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角にはへんに大きな花がおいてある。鉢が割れていて、根が見えている。雨が降っている。すこしずつ土が外へ出ていく。わたしがしんだとき、母がここに鉢を持ってきた。まいにち花を置きたかった。近所のおんなが しにこしつしている といっているのをきいたからやめた。だれかがそこにのみものをおいた。石をおいた。花をおいた。チョコレートをおいた。だれかが鉢をおいた。ありがとうございます、あなたのおかげです。角はいつもにぎやかそうになる。小銭をわたしはおいた。眠っているとしろいおとこがきた。眠っているからみていない。しろいおとこは腹のうごくのをかくにんして、どこかへいった。あしがつめたい。なにもかんじていない。あるけないから、くるまにのせられそうになる。もどってみるとコーヒーがおいてある。もちものはこのふくろにまとめますから。もどるんですか? もどれますよ。ああ、どうぞ。でももどりたいですか? あたたかい家も用意があるといえば、あります。この紙にあなたのことを書いて。しらないんですね。きょうの家はじゅんびできません。1週間後にくる方におねがいしてください。わたしからも話せますが、どうしましょうか。もどりたいんですね。ではまた、げんきで。くそったれ。コーヒーのなかに小石がはいっている。風がつよい。小銭もはいっている。ビールをかってきた。いすはどこ? 持って帰ってこられなかった。あたらしいものを探そう。へんないす。へんな花。いすにすわる。あるけないからいらない。このひとのいすは必要で、このひとのはない。いすにしらないひとが座っている。そちらのなまえは。わかりません。書けませんから。春のなかにいたかっただけだった。ときどき母がみにくる。鉢がわれている。母が鉢を持ち帰り、べつの、丈夫な、オレンジ色の、ふたまわりおおきな鉢とこうかんした。鉢の穴をふさいでいないから、土がすこしずつながれでた。

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