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今、愛犬の散歩で気を付けること。


先日、米国土安全保障省長官の科学技術顧問を務めるWilliam Bryan氏からの発表によると国立生物兵器分析対策センターで行われた実験で新型コロナウイルスの半減期は、気温21~24度、湿度20%の無孔質の表面で18時間だった。しかし、湿度が80%に上昇すると、半減期は6時間に減少し、これに太陽光が加わると、わずか2分にまで減少した。という情報を目にしました。



つまり太陽光に晒されている場所が安全であると仮定すると、比較的お散歩は安全であると言えるでしょう。
とはいえ、今回の発表では太陽光の強さ(紫外線量)や日陰、深夜はどうなのか?ということは発表されておりませんので、一概にお散歩は絶対安全だとは現時点では言えません。


※因みに太陽光が有効だからと言って真夏に太陽サンサンの下で愛犬の散歩をするのは熱中症になってしまいますので、絶対にやめてください



これを踏まえて犬の散歩時のことを考えてみましょう。まず頭に入れておいてほしいのが、散歩時にイヌが新型コロナウイルスに感染することはおそらくないということです。また、犬の散歩時に人が新型コロナウイルスに感染することも、他人との接触がなければ確率的には低いでしょう。(厚生労働省:動物を飼育する方向けQ&A

では、犬の散歩によるウイルス感染のリスクはどこにあるのでしょうか。



そうです。犬の散歩が終わった後、犬に付着した新型コロナウイルスが人に付着し、感染する可能性です。



とくにセンシティブな思考になりやすい方は散歩時に危険が潜んでいる可能性を、考えれば考えるほど不安になってしまうかと思います。


新型コロナウイルスはまだ解らないことばかりですので、この状況の中で少しでも対策がしたい、という気持ちはとてもよくわかります。しかし、不安に駆られて闇雲に適当な情報に手を伸ばしては、大切な愛犬の健康だけでなく飼い主さまの健康も損なうことに繋がるのではないでしょうか。


ですから、まずは落ち着きましょう。


世の中が混乱すると、その混乱に乗じて人々に恐怖を植え付け「この商品を使えば安心!」というようなメーカーや、それを売りたい悪い人がめちゃくちゃ出てきます。先に言っておきます。そんなものは買わなくていいです。あなたに「これを使いなよ!」と向こうからやってくるメーカーや人間とは、今後お付き合いをしないほうが良いかもしれません。



不安になりすぎず、安心して愛犬とのお散歩を楽しんでいただくために、散歩の際に気をつけることと、その後の処置について、今ある情報を読み解きながらまとめていきます。



※今回は「犬」を中心にお話をしたいと考えておりますので、犬を飼われていない方にはよく分からない内容かもしれません。ただ、そんな自分には関係ないと思っている方も、外出中に散歩中の犬に出会うことはあるかもしれません。その時は「絶対に犬に触らない」ようにしてください。これはウイルスに関係なく、知らない他人に触られるというのはその犬にとっても、触ろうとした人にとっても、危険なことだからです。他人の犬に「絶対に触らない」ようにしてください。(大事なことなので二回言いました)



「人」について知りたい方は新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会さんのnoteを隅から隅まで読破してください。とてもわかりやすく発信してくださっております。



現在進行形で、不安や困難がある方は「とどけるプロジェクト」さんのページをお読みになることをお勧めさせて頂いております。「心身のケアについて」「日々の生活について」「感染予防について」「(子どもの)遊びや学習について」「仕事や生活について」がとてもわかりやすくまとまっています。運営が全て寄付により行われており、このような状況ですがお金に余裕のある方は寄付をして頂けるとぼくが助かります。(手に入れられる情報が増えますので・・・!)



