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【10月15日公開!】『ミドリムシの姫』真田幹也監督&ほりかわひろきインタビュー

放置車両を確認しては、駐車違反の確認標章の取付けを行う駐車監視員。彼らは緑色の制服を着ているため“ミドリムシ”と呼ばれ、ドライバーたちから嫌われています。この“ミドリムシ”を主人公とする映画『ミドリムシの姫』が今週末の10月15日に公開されます。

2019年に公開された前作『ミドリムシの夢』から引き続き監督を務めている真田幹也監督と、前作にも出演しているほりかわひろきさんに、映画ライターの松弥々子がお話をうかがってきました。

左:真田幹也監督 右:ほりかわひろきさん
  • 「ミドリムシ」シリーズ2作目の作品ですね。前作『ミドリムシの夢』公開後、どのように続編の製作が決まったのでしょうか。

■真田幹也監督:前作の『ミドリムシの夢』を撮っているときからパート2を作ろうと言っていたんです。「やろうって言ったからにはやらなきゃ」という感じで作ることになりました。前作の公開が2019年の11月だったのですが、その後コロナ禍に入りましたよね。それで、芸能界全体がストップした時期があったので、そのタイミングで企画を立ち上げて、内容を詰めていきました。それでちょっと落ち着いてきた去年の今頃に撮影をしたという感じですね。

  • では、コロナ禍の悪影響はそんなになかったんですね。外出しづらい期間に準備を重ねて、2021年10月頃に撮影をされたと。

■ほりかわひろき:とは言ってもね、やっぱり撮影にも影響はありましたよ。ワクチンを打ちたくない俳優さんにもワクチンを打ってもらわなきゃいけなかったしね。

■真田監督:あと、映画の中では、出演者たちはマスクを着けていないですけど、出演者以外に写り込んでいる通行人の方はみんなマスクを着けていたり、不自然な部分はありますよね。でもまあ、そこはもうしょうがないからと、そのまま生かしています。

  • 今回の『ミドリムシの姫』は、河井青葉さん演じる女性の駐車監視員が主人公ですね。あまり女性のミドリムシの方ってお見かけしない気がします。

■真田監督:前作ではおじさん2人が主人公だったので、今度は女性が主人公というのもおもしろいかなということで、女性が主人公になりました。僕がミドリムシの方に注目しすぎているからかもしれないんですが、けっこう女性もいらっしゃるんですよ。

■ほりかわひろき:そうそう、俺も見てるけどけっこういるんだよね。皆さんあの制服を着ていて、帽子もかぶっているから目立たないんですけど、実は女性も多いんですよ。

  • 前作はミドリムシの方だけではなく、落ち目のアイドルや主婦といったいろんな境遇の人々も登場している群像劇でしたが、本作はほぼミドリムシの人たちだけの物語になっていますね。

■真田監督:脚本家の太田善也さんが、前作でミドリムシのお仕事を深く掘り下げることができなかったという反省をあげておられて、それでもっとミドリムシのお仕事を掘り下げようということになったんです。でも、ミドリムシの方のことを調べても、機密保持契約とかがあるのか、取材とかがNGだったりするんですよね。あまり公開できないことも多いらしいです。

■ほりかわひろき:映画の中でも言ってますけど、ミドリムシって世の中にとって大事な仕事であるはずなのに、世界一嫌われている仕事でもありますからね。そういう仕事をあえてやっているという、そこに魅力があるんじゃないですかね。

  • 私自身は車に乗らないので、あまりそんなに嫌われている職業という認識もなかったんですけど、車に乗る人にはホントに嫌われていますよね。

■ほりかわひろき:温度差があるんですよね。車に乗らない人は「あの人たち何する人なんだろ」くらいの感じでしょ。ちょっと車を離れた隙に切符を切られてしまって、1万5千円払わないといけないというあの悔しさは車に乗っている人にしかわからない(笑)。そこもおもしろいよね。

■真田監督:そうなんですよね、誰でも見たことがある仕事なんですけどね。誰もが見たことがある仕事といえば、ミドリムシか警察官かって感じだと思うんですけど、警察官の映画やドラマは多くてもミドリムシの作品はないですからね(笑)。今回出演していただいた俳優さんのなかでも、駐車監視員の仕事に興味を持って、駐車監視員資格者講習を受けて資格者認定された人がいるんですよ。けっこう人気の資格らしいですよ。


  • 今作は主役の野上幸子役に河井青葉さんを起用されていますが、河井さんを選ばれた理由はどこにあるのでしょうか?

