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1月14日公開オススメ映画『ハウス・オブ・グッチ』『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』『MONSOON/モンスーン』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、1月14日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。

ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。

ハウス・オブ・グッチ

(C) 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

「GUCCI」創業者グッチオ・グッチの孫であるマウリツィオ・グッチが、1995年3月に財産を狙う妻・パトリツィアによって殺された事件を中心に、グッチ一族の経営権を争う内紛をシニカルに描いた映画『ハウス・オブ・グッチ』

主演はレディー・ガガで、財産を狙う悪女の物語でもありますが、どこまでもこれはグッチ一族の物語。1921年にグッチオが創業した事業を、1953年にニューヨークに支店を出すことで世界的ブランドに広めたアルド(アル・パチーノ)。アルドの弟でビジネスよりも美に興味を持つ元俳優のルドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)。

才能はないのにデザイナーをやりたがるアルドの息子パオロ(ジャレッド・レト)に、妻にそそのかされて経営に手を出すも、経営の才能はなく贅沢三昧で経営権を奪われてしまうルドルフォの息子マウリツィオ(アダム・ドライバー)。

出てくるグッチ家の男たちの無能さと愚鈍さに、「よくぞグッチはこの映画に協力したな……」と驚いてしまうはず。

豪華絢爛でありながら、空虚で愚かなこの物語。現在「グッチ」ブランドを運営しているケリンググループのCEOであるサルマ・ハエックがパトリツィアを唆す占い師・ピーノを演じている点を含めて、監督のリドリー・スコットのシニカルさが光る作品でした。

『ハウス・オブ・グッチ』(157分/アメリカ/2021年)
原題:House of Gucci
配給:東宝東和
公開:2022年1月14日
劇場:全国にて
Official Website:https://house-of-gucci.jp
(C) 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド

「ダウントン・アビー」のマシュー・クローリー役や『美女と野獣』の野獣役で知られるダン・スティーヴンスが、一人の女性の理想に合わせてカスタマイズされた、完璧な高性能AIアンドロイドを演じる映画『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』。“恋人はアンドロイド”なんて、ラブコメ調のタイトルになっていますが、実はとても哲学的な物語です。

あることが理由で夫と離婚し、一人で生きている女性研究者・アルマの元にやってきた、完璧なルックスと“アルマを幸せにする”ためだけのアルゴリズムを組み込まれたアンドロイドのトム。アルマは3週間、トムと暮らしながら、“理想の伴侶”の実証実験を行うのですが……。

誰もが夢見る、自分の求めるすべてを持った恋人。その人がアンドロイドとして目の前に現れた時、人間は幸せになれるのか……。そんなテーマを描いたマリア・シュラーダー監督による意欲作。2022年度のアカデミー賞国際長編映画賞のドイツ代表作に選ばれています。アルマを演じたマレン・エッゲルトはこの作品で第71回ベルリン国際映画祭で演技部門最高賞である銀熊賞を受賞しました。

『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』(107分/ドイツ/2021年)原題:Ich bin dein Mensch
英題:I’m your man
公開:2022年1月14日
配給:アルバトロス・フィルム
劇場:新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマほか全国にて
Official Website:https://imyourman-movie.com/
© 2021, LETTERBOX FILMPRODUKTION, SÜDWESTRUNDFUNK

MONSOON/モンスーン

© MONSOON FILM 2018 LIMITED, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019

ベトナム戦争後に“ボート難⺠”としてイギリスに脱出した青年が、30年ぶりに故郷であるベトナムに訪れた青年の姿を描いた映画『MONSOON/モンスーン』

故郷に戻ったはずが、ベトナム語もうまく話せず、ベトナム人の幼なじみよりもアメリカ人やフランス人との方が気安く話せる……。そんな自身のアイデンティティに戸惑う主人公・キットを演じるのは、『クレイジー・リッチ!』『GIジョー: 漆黑のスネークアイズ』などで活躍するアジア系俳優、ヘンリー・ゴールディング。イギリス人の父とマレーシア人の母を持ち、イギリスにもマレーシアにも“母国”だと感じられないという彼が、複雑な過去とアイデンティティを抱えた青年を、静かに表現しています。

実は、本作を手がけたホン・カウ監督は、カン ボジア系中国人の両親のもとに生まれ、赤ん坊の頃にクメール・ルージュ政権下のカンボジアから逃れて、ベトナムに渡りました。その後、8歳までベトナムで過ごし、ベトナム再統一後にボート難⺠として渡英したという過去を持っているそう。監督自身の経験や複雑な感情を、見事に作品として昇華させたのが、この『MONSOON/モンスーン』なのです。

『MONSOON/モンスーン』(85分/イギリス=香港/2020年)
原題:MONSOON
公開:2022年1月14日
配給:イオンエンターテイメント
劇場:ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて
Official Website:https://monsoon-movie.com/
© MONSOON FILM 2018 LIMITED, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE 2019


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