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10月8日公開オススメ映画『スターダスト』『キャッシュトラック』『メインストリーム』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、10月8日に公開されるオススメ映画をご紹介します。

ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。


スターダスト

ジギー・スターダストといえば、あのデヴィッド・ボウイの別人格。1972年に発売されたアルバム「ジギー・スターダスト」は大ヒットし、デヴィッド・ボウイは世界に知られることとなりました。

この映画『スターダスト』は、1971年のまだ世間に知られていないデヴィッド・ボウイ、ジギー・スターダストになる前の姿を描いています。この作品でジョニー・フリンが演じているデヴィッド・ボウイは、イギリスでは少し売れているけれど、アメリカではまったく知られていないミュージシャン。

アメリカへプロモーションツアーに出たものの、ホテルもなく、当然リムジンでの送迎もなく、彼を評価してくれた唯一のパブリシストとともに、車で全米を回ることになるのです。しかも、ビザや書類が用意されていなかったせいで、ステージ上で歌うこともできません。できることといえばパーティーでギターを弾きながら歌ったり、記者を無理やり捕まえてインタビューしてもらったり……。

そんな屈辱のツアーで、彼は孤独を深め、自分が何者か、自分がミュージシャンとしてどうありたいか、心の奥にあるものを見つけていきます。そして、アーティストとして変化していくのです。

本作『スターダスト』は、一人の男が完全なアーティストになるまでの心の変化を描く物語。本作を観てデヴィッド・ボウイの音楽を聴くと、少し違って感じられるはずです。


『スターダスト』(109分/イギリス=カナダ/2020年)
原題:Stardust
公開:2021年10月8日
配給:リージェンツ
劇場:TOHOシネマズシャンテほか全国にて
Official Website:http://davidbeforebowie.com/

キャッシュトラック

『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や『スナッチ』などスタイリッシュなアクション映画を生み出してきたガイ・リッチー監督とジェイソン・ステイサムが16年ぶりにタッグを組んだ映画『キャッシュトラック』

現金輸送車(キャッシュトラック)で多額の現金を運ぶ謎の警備員・Hを主人公にした本作。
物語が進んでいくうちに、ジェイソン・ステイサム演じるHがなぜ警備員になったのか、彼は何者なのかが明らかになっていきます。

ジェイソン・ステイサムはもちろんいつものように鬼強いわけですが、本作のアクションはかなり重厚。アクションのためのアクションではなく、怒りを表現するためのアクションとも言えます。それは原題が表しているとおり、彼が“Wrath of Man”だからです。その強さから、彼の怒りと孤独が観客にもまっすぐに伝わってきます。

2004年のフランス映画『ブルー・レクイエム』をリメイクした作品なので、あわせてみるとより楽しめるかもしれません。


『キャッシュトラック』(118分/アメリカ=イギリス/2021年)
原題:Wrath of Man
公開:2021年10月8日
配給:クロックワークス
劇場:全国にて
Official Website:https://cashtruck-movie.jp/
©2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.


メインストリーム

最後に紹介するのは、1987年生まれのジア・コッポラ監督が手がけた映画『メインストリーム』です。

この映画が描くのは、YouTuberとして急激に有名になっていく“No One Special”の姿。ごく普通の人々が、SNSで有名になっていくことで、自我を肥大させ変化していく姿を描いています。

暴走する迷惑系ユーチューバーや、いいね欲しさに極論を並べるインフルエンサーなど、日本でも問題となっている今、本作はとてもリアルに感じられます。現代の抱える宿痾とも言える問題を描き、まさに時代を切り取った一作と言え流でしょう。

フランシス・フォード・コッポラを祖父に、そしてロマン・コッポラを叔父に、ソフィア・コッポラを叔母に持つ、サラブレッド中のサラブレッドでもあるジア・コッポラのセンスと時代をとらえる目は流石の一言。
イーサン・ホークとユマ・サーマンの娘であるマヤ・ホークも主人公の一人として見事な才能を披露しています。

持って生まれた才能と、与えられた環境、そして嫉妬ややっかみを跳ね除ける精神的強さを持った彼女たちが作り上げる作品には、これからも注目していきたいところです。


『メインストリーム』(94分/アメリカ/2021年)
原題:Mainstream
公開:2021年10月8日
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
Official Website:https://happinet-phantom.com/mainstream/
(c)2020 Eat Art, LLC All rights reserved.

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