■真田監督:河井さんが出演されていた『愛しのアイリーン』っていう作品で、パチンコ店の制服がめちゃくちゃ似合っていたんです。それで、この方は制服を着るといろいろな職業になじむ方なんだと思い、きっとミドリムシの制服も似合うだろうとお願いしました。

■ほりかわひろき:河井さんは、やっぱりすごい美人さんですよね。そういう美人が地味な衣装を着てミドリムシを演じていてまったく違和感がないというのが、やっぱり映画のマジックですよね。

  • 作中で、幸子が語る “プライド”と“面子”という言葉の違いが印象的でした。あのセリフはどこから出てきたのでしょうか? 脚本家の太田善也さんですか?

■真田監督:あれは脚本家さんが書いたセリフですね。脚本家さんには娘さんがいらっしゃるんですけど、娘さんが駐車監視員になったらどうなるだろうっていうと思って、ご自身の娘さんをイメージして河井さんの役柄を書かれたらしいですよ。

  • プライドつながりで、お二人にとっての譲れないプライドがあれば教えてください。

■ほりかわひろき:俺はプライドを持たないようにしようと思って生きようとしてますね。そういうもので縛られている人を見ると、プライドなんかいらないんじゃないかと思っちゃう。でも、人から見れば、何かしらあるのかもしれないですけどね……。

■真田監督:僕は自分が役者でもあるので、自分の撮影現場で役者を雑に扱われるのが嫌なんですよね。いい作品を作るためには役者が自由に芝居をして、それをスタッフが撮影するべきなのに、撮影の都合で役者の演技を制限したりするのが許せないんですよ。そこが役者であり監督である自分にとっての譲れないプライドかもしれないですね。

■ほりかわひろき:いるよね、最初にカメラ位置とかカメラの動きとか全部決めて、その範囲内で演じろっていうような人。

ミドリムシのキャップをかぶったほりかわさん
  • 俳優の“演技ファースト”ということでしょうか。最近は撮影現場でのパワハラとかセクハラとかも問題になっていますよね。監督が俳優に何十回もNGを出してプレッシャーを与える人もいるとかも聞きます。

■ほりかわひろき:「おい」という一言のセリフを何百回も言わせたりね。やってる方も何がいいのかだんだんわかんなくなってくるんだよね。演劇の現場とかでもよくあったけど。

■真田監督:僕らはそういう指導を受けて育ってきた世代でもあるからね。でもそれが間違っているってことにも気づき始めた世代でもあるので、自分の現場では絶対にやらせないようにしています。

  • 次回作はどのようなものを考えておられますか? パート3はあるのでしょうか。

■真田監督:次回作は、横浜を舞台にチャレンジしたいですね。

■ほりかわひろき:俺が演じているシゲも、辞めずにミドリムシ続けてるんでしょうね。

■真田監督:ミドリムシの衣装もいっぱい作ったので、ぜひ次回作を作らないと……(笑)。医療ドラマや警察ドラマに飽きている人も多いと思うので、そんな人にはぜひ、新たな職業ドラマを見てほしいですね。魅力ある職業・駐車監視員ことミドリムシにフォーカスを当てたこの『ミドリムシの姫』をぜひ観てください!


1999年から20年以上の付き合いだという真田幹也監督とほりかわひろきさん。「男がつらいよ」シリーズの寅さんが好きで、「飄々と生きる親戚のおじさん」みたいなイメージを目指しているというほりかわさんの気取らないトークと、ほりかわさんに対する真田監督の鋭いツッコミという息のあった掛け合いも楽しく、終始笑いの絶えないインタビューになりました。

映画『ミドリムシの姫』は10月15日から池袋のシネマ・ロサで公開されるので、ぜひ観に行ってみてください。

『ミドリムシの姫』(92分/日本/2022年)
公開:2022年10月15日
配給:ミドリムシフィルム
劇場:池袋シネマ・ロサほか全国にて順次公開
監督:真田幹也
脚本:太田善也
音楽:タカタタイスケ
出演:河井青葉/大高洋夫/青野竜平/三田村賢二/樋渡真司/岡田正/ほりかわひろき/今村美乃/仁科貴/金田賢一
Official Website:https://midorimushifilm.wixsite.com/hime
© 2022 ミドリムシフィルム

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