トリマーさん向けにはぼくも関わっているプロジェクトで「全国トリミングサロン支援」というページを参照してみてください。


ご紹介させて頂いた3つのサイトは今後随時更新されていきますので、わからないことがあればその都度参照することをおすすめします。



ぼくは「トリマー」という仕事をしておりますので職業上「犬」のことを考えることが多いのですが、それ以上に「人」が健康で文化的な生活を送れて幸せでなければ「犬」が幸せにならないと考えております。そのためにまず、犬のことより人のことをきちんとして頂き、読み進めて頂きたいと考えております。ぜひ一度ご拝読ください。



冒頭でも書かせていただいたのですが4月27日現在、東京獣医師会からのアナウンスではイヌに感染する確率は低く、感染していたとしてもイヌからヒトへの感染は限りなく低いとされています。ともすればイヌに対して注意すべき点は「感染」ではなく「汚染」であると考えたほうが良いでしょう。


※感染ではなく汚染ということは、散歩に行って仮に愛犬のどこかにコロナウイルスがくっついたとしても「付着したウイルスは増えるということはまずない」ということです。


では、愛犬との散歩中に気をつけることは何でしょうか。



散歩中に気をつけること


1.他人との接触

これは人同士でも基本中の基本なのですが、新型コロナウイルスの主な感染原因は飛沫や接触だと思われますので、散歩中でも他人との接触・接近はしないようにしましょう。犬の散歩をされているご近所さんと遭遇しても、2メートル以上距離をあけ会釈程度ですませてください。立ち話しなどは言語道断です。立ち話しをしてしまうと、お相手のツバが愛犬の身体に飛んでます。愛犬が人懐こく知らない人にも近付いていってしまうという方もいらっしゃるかもしれませんが、愛犬のためにも普段から無闇に人と接触させるのは避けましょう。


2.地面やモノとの接触

新型コロナウイルスをばら撒いているのは「感染した人間」又は「感染した人間の触れたもの」です。では散歩中、他人のツバ以外に警戒する場所はどこでしょうか?

・・・そうです、地面や電柱などのモノですね。

犬は地面に素足(素手)で接しているので、あなたのパートナーがコロナウイルスを持って帰るとしたら、「足の裏」や地面を嗅いだときにつく「鼻」、そして地面や電柱などを舐めてしまうことを考えれば「口腔内」も考えられます。地面についたコロナウイルスが、果たしてどの程度不活化せずに生きているかはわかりませんが、あなたがそこを歩く5分前に新型コロナウイルスに感染した女の子が涙を流していたかもしれません。もしかしたら鼻水も落ちてるかもしれません。ピアニカを吹いていたかもしれませんね。。。

現状ではおそらくこの子が落とした涙も鼻水も唾液も3時間ほどで不活化すると言われているのですが、人生なにがあるかはわかりませんからね。(細かいことを言えば涙にはあまりウイルスは検出されないようです)


では、これらを踏まえて具体的なお散歩コースを見ていきましょう。




お散歩コースに潜む危険

先程は非常に稀なケースを挙げました。現在の情報を元に考えると通常の環境下に新型コロナウイルスがたくさん落ちている可能性は極めて低いと考えられます。心配性な方のためにたくさん落ちていそうな場所を探してみましょう。


1.人通りの多い場所

これは言うまでもありませんが、飛沫が地面に飛んでいたとして、その上を愛犬が踏みしめて歩くというシチュエーションです。もしかしたら誰かがタンやツバをそこに吐いたあとかもしれません。あなたのキュートなパートナーを誰かに褒められたい、見せつけたいという気持ちはグっと心の奥にしまって、人通りの多い場所は避けてお散歩しましょう。


2.スーパーや日用品売り場の近く

わざわざ愛犬を連れて買い物へ行く人も少ないかもしれませんが、もし買い物ついでに散歩をしている方は、今は控えた方が賢明です。お散歩コースに人の集まるような場所がある方も今は控えましょう。


3.公園
最近では公園へ行く人が増えたと言われていますので、通常時とは異なる場所だと考えた方が良いです。また、公園では走ったり運動したりして大きく呼吸をする人がたくさんいます。愛犬への汚染リスクだけでなく、そのまま人から人へ感染するリスクも高いため、お散歩コースに公園が組み込まれている場合は、他のコースにするか混雑していない時間帯に利用するなどして、接触を減らしましょう。


