見出し画像

2

 ひさしぶりだね、たぶんこちらは元気だとおもう。まいにちヨーグルトをたべているから大丈夫です。年末にもう長くドイツに住んでいる友人と会って、ベルリンの年越しの話をきいた。その人がベルリンに住みはじめたころ、友人とbrandenburger torで年を越したいと盛り上がり、電車に乗っていたら、高校生くらいの男の子に花火を投げられてこわかった。駅を出ると、unter den lindenはもう人でいっぱいで、どうせトイレなんかないけれども、トイレにもいけなそうと不安になって、それでも年をbrandenburger torの前で越して、うるさくて耳は痛いし、でも人がたくさんいすぎて、だからあたたかかったらしい。はだかでもいけそうだった。その人が毎年ひとが二人はしぬというから、元日に友人にその話をしたら、さっき読んだけどきのう?今日?二人しんだらしい、あけましておめでとうといわれた。それって去年なのかな、今年なのかな。年末年始はほんとうにややこしいね。花火、そんなに安くないらしいよ。安くても20ユーロくらいはする。ドイツで禁止されている大きめの花火もポーランドで買ってきて、みんなあげている。橋の上から花火を見ていたけれど、年が変わるときに、ベルリン中で花火があがっているのだろうというかんじだった。ときどき爆弾かと思う大きな音がして、戦争ってこんなかんじか、いやだなと思う。バスの行き先の表示が”あけましておめでとうございます。ことしはバス運転手のキャリアを築きませんか”になっていて、そのバスが花火のなかを走っていた。家族に年越しの映像を送ろうと携帯を見たら、父から初日の出の写真が送られてきていて、日本のしずかな正月とベルリンがあまりにも反対で、ひとりで橋の上で笑っていた。ちいさなこどもも花火に点火していた、すごい勇気でしょう。

 いまは町中、すてられたもみの木だらけ。いちど高いお金で買われたものが1ヶ月のあいだにごみになる。お金のあるひとの多い地区にはほんとうにたくさんすてられている。細い枝の先を何本か盗んできて、てきとうに壁に吊るしている。学校でもみの木の歌をおぼえたから、見るたびに頭のなかで流れるんだよ。たぶん、はやくすてる。

 spreeと道頓堀、どっちがきたないと思う? ベルリンの人はもはやspreeのきたなさを誇りに思っているから、話にならない。道頓堀のなかって、なにが入っているのかな。ケンタッキーのおじさんと、自転車? 車が沈んでいたら、きたなさでたたかえる。知ってる?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?