【2020松本山雅】vs水戸(7/15)A レビュー・雑感

1.近年で最悪のゲーム


後半に2得点で追いついた山雅。
ハーフタイム3枚替えを行って普段のスタメンを投入して、死力を尽くしてようやく得た勝ち点1。

この結果は決していいものと言えない。

なぜこのような試合をしてしまったのか、なぜ山雅はここまで苦しんで居るのか。
水戸戦のレビューにとどまらず抽象的な話を展開することになるが、検討していきたい。


2.スタメン


・松本山雅FC

画像2

前節から5人変更、4-4-2で試合に挑んだ。


・水戸ホーリーホック

画像3

前節からこちらも5人変更、3-1-4-2スタートだったが、前半の飲水タイム後に4-4-2へと変更した。
4-4-2ではCBがンドカと住吉、SBが右に前嶋・左に乾、ボランチは山田・平野、SHは右に外山・左に山口という構成だった。

この変更は、山雅がコンパクトな攻めを見せることで、サイドチェンジの可能性の低下やスライドの距離の減少など、5バックで守るメリットがなくなったためと考えられる。


3.最悪の前半その1・守備


まず、4-4-2でブロックを組むのであれば

①プレスをしっかりかけて相手のスムーズなボール回しを妨げる
②しっかりとコンパクトさを保ち縦パスを防ぐ

このどちらかのコンセプトをもって試合に臨むべきものであるはずだった。

しかし、今回の前半は中途半端な守備をしてしまい、ボランチの脇や間に好き放題パスを通されてしまった。

画像1

1失点目はまさにボランチの脇を通され、前線に収められたところからの失点だった。
上記の図の通り、中途半端に前傾になったところ、バイタルまで一気に侵入された。FW陣はここまで来たら詰めるべきだっただろう。
また、隼磨が乾との間にピットブルの存在を認識しながら、パスが出そうなタイミングでも間を詰める判断ができていなかった点も失点の原因となるだろう。

加えて、圍が抑えきれずピットブルに打たれたシーンは、山雅のDFは3人もゴール側に位置していた。
しかし、その全員がボールへの集中を切らし、失点を許した。このような気が抜けたプレーは端的にチーム状況を表しているように見え、とても残念だった。


4.最悪の前半その2・攻撃


攻撃では、4バック時にはコンパクトに攻めることで、ボールを失っても即時回収を図るスタイルで今シーズンは戦っている。

セルジーニョ・杉本・鈴木といったメンバーがそれをやる分には、まだ何とかなっているというのが正直なところ、今回のメンバーに、狭いところで繋いで打開するのを求めるのは無理がある。

また、スタメン組においても即時回収がままならないというのが現実的なところであり、その目的のために狭い幅で攻撃することは大きなメリットを与えてるものでは無い。

であるならば、やはり『幅を使った攻撃』へと転換するべきなのではないだろうか。

画像4

例えばこのシーン。前半26分、鈴木から利弥へ敵のブロック守備をまたぐパスが供給されたシーンでは、相手のブロックを振ることも展開することも出来ず、シュートを放たざるを得なかった。
前線4人は固まってウラ抜けもせず、ボランチもサイドのスペースに走りこむそぶりはなかった。
このようなシーンはせっかく自由に持てるスペースがあるのに使わない「勿体ない」シーンの典型例であった。


5.プレイヤーへの評価


この試合では、ゲームプランの崩壊が原因で、全てを戦術的に処理するのは不毛である。
よって、選手をある程度ピックアップして印象・評価をしたい。(敬称略)

・圍
2失点も、村山と同じように何度もセーブで貢献。
1失点目も責任を負わせるのは厳しいシーンだった。

・隼磨
守備面で軽さが目立つ試合となってしまった。
攻撃でも後半はボールタッチが減り、起点は逆サイドに…

・鈴木
2つのポジションを器用にこなし、守備でもファイト。
左SB時に受ける位置が悪いシーンがあり、狙われたが、逆足で挙げた1アシストは見事。

・藤田
ビルドアップでは終始プレスの的となり、守備では塚川との間にパスを何度も通されてしまった。
苦しいチームのバランスをとることで精一杯だった。

・塚川
後半は攻守にファイト。前半のプレーは苦しかったが、気持ちを切らさずにフル出場できたことは良かったのでは。

・久保田
初スタメンも前半は息が合わなかったことで目立てず。
後半途中からボランチでいい働きをしたが、水戸の攻撃が弱まったからこそ。藤田どの単純比較は難しい。

・イズマ
守備でもファイトできる一面を見せた。
味方の緩いパスを待って、ファールを受けたシーンで負傷。イズマ自身は悪い所がなかっただけに悔しい交代になってしまった。

・浦田
短い時間ながら効果的な動きを見せた。
SBやボランチ起用は今後のオプションとしてアリだろう。

・セルジーニョ&杉本&阪野
まとめてこの3人は、前節の反省を見事修正。裏抜けやコンビネーションで流れを引き寄せる攻めを見せた。


6.改善した点


上記でも述べているが、裏抜けについてはスタメン組の選手たちの間で修正出来ていたと考えていいだろう。
前線のダイナミックな動きが、水戸の守りの意識をより強くしていったことは間違い。

また、ボランチの塚川と藤田は、時折縦関係になり、プレスから逃れられるポジショニングを取る事が出来ていた。
3バックになった際にどうなるかはまた注目だが、ロングボールでの展開をある程度減らす、繋いでいく為のポジショニングに期待したい。


7.まとめ

悔しいのはうんざりだろう。
選手もサポーターもその思いは一緒。
一年以上遡るアルウィンでの勝利、再開後初の勝利、シーズン初の先制点。
そして、昇格への反撃ののろし…

そんな大きなことへの期待ではない。

意図が分かって楽しめるサッカー。

全ては日曜日。

期待している。