4.酔っ払いの通り道
そうですね。察しはついているでしょうがあえて言わせていただきます。吐しゃ物です。もう少しフランクに言えばゲロです。あなたのパートナーがその汚物をパクッとしないとも限りません。コロナウイルス関係なく、普段から酔っ払いの通り道で愛犬を散歩させては絶対にいけません。


5.ドッグラン
ドッグランは安全と思われるかもしれませんが、前述した「他の人との接触」を避けにくいことや、たとえ貸し切りだったとしてもあなたの利用する前にドッグランを使用していた方が感染者だった場合を考えるとリスクはゼロではありません。(なぜ感染者と直接接触しなくても注意しなければいけないのかは次で記述します)


さて、ここまでは普段ニュースなどで情報を得ている方からしたら当たり前に思いつくシチュエーションだったかと思います。しかし、意外に見落としがちなのが次の「他の犬のおしっこやうんち」です。


6.他の犬がおしっこやうんちをした場所

飼い主が感染者だった場合、犬に感染はせずとも体内にはウイルスがいると仮定して動くしかありません。ということは、無症状感染者の愛犬から出てくるうんちやおしっこからもウイルスが出てくる可能性は0ではないでしょう。その犬がしたおしっこやうんちと愛犬が接触すれば、汚染されてしまいます。また、あなた自身が無症状感染者の場合には、愛犬がウイルスを保有している可能性もあります。犬と共に暮らしていれば、愛犬が一番の濃厚接触者となる可能性があることを忘れてはいけません。




体液や糞尿にウイルスが含まれる期間

今回の新型コロナウイルスに関しての情報が少ないため、ウイルスの遺伝子配列が似ているSARSコロナウイルスを参考にするのがよいと言われています。親子の関係ではなく姉妹の関係に似ているとされているみたいです。

Preliminary Identification of Potential Vaccine Targets for the COVID-19 Coronavirus (SARS-CoV-2) Based on SARS-CoV Immunological Studies

SARSコロナウイルスが「痰」や「糞尿」での生存期間が長くなるという報告があり、新型コロナウイルスもその特徴があるのでは?ということで簡単にご紹介したいと思います。


・SARSコロナウイルスの生存期間
痰(飛沫)、糞便・・・ 24~48時間   尿・・・ 6~24時間
と、通常の状態よりも生存期間が伸びることがわかっています。
つまり、これらのものがあると考えられる場所は愛犬のお散歩をするときに避けることが、新型コロナウイルスの予防にも重要であると考えます。

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とはいえこれは屋外データではないのでおそらく生存期間はもっと短いとも考えられます。香港中文大学の研究によれば素材によってウンチの有無での生存期間が伸びると言われています。

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正常便ではない下痢便の場合、生存期間が4日まで伸びるようです。(pHが正常便より高いことが理由とされています。)


とはいえ、アスファルトやコンクリートや土や草の上での生存期間は不明なので(もしかしたら長くなるかもしれないし短いかもしれません)ひきつづき新型コロナウイルスの追加情報を待つことが賢明です。


SARSでは動物の媒介(ハクビシン、タヌキ、ネ ズミ他)、食品の媒介も示唆され、消化器症状を伴う例も多く見られることから、糞口感染が主体ではないかとの議論もあるとされています。
参考:国立感染症研究所感染症情報センター「SARS(重症急性呼吸器症候群)とは」より引用


新型コロナウイルスが本当に糞便や尿から検出されるのか?されたとしても感染力を持った状態なのか?という部分はまだ謎のままです。
絶対に大丈夫だとも、すごく危険だとも言えないということを頭の片隅に入れておいてください。

point → 飛沫、糞便に気を付ける!



