【2020松本山雅】vs新潟(7/11)A プレビュー

1.中断後初の有観客試合

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(画像は松本山雅FC HPより)
Jリーグ・NPBが7/10を目処に観客の上限を5000人と定め、観客有りでの試合を再開する。
今まで通りに固まってチャントを歌うことは出来ないが、そこに思いを持ったサポーターが居ることは新潟にとってアドバンテージになるだろう。
山雅側のモチベーションとしては、山雅サポーターは新潟に来ることが出来ないため、無観客試合と大差ないモチベーションになることも想定される。
アウェイが2試合続き試合間隔も短い上に、連戦の頭という重要な試合の相手は手強いが、ここで勝利してその後の試合に弾みをつけていきたい。


2.予想先発

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・松本山雅FC

フォーメーションは3-4-2-1、
前節から右WBの変更のみと予想。

この変更の意図は、後述する新潟の左SH本間至恩対策に、現時点で唯一守備で安定感が見える右WB田中隼磨を当てることにある。
また、隼磨を連戦の頭でフル出場させてしまうと、今後2試合のメンバー予想が容易になる(また、やりくりが厳しくなる)事もあり、布監督がどのように考えているかについても注目したい。

もしこの通り鈴木雄斗が先発した場合は、先制点・追加点を60分近くまでに取り、守備的に戦術変更をすることが予想される。

オプション①
前節の後半途中の形(3-1-4-2)で臨む場合は久保田の先発も考えられるが、その場合はより得点への意識が強いチョイスで、相手SBに自由を与えるリスク上等の試合運びになる。
上記の本予測と同様、本間投入後は押し込まれる展開が予想できるため、なるべくその前に点を取りたい試合になるだろう。
オプション②
新潟に4-4-2であたりに行く場合、守備時に大きくサイドに振られる可能性がある。
疲労上等の戦いになるため、連戦の初戦ということもありなかなか確率は低いと思われるが、布監督の采配予想を外している身としては、触れておかざるを得ない。

・アルビレックス新潟

フォーメーションは4-4-2、
前節と同じメンバーを予想。

4-4-2と予想する根拠としては、山雅の前線相手に5バックは余ることや、中盤の数的不利を避けたいことなどが挙げられる。
スタメン注目はボランチ秋山、この選手を経由したボールで得点している他、カウンター対策としても重要な位置にいることから、この選手のプレーには警戒したい。


3.山雅の攻撃、カギはボランチ

山雅としては、攻められる時間が多いだけに、相手が引いてきた時にしっかりとボールを握って主体的に攻撃を仕掛けたい。
まず前節の反省としてボランチのポジショニングの修正はおそらくしてくるだろう。(下図・バックサイドのボランチが下りるシステムで予想)

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また、そこからの展開は2通り

①ボールサイド

ボールサイドからの展開は、(図では外経由だが)ボランチないしWBからシャドー、ハーフスペース裏にテンポよく繋いでいくことが求められる。

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新潟は、前節最終ラインと2列目の間で距離ができてしまい、間で受けられた際に2列目の選手が後追い、最終ラインの選手が詰め切れないというシーンが多くあった。
修正を逆手に取り、高い位置から最終ライン裏にボールを供給することが望ましいだろう。

②逆サイド

前節の課題であった遅いサイドチェンジを修正していることが前提ではあるが、中央経由でサイドチェンジすることで、逆サイドのWBは自由にボールを持てるだろう。(下図)

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そこからの展開としては、オーバーラップした選手の前のスペースへの配球、ないし中央経由で再度逆振りという2パターンが考えられる。(下図)

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前節の課題として、サイドでボールを握っても中央に侵入できないシーンが多くあったという点がある。
揺さぶる展開で相手ボランチを引き付け、スペースでボランチがボールを受ける展開を作るシーンがあると、中央突破の糸口が見えるかもしれない。


4.山雅の守備

新潟は3-1-4-2に変化しながらビルドアップするため、ある程度サイドから攻めたいという狙いが見える。
下記の図のように、山雅としては前線でプレッシャーをかけづらい位置関係になるため、リトリートして守ることが予想される。

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新潟としてはSBに対して迎撃しに行く山雅のWB裏を、SHないしFWの選手が突く形を狙ってくるだろう。
実際、前節も田上からのロングボールからシルビーニョのクロスに持っていき得点につなげている。

