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きょうはルーブルにはじめていった。おおきいとか、なんかきをつけろとか、つかれるとか、日本人は絵を見ていないとか、いろいろいわれる。むかし、ルーブルのピラミッドのまえでパントマイムをしているひとにばかにされたことがある。すごく晴れていて、あつかった。照り返しがすごくて、なにもみえなかったから、ばかにされているのを見て笑っている聴衆の顔をわすれる。あのときとおなじたばこを吸いながらあるくおばあさんがいて、なつかしかったかもしれない。マフラーを巻いて歩くいぬもいる。
あさってルーブルにいく。予約をしなければならなくて、でもあしたは晴れるらしいから、あさってに変えた。晴れるなら、美術館になんかいきたくないでしょう。あさっても晴れたらどうしよう。ぜいたくな心配。

ぎらぎらの照明が3日間ひかりつづける場所で4時間くらい踊り続けた日があった。ビールを2本のんだけど、なんかおいしかった気がする。どこからきたの? 日本から。ベルリンに1年近く住んでいるのに、まだ日本からきている。いつになったらベルリンからこられるのか。日本にほんとうの生活はなかったでしょう。いや、あったよ。はずかしい。ベルリンに生活がない。どこにある? 日本にもない。どこにもない。パリになんかぜったいにない。どこを探してもなくて、灰色のベルリンなら黒にいちばん近いから、じつはそこにある。あるかもしれない。たぶんない。

けっきょく、ルーブルには行ったことがなかった。

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