上記のような場所や、当てはまるシチュエーションを避けて散歩をするだけであなたの愛犬が新型コロナウイルスをくっつけて家に上がり込むことはかなり避けられると思います。


そして、先にも述べた通り非感染者としての目線だけでなく、自分自身が無症状感染者であった場合のことも考えて行動することも大切です。愛犬のうんちやおしっこからウイルスを広げないためにも、マナーのためにも、普段のお散歩でお水を持ち歩き、おしっこはしっかり流し、うんちも拾った後に水で流しましょう。

point→愛犬の散歩中におしっこをしたところを水で流そう。ウンチをしたらきれいにとってから水を流そう!


ではここからは、万が一にでも上記のシチュエーションのような散歩をしてしまったとして、おうちに帰ってからどのようなケアをしてあげると良いのかを書いていこうと思います。
現在コロナウイルスに有効であると言われているモノの中から、何が帰宅後のケアにいいのかを考えていきましょう。



新型コロナウイルスの不活化について

まず頭に入れておいて頂きたいことは、新型コロナウイルスは何で不活化(死ぬ)するのか?ということです。これはもう皆さまご存知だとは思いますが、もう一度みんなで確認をしていきましょう。(2020年4月27日現在、効果が認められているもの)


1.次亜塩素酸Na(ハイター、ブリーチ)
利用対象:物品〇(手指 ×  食品 ×) イヌ ×

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※0.05%以上の次亜塩素酸Na液は強いアルカリ性のためゴム手袋を着用し、ドアノブ等を拭いたあとに水拭きしてください。
詳しい作り方は「相川晴(HAL)先生 Twitter @halproject00」のブログを参考にしてみてください。



2.アルコール(濃度62~71%エタノール)
利用対象:手指 〇  物品 〇  食品 △ イヌ ×

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※粘膜、傷がある手指には使用しない。火が付くので注意。G. Kampfさんたちが言うには(2020. J Hosp Infect. In press) 、ヒトおよび動物のコロナウイルスに対する消毒薬の研究(22例)を総合的に踏まえてエタノール62~71%が新型コロナウイルスを消毒できる(1分以内に不活化)と報告しています。

アルコールジェル等では効果のあまりない市販品が出回っているみたいなのでひとつの目安として「火が付くかどうか」で判断してください。(火事になりますので細心の注意をはらって実験してください)



3.界面活性剤
利用対象:手指 〇  物品 〇  食品 △ 
     イヌ △ (界面活性剤の種類による)

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手指については様々なところで正しい洗浄のしかたが紹介されているので割愛します。個人的な推しで「3月のライオン」という漫画を描かれていらっしゃる「羽海野チカ@CHICAUMINO」先生の画像で癒されたいと思います。

チカ




「家具」や「床」などの清掃に界面活性剤は使えるのか?

結果から言えば新型コロナウイルスだけを対象とするのであればおそらく使えます。理由としては1918年に起きたスペイン風邪の時代より界面活性剤による抗ウイルス効果を評価する報告(J Exp Med. 1940 Apr 30; 71(5): 661–681.)がありますし、SARSウイルス感染が発生したときに、国立感染症研究所感染症情報センターより公開された『SARSに関する消毒(三訂版)2003年12月』において、台所用合成洗剤の有効性が示され、家庭等での消毒方法の選択肢として示されています。


効果が確認されているのは食器・野菜洗浄用の家庭用合成洗剤であり、成分として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを ぬるま湯に溶かしたもの(台所用合成洗剤として濃度0.5%以上)とされています。


つまり、家具等の拭き掃除に台所用の洗剤が使えるということです。(コスパ最強なのでは・・・?)


使用方法はカンタン!台所用洗剤をぬるま湯に溶かしたもの(界面活性剤濃度0.5%以上)に浸した雑巾で2度拭きする!以上!


