3月3日・5日公開オススメ映画『MEMORIA メモリア』『親密な他人』『永遠の1分。』
映画ライターの松 弥々子が、今週末、3月4日、3月5日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。
ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。
MEMORIA メモリア
第74回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した、タイ出身のアピチャートポン・ウィーラセータクン監督が、コロンビアを舞台に、ティルダ・スウィントンを主演に迎えて製作した映画『MEMORIA メモリア』。
コロンビアの首都・ボゴタで暮らすジェシカは、頭の中で爆発音が聞こえるようになる。自分にだけ聞こえるその音の源泉を探ろうとするうち、ジェシカは山奥で暮らすエリナンという男性と出会い、記憶について語り合う……。
この作品は監督自身が体験した「頭内爆発音症候群」から着想を得て作られたものだそう。
正直、かなり難解な映画ではあります。理解しようとすると、なかなか難しいかも。
でも、この作品はぜひスクリーンでしてほしいと思います。監督がサウンドデザインにもこだわりを持って作られた本作、大きなスクリーンとその音響に浸り、体感してこそ、この魅力を実感できるはずです。
『MEMORIA/メモリア』(136分/コロンビア/タイ/フランス/ドイツ/メキシコ/カタール/2021年)
原題:Memoria
公開:2022年3月4日
配給:ファインフィルムズ
劇場:ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほかにて
Official Website:http://www.finefilms.co.jp/memoria/
©Kick the Machine Films, Burning, Anna Sanders Films, Match Factory Productions, ZDF/Arte and Piano, 2021.
親密な他人
行方不明になってしまった息子を探し続ける46歳のシングルマザー・恵を主人公に、女性が持つ“母性”を描いた心理スリラー『親密な他人』。
息子の帰りを待つ恵(黒沢あすか)の前に、息子の消息を知っているという20歳の青年・雄二(神尾楓珠)が現れます。行くあてがない雄二を家に迎え入れた彼女は、親子のような、恋人のような、奇妙な同居生活を始めることに……。
恵はなぜ雄二を迎え入れたのか? 彼女の目的はなんなのか。彼ら二人の関係性が、緊迫感を持って描かれるこの作品。大人の女性が楽しめる、ヒリヒリするような心理スリラーです。
『親密な他人』(96分/日本/2021年)
公開:2022年3月5日
配給:シグロ
劇場:ユーロスペースほか全国順次公開
Official Website:http://www.cine.co.jp/shinmitunatanin/
© 2021 シグロ/Omphalos Pictures
永遠の1分。
東日本大震災からもうすぐ11年。3月11日を前に、この東日本大震災を描く映画が公開されます。
『カメラを止めるな!』の監督・上田慎一郎が脚本を手がけた映画『永遠の1分。』。震災のドキュメンタリー映画を制作するために日本にやってきたアメリカ人のスティーブが、日本で多くの人々と出会い、震災をテーマにしたコメディ映画を作ろうと奮闘する物語です。
震災直後に被災地入りしたわけでもなく、何か大きな被害を受けたわけでもない人間が、震災について何かを語っていいのか。それは、多くの人々が自問自答しているテーマかもしれません。
この映画の曽根剛監督も、同じ思いを抱いていたようです。
しかし、曽根剛監督と上田慎一郎は、被災地の人々の強さ、被災地の人々の心を和らげた“笑いの力”であれば、自分たちでも描くことができると気づきました。そして、アメリカ人が被災地で被災者を取材するうちに、“笑い”が極限状態を生き抜くための力となることに気づき、「311をテーマにしたコメディ映画」を作る様子を映画にしたのです。
異常気象、パンデミック、戦争と、大きな試練が次々に降りかかる今だからこそ、笑いの力が必要なのかもしれません。
『永遠の1分。』(97分/日本/2022年)
公開:2022年3月4日
配給:イオンエンターテイメント
劇場:全国にて
Official Website:http://eien1min.com/
(C)「永遠の1分。」製作委員会