ディープインパクト(サンデーサイレンス系)×キングカメハメハ×ヌレイエフという配合は、ロードカナロア(キングカメハメハ系)×サンデーサイレンス×ヌレイエフというアーモンドアイの配合にも似ていて、成功する要素は備えていると思います!

 ただ、どうしても産駒数が少なく、エスジーアンクル22を含めて22年産はわずか2頭。生産者からはまったく見向きされていません。バヌーシーが細々とつける分にはそれでもいいのでしょうが、エスジーアンクル22や来年募集予定のファイナルドリーム23が走らなければ、会員だって出資しなくなります。種牡馬としてのキタノコマンドールは、いきなり正念場を迎えています。

 さて、エスジーアンクル22ですが、今のところはあまり評価していません。繋が立っていることからダート向きかな?と思わせるため、瞬発力のあったキタノコマンドールの良さがあまり出なさそうです。また、両親ともに現役としても繁殖としても実績がありませんので、1400万円という募集金額は高い感じがします。

 それでも、馬体そのものはスラッとしていて綺麗なので、今後の成長次第ではなかなか面白いかもしれません!

レディアンジェラ22

 レディアンジェラ22は、サマーハ22同様、サンデーサイレンスを持たない競走馬になります。父レイデオロは中距離馬ですので、クラシックを目指したい種牡馬ではあるのですが、中距離の王道路線でサンデーの血がないのは不利と考えています(検討会②のサマーハ22を参照してください)。

 そのため、この仔は母父ダークエンジェルと、ラストタイクーンのクロスの影響を受け、短距離に出てくれた方が走ると思います。ダークエンジェルはごりごりの短距離馬で、産駒としてはマッドクールが重賞戦線で活躍中です。

 懸念としては、レイデオロで短距離に出て成功するの?という素朴な疑問です。成功とは、ここでは出資金の100%回収のこととします。税込4950万円という落札価格は、3勝クラスまで上がらないと回収できない金額です。

 レイデオロは21年産がデビューしたばかりで、産駒の傾向がまだ良くわからないのですが、個人的にはパワーと持続力に優れた中距離向けの種牡馬で、父キングカメハメハではなく、母父シンボリクリスエスに似た特性と考えています。

 短距離路線を目指すのであれば、いくらでもスペシャリストの種牡馬が揃っている中で、未知数のレイデオロというところが、分の悪い賭けに感じています。

アイワナシーユー22

 アイワナシーユー22は、バゴ×ステイゴールドというニックスとされる配合です。主流条件からは完全にそっぽを向いた構成ですが、その分、特殊な条件で強さを発揮する可能性があります。

 祖母ワナダンスはアルゼンチンの短距離G1馬ですが、これまで1勝馬を1頭出しただけです。母アイワナシーユーの産駒としては2頭目で、アイワナシーユーの全姉で初仔にあたるアイワナアイドルは、3歳9月というタイムリミットが迫る中、中央での勝ち上がりを目指してギリギリまでがんばっていますが、現実的にはどうにも厳しそうです。つまり、アイワナシーユー22は、その一族にまったく活躍馬が出ていないのが懸念です。

 そのかわり、アイワナアイドルは総額800万円で募集されましたから、アイワナシーユー22も近い価格で募集されるのであれば、馬体や歩様を見極めて出資する余地はあります。

 アイワナアイドルは初仔とあって馬体が小柄で、それが競走馬として堪えたところがあるでしょうから、2番仔になるアイワナシーユー22は、標準以上のサイズで出てくればと思っています。

牝馬

ステファニーズキトゥン22

 ステファニーズキトゥン22の母ステファニーズキトゥンは、アメリカG1を5勝した名牝です。引退後、その活躍に惚れ込んだノーザンファームが購入し、繁殖牝馬として日本に連れてきました。牧場の顔として紹介動画でも取り上げられるほどですので、ノーザンファームからの期待度は、超G1級といっていいでしょう。

 しかし、これまで4頭の産駒がデビューして、勝ち上がりはたった1頭のみ。繁殖としての実績としてはミスラゴと同じような感じで、今のところはその高い期待に応えられていません。それでも名血とあって、ステファニーズキトゥン22の落札価格は税込7480万円でした。いくぶん評価は下がってきているようですが、それでも十分にお高い値段です。

 また、血統面で気になるのが、サドラーズウェルズの4×4というクロスを持っていることです。サドラーズウェルズは、欧州中長距離の大種牡馬で、子孫にはタフネスと勝負根性を強烈に伝えます。前向きに取り込みたい血ではあるのですが、あまりに影響が強いと、日本向けの素軽さを失って、パワー偏重の競走馬になる恐れがあります。3、4代前にポツンと入っているくらいでも充分で、クロスで強調させるとデメリットの方が大きいと思っています。おまけにロベルトの3本クロスまで成立しており、血統表を一目見て重厚すぎると感じました。

 ただ、牝馬に出たのは悪くありません。牡馬と比べると、一般的に牝馬の方がパワーや持続力は低く、そのかわり俊敏さやしなやかさが高い傾向にあります。ステファニーズキトゥン22にもその血が流れるシーザリオが、母父サドラーズウェルズにも関わらず瞬発力を発揮できたのは、絶対能力だけでなく、性別も関係したと思います。

 もし、ステファニーズキトゥン22が、サドラーの良い影響を強く受けつつ、祖母シーザリオから切れ味を受け継いでいたらと考えると、とんでもない大物になる可能性はあります!すごく走るか、まったく走らないか、どちらかだと思います!