とはいえ、広大なインターネットの海にこの記事を流すにあたって「細かいことを教えてくれよ」という方が一定数いらっしゃると思いますので一例だけ出してみようと思います。(あくまで参考程度にしてください)



ママレモン

液性:中性
成分:界面活性剤(28% 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)
内容量:800ml


こちらです。界面活性剤が複数使われており細かい配合%はわからないのですがおそらく直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム濃度が高めであろうという憶測からご提案させて頂きました。そしてぼくはびびりなのでギリギリ0.5%を攻めようとはしません。ちょっと濃度高めでご提案します。計算が得意な方は自分好みに調整してください。



洗剤お掃除液のつくりかた

1.1Lのペットボトルにお湯とキャップ3杯分のママレモンを入れます。
2.フタをして泡立たないように注意しながら混ぜます。
3.完成!!!

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雑巾に出来上がったママレモン汁をしっかりと浸してから拭きます。又はママレモン汁をそのまま掃除したい場所にかけてから二度拭ききしましょう。このときにスプレーボトルを使用することは推奨しません。スプレーの風圧でウイルスが飛散してしまうことや、泡が立ってしまい空気の空間ができてしまうことが考えられるからです。また同じ理由でタワシなどのブラシでこすることもやめましょう。拭き取りが基本です。


とくに気になる場所にはママレモン汁をキッチンペーパーなどに浸してからそれを敷き詰めましょう。5分以上その状態を維持したあとに乾拭きをする。それでもヌメヌメしてたらもう一度水拭きをしてください。


ここで使用するママレモン汁はお湯の温度を40~60℃(ヤケドしない温度)にするとよいです。界面活性剤による不活化の速度は温度が高ければ高いほど早くなるとの報告があります。

Miriam E.R. Darnell Deborah R. Taylor
Evaluation of inactivation methods for severe acute respiratory syndrome coronavirus in noncellular blood products. TransfusionVolume 46, Issue 10.2006.


ただし、ママレモン汁には香りがついていますので、嗅覚の良いわんちゃんのいる場所には使用し辛いかもしれません。


愛犬周り(サークルなど)にご使用する際には無香料無着色の台所用洗剤・・・例えばSARAYAさんのヤシの実洗剤を使用することをおすすめいたします。作り方はママレモン汁と同じでOKです。


界面活性剤による新型コロナウイルスの不活化お掃除は、子供さんのお手伝いとしてのお掃除でも活躍できる安全で初心者向けかつ、お財布にも優しいお掃除方法ですので、是非お試しいただきたいです。最後に注意点なのですが、薄めた台所用洗剤は必ずその日に使い切ってください。作り置きは雑菌の繁殖に繋がってしまいます。


イヌへの安全面としてはママレモン汁やサラヤ汁を直接飲むともちろんダメです。ご愛犬が直接舐めないよう注意してください。とはいえ、使ったあとに水拭き→乾拭きをすることでもしその場所をイヌが舐めてもほぼ無害な状態が作れると思います。みなさんいつも食器それで洗っておられますよね?大丈夫です。安心してお使いください。


なお、この騒ぎに便乗した悪質なペットメーカーに対してぼくは個人的にとても憤りを感じているので効果のあるかないかわからないモノ(売り文句はめちゃくちゃ効く感じでセールスしていますが・・・)よりも、こちらを強くお勧めします。

point→濃度を間違えずにお掃除しよう!薄めたらその日に使い切ろう!とくに言及はしてないですが洗えるモノは丸洗いしたほうが良いです!


さて、家具や床へのお掃除方法は分かりましたが、愛犬はどうでしょう。
先に記述した通り、次亜塩素酸やアルコールは犬には使用できません。
では、どのように処置していけば良いのでしょうか。




散歩後の愛犬へのケア

基本的に気になる箇所は「足裏」と、地面に近くなってしまう「口回り」かと思います。さらに気になる方は身体中気になるかもしれません。お散歩は最低でも朝と晩の一日に2回されていると思いますので、過剰なケアは愛犬の負担はもちろん飼い主様の負担にもなります。

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以下、最低限〜高程度のケアまでご紹介いたしますので、こちらを参考に、それぞれのご家庭に合った対処をしていただければと思います。




