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TAACに出会って舞台制作になった

演劇経験もなく、ずっとお客さん側だった私が、舞台制作の仕事に就いてからもうすぐで2年が経ちます。
私が演劇好きになったきっかけであるTAACの2月公演「かわりのない」に携わることになりました。
これを機に初めて演劇を見た時のこと、TAACに出会った時のことを思い出しながら、今回に至るまでの話を少しずつ記録しておこうと思います。

※はじめに、TAACについて

タカイアキフミと、公演ごとに集まった
同志の表現者たちが、前のめりに、妥協なく
創造・共創する集団。
日本社会が抱える問題を背景にして、
人々の「営み」を描き、現実にありながらも
普段は感じることのない
微かな希望や愛を掘り起こす。
公式サイトより引用:https://www.taac.co/
公式X:@TAACproduce

初観劇は2.5次元舞台

私の初めての観劇は、アニメ原作の2.5次元舞台でした。
自分が作品に入り込んだかのような臨場感や舞台上だけでなく客席までも駆け抜けていく演出と原作の再現度に感動し、シリーズが完結するまで見届けました。そして、その作品の出演者が所属している団体の作品を調べていた際に見つけた演劇動画配信サービスで柿喰う客などの作品を観るようになり、2018年に大学進学のため地方から関西へ移りました。

TAACの公演ビジュアルに惹かれて

大学に入学してすぐのこと、いつもようにTwitterを見ていた時にふと綺麗な画像が目に入りました。
TAACの旗揚げ公演「正義姦」のビジュアルです。

TAAC旗揚げ公演「正義姦」のビジュアル

綺麗ではあるけれど、どこか気味が悪い冷たさを感じるビジュアルに興味を持ちました。以前から気になっていた俳優さんが出演することを知り、大学終わりに観に行きました。

開演前、何も考えずに撮影した ロビーに吊るされた沢山のお花たち

シンプルな舞台美術と花吹雪が降るシーンはとても美しく、作品のテーマとお芝居に衝撃を受けました。パンフレットと「枯れる花屋」のお花を購入し帰宅しました。

その後も「正義姦」で味わった衝撃が忘れられず、TAAC2作目の「を待ちながら。」には大学の友人を誘って観に行きました。
この作品を最後にTAACは東京に拠点を移します。
東京まで行くのはな…と渋り、「だから、せめてもの、愛。」を観に行かなかったことを、未だに後悔しています。

2020年、流行り病で不安定な情勢を鑑み「世界が消えないように」の延期が発表され、おそらくその頃に、「正義姦」に出演されていた立花裕介さんとタカイさんの配信を聞いたことを機に東京まで再びTAACを観に行くようになりました。

制作を始めて

今まで当たり前だと思っていたことが、当たり前ではないのだと実感することが多かったコロナ禍でしたが、私はわりと前向きに大学3年生の秋から就活を始めることができました。その頃は大学で専攻していたデザイン関係の仕事を考えていましたが、いよいよ本格的に就活が始まるというタイミングで父が亡くなりました。
ショックでなにかをする気持ちになれず、周りを見て焦り就活を再開したタイミングで舞台制作の募集がありました。
いつ何が起きるかわからないのだから、せっかくなら好きなことを仕事にしたいと応募し、無事に就職することができました。

制作になって半年がたった頃、初めて最初から関わった作品を誰かに観てもらいたいと思い浮かんだのが、「を待ちながら。」を一緒に観た友人とタカイさんでした。何時間も悩んだ末にDMを送りました。
せっかくだからと観に来てくださったこと、「名前が載っているかもと思ってパンフレット買ったんよ」と友人が教えてくれたこともすごく嬉しかったのですが、タカイさんのこの言葉は、仕事が上手くいかず悩んだ時、辛い時に繰り返し見るくらい私にとって大切なものです。

舞台が好きな同僚と一緒に演劇を観るようになり、仕事でも新しいことを学ぶなど日々に満足していた頃、TAACの制作助手の募集がありました。このチャンスを逃すまいと同僚や現場で出会った制作の先輩に話を聞いてもらいながら応募し、実際にTAACの現場を知るためにお手伝いに行くことはできたのですが、千穐楽を迎えしばらく経ったある日、タカイさんの配信で今後TAACの活動をやめなければならないかもしれないという話を聞いてしまいます。

すごくショックでした。やめないで欲しいという思いはもちろんありますが、公演でかかる費用のことや心労を考えると、簡単に「やめないでほしい」ということはできませんでした。コロナ禍で感じた「当たり前などない」ということを忘れて、次も当たり前に公演があるのだと思っていました。
TAACの作品を生で観ることは二度とないのかもしれないと思うと悲しくなってその日はなかなか寝れませんでした。

数日が経ち、タカイさんのTwitterでもう少し続けるという発表がありました。とてもほっとしました。

そして2023年5月〜12月の間に私の周りの環境も大きく変化しました。
一緒に仕事をしていた同僚や先輩が退職したり、不規則な生活で体調を崩しやすくもなりました。
仕事を始めてたった2年ですが、わたしもいつか辞める時がくるのかなと今後のことを考えはじめました。

そんな中、春に応募したTAAC制作助手の件でご連絡いただき、
TAAC 1年ぶりの新作公演「かわりのない」に携わることになりました。

TAAC「かわりのない」について

TAAC「かわりのない」2024年2月7日(水)~12日(月・祝)@新宿シアタートップスにて 

TAAC「かわりのない」は2024年2月7日(水)~12日(月・祝)に新宿シアタートップスにて上演されます。
今作は、5年前に上演された2人芝居「を待ちながら。」をベースに、タカイさんが大胆に内容を刷新し新たな作品としてリブートする新作公演です。

TAACの作品を観た後は、心が重い気持ちになるのと同時に、周りにいる大切な人たちもっと大切にしよう、自分ももうちょっと頑張ってみよう と少し前向きな気持ちになります。

学生時代にふらっとTAACの公演を観に行ったことで、人生が変わりました。

このような機会を頂けたことに感謝し、最近緩みかけていた気を引き締めて仕事に臨みたいと思います。

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