ラヴインザダーク22

 ラヴインザダーク22は、全兄ホープインザダークが現役のバヌーシー所属馬として頑張っていますので、なじみのある馬です。

 ホープインザダークはデビュー前、調教で抜群の動きを見せており、厩舎の隠し玉として先生がニッコニコするほど期待されていました。しかし、いざレースに使ってみると、体質の弱さからか疲れが溜まりやすく、勝利どころかどんどん体調が悪くなってしまいました。

 中央での勝ち上がりは一度諦め、名古屋競馬に移籍して、川西調教師の元で立て直していく様子は、バヌーシーの会員さんならみんなご存じのことだと思います。競走馬のリアルを伝えるドキュメンタリーとして、まだ見てない方がいましたら、一度ホープインザダークのホースマン情報局を、デビュー前後から通して読むことをおすすめします。

 兄のエピソードを紹介した理由は、ラヴインザダーク22も体質的な弱さを抱えているのではないかと懸念しているからです。

 「血統書サービスStudbook」というサイトで、日本馬のここ20年くらいの種付日、出産予定日、産駒の誕生日を調べることができます。

 検索窓に「ラヴインザダーク」と入れて馬名検索をし、ラヴインザダーク22の情報を調べました。以下の通りです。

 種付日:2021.2.16
 予定日:2022.1.16
 誕生日:2022.2.13

 競走馬は、一般的に種付けから11か月後に生まれます。しかし、ラヴインザダーク22は出産までにほぼ丸1年かかりました。1か月近く余計にお腹の中にいたことになります(予定日ズレ+28日)。母胎に長くいたということは、なんらかの事情で、成長が途中で阻害された可能性があります。

 ホープインザダークも、予定日2019.2.12で、2019.3.5に生まれていますし(予定日ズレ+21日)、その上のラヴインザチャームも、予定日2018.1.18で、2018.2.11に生まれました(予定日ズレ+24日)。

 ラヴインザダークは不受胎も多く、繁殖牝馬としての活力が足りなかったのかな・・・と想像します。そして色々あって、とにかく、ラヴインザダーク22が母のラストクロップになります。

 ここまで厳しいことを書いたので、プラス要素も取り上げます。血統がめちゃくちゃいいです!5代母からはバブルガムフェロー、4代母からはザッツザプレンティ、2代母からはディープブリランテと、重賞馬・G1馬が続々と誕生している牝系です。ホープインザダークもそのあたりの背景を評価し、当時POG指名していました。ラヴインザダーク22は全妹ですから、血統的には申し分ありません。

 ホープインザダークは、名古屋で鍛えて4勝を上げ、再度中央に戻ってきました!一族から伝わる競争能力そのものは高いはずです。

 また、ラヴインザダーク22は2世代に渡って適切な月のサイクルで種付けされています。アイアムカミノマゴ22と並んでその点でも高評価です!

 懸念している体質の弱ささえ回避できれば、きっと走るはずです。いい意味の驚きを期待しています。

 

ルナティアーラ22

 全姉のツキヨノウサギの名前がかわいらしいルナティアーラ22は、父サトノクラウンが今年のダービー馬タスティエーラを輩出したことで注目です。

 母父はディープインパクトと王道ではありますが、母系の奥にはハンプトンに連なる零細血脈を隠し持っており、意外な活力が発揮されるかもしれません。

 実際、3代母マイホワイトコルベットからは、スターダムバウンドというアメリカ最優秀2歳牝馬となった超大物がいますし、2代母マネーペニーからはダイトウキョウという今で言う3勝クラスまで出世し、1億円近くの賞金を稼いだ馬もいます。

 ときおり走る馬が現れる一族なので、その点では楽しみが多いです。大きな加点要素はそれほどありませんが、ツキヨノウサギと同じくらいの800万円くらいの募集価格になるなら、成長を待つ甲斐はありそうです。

おわりに

 3回に渡り、2022年セレクトセール・2022年ミックスセール・2023年セレクトセール・自家生産と、15頭の募集予定馬を検討しました。まだ庭先取引の馬がいるでしょうし、明日から開催のセレクションセールで仕入れる馬もあるかもしれませんが、ともあれこれで冷静に明日7/25の募集馬発表を迎えられます!

 皆さま祭りを楽しみましょー!


 ここまで読んでいただいてありがとうございます。皆さまに、いい仔との出会いがあることをお祈りします!

ʕ•ᴥ•ʔ♥

 このノートを楽しんでいただけましたら、ぜひ「スキ」を押していってください。次回のモチベーションになります。


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