1.最低限のケア

口周り
お湯に濡らしたタオルで拭く

足周り
お湯に濡らしたタオルで拭く

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ウイルスは流水で15秒さらすとウイルスの残存率が1%まで減ると言われています。とはいえ新型コロナウイルスが拭くだけでどの程度減るのかはよくわかっていません。最低限何かしときたいという場合にはこれで対処しましょう。確実に何もしないよりはマシです。(新型コロナウイルス関係なく、普段からこれはしておいたほうがいいと思います。)


京都大学ウイルス再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授によればウイルスを100分の1にすれば感染が成立しずらくなるとのことなので、お湯で濡らしたタオルで拭うだけでも効果が期待できそうです。
(参照:未来授業 Vol.1825


ウェットティッシュで拭く場合も想定されるのですが、市販のものには様々な成分が入っていることが多いので、もし使う場合は注意して購入してください。特にアルコールの入っているものは絶対に使用しないでください。また、猫も一緒にご住まいの方は、成分欄に「PG(プロピレングリコール)」と記載のあるものも避けてください。


とはいえ、お湯で濡らしたタオルほど安全なものはないと思いますのでお金をかけてウエットティッシュを使用するメリットもないかと思います。

point→濡れタオルで口や足回りを拭こう!



2.中程度のケア

口周り
お湯に濡らしたタオルで拭く

足周り
ペット用シャンプーを20~40倍希釈したもの※(下記補足あり)で35℃~38℃のお湯を使い足を5分ひたしたあとにきちんとすすぎ、乾かす。(乾かしたあとに保湿剤を使うとなお良いです)

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フォームタイプ(泡で出るタイプ)をご使用の場合はお湯でよく足を濡らした後に泡を揉みこみ、5分まってからしっかり流してください。こちらも普段お使いのペット用シャンプーをご使用ください。

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小型犬は大きめのタライを用意しましょう。タライの中に滑り止めのマットを引き、ペット用シャンプーを20~40倍に薄めたものをタライに5cm程度入れ、足だけ浸けてみてください。5分たったらしっかりすすぎます。


中~大型犬で「ちょっとそれは難しいな・・・」という場合もあると思います。その際は浴槽に5cmくらいのお湯(38℃程度)を貯め、そこにいつも使用しているペット用シャンプーを20~40倍希釈※で入れ、5分浸してください。その後はしっかりすすぎましょう。とはいえ浴槽にそのまま入ると足が滑る危険がありますので、必ず滑り止めマットをひきましょう。

こんなやつがおそらく便利です。参考にしてみてください。
また、いつもと違う行動を取ると不安になってしまうわんちゃんもいるかと思いますので、その場合は飼い主さんも一緒に湯船(深さ5cm)に入ると落ち着いてくれるかもしれません。


さて、すすぎ終わったあとは、しっかりタオルで拭きましょう。タオルで拭いたあとにキッチンペーパーを押し当てると乾くのが早いです。このときに絶対にゴシゴシしないでください。犬の皮膚は非常にデリケートなため、強くタオルを当てすぎると皮膚が荒れてしまいます。毎日のお散歩で普段よりタオルに触れることを想定するならば、なおさら丁寧に拭いてあげましょう。


おそらく多くのペット用シャンプーの界面活性剤濃度は20%以上だと推察しているため20~40倍希釈(0.5~1%濃度以上)としています。(全てのペット用シャンプーが界面活性剤濃度20%以上ではないと思いますのでご心配な方は各メーカー様にお問合せください。子犬用などは濃度が低めな可能性があります
※20~40倍希釈がちょっと難しいなぁ・・・という方は下記の方法で作ってみてください。



洗浄用薄め液の作り方

①1Lのペットボトルを用意します
②いつも使っているペット用シャンプーを用意します 
③ペットボトルに40℃のお湯を9割程度入れます
④ボトルキャップ5杯ぶんのシャンプーを入れます
⑤できるだけ泡が立たないようにゆっくり混ぜます
⑥出来上がり