まずは誘い出されずにしっかりとブロックを組むことで、新潟の手を煩わせたいところだ。


5.交代策

山雅としては、切り札久保田や、好調を維持している服部・アルヴァロは交代出場がほぼ確実とみていいだろう。
鈴木の先発の場合は前述の通り隼磨は高確率で交代出場が見込まれる。
左WB利弥の交代要員がアルヴァロに確定している訳では無いようなので、守備的な展開になった場合に交代することが出来るかどうか注目したい。

対する新潟は本間・高木善朗・新人の矢村健といった攻撃的な切り札が揃っており、前節は4-1-2-3への変更をしていることから、戦局をガラリと変える力を持っている。
更に舞行龍ジェームズが戦線に復帰しており、スタメンを予感させる記事も複数あることから、CBの交代を行うことも十分考えられる。
枠の使い方として、追いつかれた甲府戦は3人、ビハインドで得点を狙った金沢戦は5人となっており、ベンチメンバーの選考は攻撃に偏りがあると見られる。


6.神采配・優秀な監督の定義とは?

今回はこの1週間話題になった采配について触れたい。

①我らが布監督
言わずもがな3ー1ー4ー2への変更が神采配といわれている。
確かに試合の流れを変える良い采配であったことは間違いないが、素人の私でも前半にボランチのポジショニングについてツイートしており(下記)

さらに、これは塚川と久保田の交代の数分前にこのようなツイートをしている。

このツイートは後半開始5分ほどで甲府がカウンターに出ることがままならなくなっているのを見て、このままならカバーリングを期待して藤田を置いておく必要がないと判断し、フォーメーションチェンジが得策だと判断したことを軽く一言で表している。
自分は特に経験があるわけではなく、サッカーに関しては素人であるのだが、交代選手は違ったものの同じような思考にはたどり着いている。
それだけ自明の交代であり、自明の戦術変更なのではないだろうか。

裏を返せば、前半のビハインドの展開から、適切な交代策を導き実行した布監督は、優秀な監督であるといえよう。
反町前監督は相手の特徴を消すのがうまい、準備が緻密な監督であったが、バランスを気にするあまり交代で後手を踏む試合が多くなってしまっていたが、そのような試合運びを観ることは減少するのではないかと感じた。

②ファジアーノ岡山・有馬監督

ファジアーノは山雅の試合の翌日に、ホーム磐田相手にドローで勝ち点1を獲得した。
ここで有馬監督が評価されているのは、先制点の形でもある疑似カウンター。磐田の前線をうまく誘い出し、一気にゴールを陥れたその攻撃は見事であった(詳細は割愛・ハイライトへ)

しかし、前半30分過ぎから両チーム、特に岡山の選手たちの足が止まり始めた。

この時点で私は磐田側から見た印象を綴っていたのだが、この予感は現実のものとなる。

両サイドを起点にエリア内に侵攻したい磐田は、コンパクトな4ー4ー2のブロックを何度も左右に揺さぶった。60分過ぎにはパウリーニョも含め、カウンターへ労力をもって進むことはできず、自陣に釘付けになってしまっていた。
失点シーンは70分、この時点で交代はわずか1人。チーム全体が疲労に苦しむ中、チャンスと見たのかコーナーキックに人数をかけ、ファールの後のリスタートからカウンターを食らい、決定機阻止でCBが退場、FKも決められてしまった。その後続々と選手を投入したが敵陣にボールを運ぶことすらままならず試合終了。

蒸し暑い磐田で、同じメンバーでの4ー4ー2にこだわったことで体力を削り、リスクマネジメントを怠り(これも疲労が原因)カウンターを受け、勝ち点2を逃してしまった。

このように、基本的に難しい今季のゲームマネジメントは、いかに現実的に確実な采配を実行するかにポイントがある。
今後は、特に守備が重要視される試合を観戦する場合は、様々な戦術を頭に巡らせ、先の展開を読みながら観戦することで、本当の神采配・本当の優秀な監督像が見えてくるだろう。

補足として、布監督・有馬監督のお二方とも独自のスタイルを軸として持っており、私個人としては今後の采配が楽しみな「好きな監督」の一人だと思っていることはここに記しておきたい。


7.まとめ

急激に新潟戦の話に戻るが、ついてこれるだろうか(笑)
文章を書くこと自体未熟なため、脱線が過ぎたことにおいてはお許し願います(笑)

さて!厳しい試合になることは間違いなし。
次節水戸戦はミッドウィークのアウェイとなるため、山雅としては現実的な策を取らざるを得ない状況だと思われる。
そんな中でも布監督には好采配を連発して、再開後初の勝ち点3を手にして欲しいと期待している。