見出し画像

【観劇レビュー】演劇ユニットTK5第二回公演『夏季休暇』

今回はkayserが担当します。
俳優の大朏岳優・上野凱・室井響による演劇ユニットTK5の第二回公演が満を持して上演されました。第一回旗揚げ公演からはや1年半。

メンバーそれぞれの活動を経て、この夏、再集結した彼らの最新作を、第一回に続き観劇してきました。今回は、そんなTK5第二回公演の詳細を紹介しつつ、観劇レビューをお届けします!

今回も情熱ほとばしる印象的な作品!

TK5の第二回公演のタイトルは、ずばり『夏季休暇』。猛暑の続く今年2023年の夏の終わりに上演されました。

物語は、プロローグから始まります。主人公、おかかちゃんこと一岡果歩の幼い頃、2015年の2月14日バレンタインデー。

果歩の幼なじみの外塚かおるは、手作りしたチョコレートを果歩に渡します。味見して感想を教えてほしいと。

そこから8年後の2023年。果歩の住む商店街で、それぞれの稼業を次ぐ若者たちの日常が描かれていくのです。

ある日、かおるがチョコレート修行のために、パリに留学することを果歩に告げにやってきます。突然のことに、戸惑う果歩

彼女は、8年前のバレンタインデーにもらったチョコレートの意味をずっと考えてきたのでした。「かおるが自分のことを好きかどうか」ということを。

そんなモヤモヤした気持ちを抱えながら、かおるとしばらく会えなくなる果歩が取った行動とは。

それぞれの思いを抱えながら、日々を過ごしていく等身大の若者たちを演じた俳優陣の熱演光る素敵な舞台。TK5のメンバーの安定・安心の演技はもちろん、ゲストのメンバーもみな精鋭ぞろい。見応えのある作品でした。

旗揚げ公演のコンビふたたび!

今回の作品も旗揚げ公演と同じ脚本、演出となっていました。脚本は、脚本家であり映画監督でもある増田嵩虎が担当。若手監督の中でも突出した会話劇が特徴で、期待の新人監督です。

本作でも、その特徴的な会話劇により、独特な世界観を作り上げています。センスのある言葉選びは前作同様に今回も健在で、癖になる面白さです。

その言葉たちを発する全キャストの生き生きとした芝居は必見の価値あり。手寧に演じられていく登場人物の感情。思いを言葉に乗せて、観る者の心を熱くしてくれます。

また、演出の大迫一平も前作以上に洗練された演出を披露。映画監督でもある増田嵩虎の脚本は、舞台作品にしたらどこか映像的な匂いが漂うものです。その要素をうまく舞台上に表現しています。

特にかおるが、「夏祭り」の曲に合わせて自転車で疾走するシーンは、本作の中での一番のみどころでした。

また今回、よりシンプルな舞台装置が印象的。前作では、写真を駆使した演出であったものの、本作では一切ありません。

白い壁、白い装置と最小限の小道具のみ。俳優陣たちの巧みな場面展開により、川沿いもなり、店先にもなる装置たち。

シンプルだからこそ、観客は自ら情景を想像しなければなりません。いかに想像するか―。観客に委ねられていきます。観手ひとりひとりが自らの世界を構築していくのです。だからこそ、面白い!

想像力を掻き立てられるその演出は、非常に秀逸です。その想像力の手助けともいえるピアノ演奏。そこで演奏される名曲の数々。生演奏ということろも贅沢なところです。

上演時間1時間強という短い作品ながら、濃縮された内容に、充実感でいっぱいに。そんな素敵な作品でした。

まとめ

大朏岳優・上野凱・室井響の演劇ユニットTK5。今後の活動も気になる彼らの動向に目が離せません。個別の活動はもちろんのこと、次回第三回目公演も楽しみな彼らの活躍に大いに期待しています!

今回の詳細はこちらまで。オリジナルのグッズ販売などもしています! https://www.t-k-5.com/

kayser

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?