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ぽんぽこぽんぽこ


新しく始めたバイト先へ行くのが億劫だ。まだまだ全然仕事ができないし、ちょうどいいバスが無くて出勤前にまあまあの距離を歩かなくてはならないし、大元がアパレルを軸にしている会社なのでアパ声を出さないといけない。正直アパ声が一番きつい。

声が高ければただ声を張ればいいんだろうけど、私は女にしては声が低いので大きい声を出すとなると雄叫びになってしまう。そうなると残された道はアパ声だけだ。地声からギアを変えて、あの鼻にかかっただんだんと空気に溶けていく声を出さないといけない。無理である。なぜなら自意識が強いから。そんな声を出している自分が嫌だ。声が低すぎる上に自意識が強すぎる。

でもアパ声が出せるようになったら私は無敵である。一人で黙々と作業をするのも好きだしお客様と話をするのも大好きなので、下手したら販売員としてトップに上り詰めてしまう可能性すらある。


私は本屋さんで働くまで電話応対が死ぬほど苦手で、入社してから2ヶ月ほど全ての電話を無視していた。しかしそれが店長にバレて強制的に電話を取らされるようになり、今では何も考えずにぽんぽこぽんぽこ電話応対をしている。できないことが出来るようになるのはシンプルに嬉しいし楽しい。

そういうわけで、アパ声を出せるようになることを楽しみにしている自分がいるのも事実である。



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