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じっと待てる子であれば、紙コップに液体を入れ、愛犬の足を浸けてあげるのもいいかもしれません。(動いちゃう子は滑り止めのついたタライにしましょう)



3.高程度のケア

全身洗おう!それが一番確実です。
とはいえ、普段からおうちでシャンプーをしていない人は家で愛犬の全身をシャンプーすることは絶対にしないでください。トリマーとして、ご自宅でシャンプーをすることは本当におすすめしません。ただし、その子をシャンプーしてくれたことのあるトリマーさんに教わってからご自宅でシャンプーを始めることは推奨しています。



理由はたくさんあるのですが、一つ大きな理由を挙げるとすれば、2年間トリミングの専門学校に通い専門の知識を身につけた学生であっても、きちんとシャンプーできる人はごく僅かだということです。犬に対してかなりの負担をかける洗い方をしている場合が多く、専門学校を終え社会に出てから少しずつ犬をきちんと洗えるようになっていくのです。ですから、何も学んでいない一般の方がおうちで愛犬を安易に洗えるとは思わないでいただきたいです。洗えていると思っている貴方も、おそらく洗えていません。

プロの仕事というのは理解されにくいのですが、長い年月とお金と知識の塊で成り立っているものなのです・・・。



特にご家庭で洗ってほしくないのが、プードル、シュナウザー、シーズー、マルチーズなどのもつれやすい犬種、また、グレートピレニーズなどの毛深い犬種です。そして犬種にかかわらず「濡れることを嫌う」犬に関しては、ご家庭で全身を洗うことは絶対にしないでください。無理やり洗われてしまったことがトラウマになれば、将来的に暴れたり噛んだりして、プロでも洗えなくなることが非常に多いです。この場合はトリマーさんに加え、トレーナーさんを頼ってください。(誰を頼ればよいかわからない方はご相談ください。ご案内します。)


繰り返しとなりますが、どうしても家で愛犬のシャンプーをしたい場合は「行きつけのトリミングサロン」に相談をしてください。おうちで洗ってもいい子かどうかは行きつけのトリミングサロンのトリマーさんが一番知っています。 



一度もあなたの愛犬を洗ったことのないヒト(犬友達など)のアドバイスや、YouTubeやブログなどの「イヌの洗い方」は信用してはいけません。「その子」を実際に見て、触れて、シャンプーをしたトリマーさんを信頼してください。「その子」に触ったこともないのにアドバイスができるようなトリマーはこの世に一人たりとも存在しません。

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写真:著者ペットスタイリストショー2015西日本代表時


誤解を恐れずに言えば、それがたとえ獣医師であろうと「その子を洗ったことがない」のに洗い方を指導しているのであれば、それは愛犬にとって非常にリスクが高く危険なアドバイスと言えるでしょう。愛犬の洗い方に関しては、担当のトリマーさんの言うことが一番あなたの愛犬のためになります。

※あくまで【洗い方】です。皮膚疾患等でシャンプーを処方されるなどの治療は、獣医師のいう事を必ず聞いてください。  
※逆にトリマーが【皮膚の治療】に言及する場合は信用しないでください。



さて、お話しが脱線してしまったので戻そうと思うのですが聡明な方は「あれ・・・界面活性剤は二種類しかデータがないのでは・・・?」と思われたと思います。


そうです。今ご使用のペット用シャンプーには「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム」が入っているとは限りません。濃度も不明です。


つまるところ、科学的根拠のあるデータはないのにぼくはそれをおすすめしています。非常に無責任に。とはいえ、台所用の洗剤をイヌに使うことをおすすめできるわけがありません。台所用洗剤で犬を洗うことは絶対に推奨できませんし、散歩に行った後に毎回こんなものを使われては、皮膚が荒れてしまう子が続出してしまうことでしょう。


では何を参考にしたかと言われると東京獣医師会が出している飼い主のみなさまへ新型コロナウイルスに感染した人が飼っ
ているペットを預かるために知っておきたいこと
(ver.2)という二つのPDF文章です。


