見出し画像

棒犬バウリンガル

音楽を学び始めて10年。
いろんな人との出会いの中で、思い通りのCDを制作し、多くの方にご購入いただくことができた。
ミュージックビデオもWEBサイトも制作し、苦手なSNSも始めた。
FMラジオで曲を流してもらう幸運にも恵まれた。
疎遠だった仲間たちともつながることができた。
みんな、温かく見守ってくれている。
私にとって、この上なくありがたい音楽生活がある。

こんなに充実して満足しているはずなのに、先日、こんな夢を見た。
中学生の甥っ子が、私に向かって、ひと言つぶやく。
「…じゃないんだよねぇ」
それだけの夢。
目覚めて、何を意味しているか分からなかった。
いったい何が“そうじゃない”んだろう?

私は改めて、音楽との向き合い方について考えた。

私にとって音楽とは、プレイヤーが発信してリスナーが受信するという、ただそれだけの、一方通行なものではない。
プレイヤーは自分自身と向き合って音楽を作り、それを発信する。
リスナーはその音楽を受信して、またプレイヤーにレスポンスを返す。
プレイヤーはレスポンスを受け取って、また自分自身と向き合い、次の音楽を作っていく。
この「コール&レスポンス」が、新たな音楽を生み出していく。

私はそんな風に考えている。
だからライブでも、お客さんの反応を敏感に感じとりながらステージを作り上げていく。
CD販売も同じで、皆さんから寄せられた感想を大切に胸に刻み、次のアルバム制作に活かしたいと考えている。

でも、待てよ。

自分の知っている人だけでいいのかな?
もっと全然知らない人と「コール&レスポンス」してみてもいいんじゃないか?
たとえば10代20代の若者に、自分の音楽を投げかけたら、どんなレスポンスが返ってくるのだろう?

そして、気づいてしまった。
大切にしてきたはずの「コール&レスポンス」から、いつの間にか「若者」を外していたことに。
「若い人には、分かってもらえないだろう」
「受け入れてもらえる人にだけ伝わればいい」
と、心のどこかで決めつけていたんじゃないのか。
聴いてもらうための努力もしなかった。

そう思い当ったら、いても立ってもいられなくなってしまった。
タワレコが運営するインディーズ情報サイト「Eggs」にアクセス。
若者の音楽に触れ、ドキドキしながら棒犬の曲も投稿してみる。
サイトのバンド紹介欄には、こう記した。

棒犬BOKEN
オジさんだって、冒険したい。
オジイサウンド全開で、若者ミュージックと和やかに対峙中。

受け入れてもらえなかったら、どうしよう。
いやいや、そんな先のことまで心配するな。
彼らから、新たなエッセンスをもらって、原動力とすればいい。
そうしてまた、自分らしく道を突き進めばいい。

どんな幸運か、11月7日に投稿した4曲すべてが、YouTube「デイリーランキング」に初登場15位以内にランクイン。
以降、4曲とも、ほぼ5位以内をキープしている。
11月17日には、YouTube「ウィークリーランキング」も2位~5位に棒犬の曲が選ばれた。
オジイサウンドも、若者に少しは受け入れてもらえるらしい。

たとえ短い期間であっても、確かな一歩を踏み出せた。
応援してくださっている皆さんのおかげです。
本当にありがたい。

棒犬は、また新しい冒険の旅に出た。
新しい出会いと、新たなチャレンジ。
たくさんの人と、コール&レスポンスをするために。
どうぞ、よろしく。

棒犬 Vo. Takanori Inutake

音楽情報サイト『Eggs』
https://eggs.mu/artist/boken

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?