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9月30日公開オススメ映画『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』『ドライビング・バニー』『アイ・アム まきもと』

映画ライターの松 弥々子が、9月30日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。

ダウントン・アビー/新たなる時代へ

2010年9月にイギリスで放送が開始され、シーズン6まで製作され、2020年には映画第一作が公開された「ダウントン・アビー」シリーズ。ダウントン村にある貴族の邸宅“ダウントン・アビー”に暮らす、グランサム伯爵ファミリーとその使用人たちが繰り広げる物語です。

この人気作の映画第二作となるのが、『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』です。本作のメインストーリーとなるのは、ダウントン・アビーで行われることになった映画の撮影と、グランサム伯爵一行の南フランス・リヴィエラへの滞在です。

ダウントン・アビーを映画の撮影場所として使わせて欲しいという依頼を受けた伯爵家では、伯爵の長女・メアリーが撮影クルーの応対をすることに。『ザ・ギャンブラー』撮影のため、英国俳優のガイ・デクスター、女優のマーナ・ダルグリーシュ、監督のジャック・バーバーが宿泊することになり、執事のトーマス・バロー以下、使用人たちも大張り切りで彼らをもてなします。しかし、映画が急にトーキーに変更になり……。

そんな映画撮影の喧騒を嫌った伯爵夫妻たちは、次女・イーディス、亡くなった三女のシビルの元夫のトム・ブランソンと彼の新妻・ルーシーを連れ、リヴィエラでフランス貴族たちと時を共に過ごすことに。実は、一族の重鎮バイオレット・クローリーがリヴィエラにあるヴィラを相続することとなり、そのヴィラの見学のためにリヴィエラを訪れたのです。そこで一行は、バイオレットの若き日のロマンスを知ることになるのですが……。

この作品で描かれる時代は、1928年。女性の参政権が認められ、映画はサイレントからトーキーに移り変わり始めていた時です。
時代は変化し、貴族と使用人の関係もだんだんと変わっていき、そしてさまざまなものが新しい世代へ継承されていく……。“A New Era(新たなる時代)”という副題にふさわしい、時代の変化とダウントンの進化を感じられる作品でした。

『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』(125分/イギリス・アメリカ/2022年)
原題:Downton Abbey: A New Era
公開:2022年9月23日
配給:東宝東和
劇場:全国にて
Official Website:https://downton-abbey-movie.jp/
(C) 2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
(C) 2022 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ドライビング・バニー

ある事情で子どもと離れて暮らすシングルマザーのバニーが、子どもと暮らすために爆走する映画『ドライビング・バニー』

住宅不足のニュージーランドで、定職もないバニーは家を借りることもままならず、家がないために子どもと暮らすこともできずにいます。
間借りしていた妹の家で、姪のトーニャが義理の父のビーバンから性的虐待を受けていることを知ったバニーは、ビーバンを責め、妹の家も追い出されてしまいます。

間借り先すら失ったバニーですが、なんとかして2人の子どもを引き取るため、あの手この手で艤装工作。もう少しで子どもたちと暮らせるところだったのですが、自身がおかしたルール違反のために、子どもたちを遠ざけられてしまいます。義父に虐待され母にも見て見ぬふりをされているトーニャとともに、子どもたちを奪還するために走り出すのですが……。

路上で洗車をして生活費を稼ぎ、家庭支援局の保護監察官をだまし、空き家に忍びこんで豪遊するバニーは、目的のためなら手段を選ばないバイタリティあふれる女性。自身が置かれた絶望的な状況にめげず、立ち向かっていくのです。

彼女は、ビーバンから奪った車でトーニャと、子どもたちのところに向かいます。冷静に考えると、彼女の選んだ道は間違っているし、スピードも出し過ぎ、はっきり言って事故っています。でも、彼女の姿からは「自分の人生は自分でドライブする」という強い意志が感じられます。
過酷な状況に負けず、強い意志を持ち続けて人生を突破しようとする彼女の姿に、勇気をもらえるこの作品。
ニュージーランドの経済事情・住宅事情を知ったうえで観ると、より理解が深まるはずです。

『ドライビング・バニー』(100分/ニュージーランド/2021年)
原題:The Justice of Bunny King
公開:2022年9月30日
配給:アルバトロス・フィルム
劇場:ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国にて
Official Website:https://bunny-king.com/
© 2020 Bunny Productions Ltd

アイ・アム まきもと

『舞妓Haaaan!!!』『謝罪の王様』などでタッグを組んでいる水田伸生監督&阿部サダヲ。コメディのイメージの強いこの2人がまたもタッグを組んだ映画『アイ・アム まきもと』は、不思議な味わいの人間ドラマです。

市役所の市民福祉局・おみおくり係に勤務する牧本が、孤独死をとげた身寄りのない老人・蕪木孝一郎の葬儀を行うため、生前の蕪木を知る人を訪ね歩き、彼の足跡を追う物語です。

阿部サダヲ演じる牧本は、他人とコミュニケーションが苦手な孤独な男。でも、孤独死を迎えることになった人たちの人生を大切に思い、彼らの葬儀を執り行い、家族が取りに来るかもしれないと彼らの遺骨を市役所の机の下に保存していたりもするのです。おみおくり係が廃止されることとなり、牧本は最後の仕事として蕪木の関係者を訪ねていくのですが……。

満島ひかり、宮沢りえ、國村隼、松尾スズキと言ったクセの強い名優たちが多数登場し、亡き男の人生を浮かび上がらせていく本作。実はこの作品は、ウベルト・パゾリーニ監督・脚本のイタリア・イギリス合作映画『おみおくりの作法』をリメイクしたものです。原作版と見比べてこの味わいの違いを感じてみるのも、よいかもしれません。

『アイ・アム まきもと』(100分/日本/2021年)
公開:2022年9月30日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:全国にて
Official Website:https://www.iammakimoto.jp/
@2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会



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