後者のPDFでは

シャンプーをして下さい(界面活性剤でウイルスは死にます)

という文言がはっきりと書かれています。つまり、大体のペット用シャンプーで新型コロナウイルスの不活化ができると東京獣医師会では結論づけられていると読めます。(あくまで科学的にデータがない現状ですので、読める、とさせていただきます。)


ですので、暫定的に現状は「今使用されているペット用シャンプーを使用してケアをしてください。」ということが、ぼくから言える精一杯の言葉だということも理解していただけますと幸いです。


最後になりましたが、毎日足を洗う場合は必ず「保湿」もセットとしてください。保湿剤についても成分には注意して頂きたいのですが、これもシャンプー同様、犬に使用して良い成分と悪い成分、わんちゃんそれぞれで合う合わないもありますので、担当のトリマーさんや獣医師さんにきちんと聞いてからご使用ください。特にアレルギーやアトピーの診断が出ている子に関しては決して自己判断せず、担当獣医師の指示に必ず従ってください。




おわりに

あまり難しい話しはしないつもりだったのですが、つい文章が長くなってしまいました。ここまで読み進めてくださったペットオーナー様は本当にご愛犬のことが好きで、大切で、いとおしいのだと思います。


ぼくは、いや、ぼくたちトリマーは、いつでも飼い主様の味方です。少しでも気になる事や、少しでも不安なことがあれば是非相談してください。そして、獣医師の方も間違いなく味方です。シャンプーや日ごろのケアの仕方、ごはんのことなど、何でも聞いてください。ただし、医療の相談は獣医師の先生にお渡しします。ぼくたちは医療行為はできませんし、病気かどうかの判断もできません。もし「病気を私が治す」なんてことを言うトリマーがいたとしたら、そっと離れてください。それが、愛犬のためになります。


あなたの愛犬に何かトラブルがあるのであれば、ぼくたちは治せはしないけれど寄り添う事はできます。お話しも聞けます。一緒に悩ませてください。まずは飼い主さんであるあなたの、「人」の生活を安心できるものにすることが、「犬」の幸せに繋がります。
今は大変な時期が続きますが、一緒に分かち合い、一緒に悩み、乗り越えましょう。

セミナー2

2018年 九州トリマー新年会より


ご愛犬とのこれからの生活において「良いトリマーと出会う」ことは、今の何倍も何十倍もきっと楽しくて、明るい生活を運ぶものになります。そのために僕たちは日々精進して学んでいます。是非、ぼくたちに何でもご相談いただき、貴方とパートナーとの日々を一緒に支えさせていただければ幸いです。



まとめ


①お散歩はできるだけ汚染されていない(人が少なく、糞尿の少ない)ルートにしましょう。
②濡れたタオルで拭くだけでもよいです。
③足を洗う場合は、薄めたペット用シャンプー(20倍希釈)に愛犬の足を5分浸けた後きちんとすすぎ、優しく拭いてあげましょう。
④毎日、毎回洗うのであれば必ず保湿をしましょう。
⑤あまりデリケートになりすぎず、愛犬との生活をたくさん楽しんでください。



最後にもう一度、皆様にまもってもらいたいことがあります。(是非画像をタップして音声が聞こえる状態で聞いてください。幸せになれます。)
※効果には個人差があります



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このnoteは「いぬのしゃんぷーや@inunoshanpu_ya」というトリマーの記事です。普段はプロのトリマーさま向けに様々なツイート(主にくだらない内容ですが…)をつぶやいていたり、セミナーに登壇したり、僭越ながら全国のトリマーさまに向けて、身に付けた知識をお話しさせていただいております

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ここからは有料欄となり、プロ向けに少し情報の粒度を上げたものになるのであまりお金を払ってみる場所でもありません。もしこの記事がためになったなぁと思った方は「サポート」又は「記事のシェア」をして頂けますと幸いです。それでは、全ての犬と犬に関わる皆様に、安心して過ごせる日々が一刻も早く戻る事を心より願っております。


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