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11月19日公開オススメ映画『1941 モスクワ攻防戦80年目の真実』『聖地X』『COME&GOカム・アンド・ゴー』



映画ライターの松 弥々子が、今週末、11月19日に公開されるオススメ映画をご紹介します。

ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。

1941 モスクワ攻防戦80年目の真実

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第二次世界大戦における天王山の一つとも言われる「モスクワ攻防戦」。
1941年、ナチス・ドイツはソ連を降伏させるために、モスクワを目指して侵攻を始めました。

ここでモスクワが落ちてしまえば、ソ連は敗北し、ドイツの勝利が決定的になります。
モスクワを死守するため、兵力不足のソ連はまだ訓練中のポドリスク兵学校士官候補生をモスクワ攻防のための要衝に出陣させることを決定します。訓練中の学生兵や看護師ら3500人が、敵を食い止めるため、イリンスコエ防衛ラインに配属されるのですが……。

この映画『1941 モスクワ攻防戦80年目の真実』では、ロシア国防書が機密解除した文書・資料に基づき、今まであまり明らかにされていなかった学生兵のたちの戦いを描いています。

これまで訓練に明け暮れていた学生たちは、実戦に駆り出され、戦場の悲惨さを身をもって知ることになります。特に、彼らが任務地へ向かう最中に空爆を受けた際の描写は圧巻。奇襲に混乱する兵士たちや炎上する軍用車の様子を手持ちカメラを駆使した長回しで臨場感あふれる映像で描き、観客を一気に戦場に連れて行ってしまいます。

さらに、戦闘シーンの激しさだけでなく、若い兵士たちの友情や看護師をはさんだ三角関係、親子愛なども描かれ、エンターテインメント性もふんだんに盛り込まれた本作。
ロシア製作の超大作戦争映画である『1941 モスクワ攻防戦80年目の真実』、このモスクワ攻防戦から80年を経た2021年に観るのにふさわしい一作と言えるでしょう。


『1941 モスクワ攻防戦80年目の真実』(142分/ロシア/2020年)
原題:Podolskiye kursanty
英題:THE LAST FRONTIER
公開:2021年11月19日
配給:アルバトロス・フィルム
劇場:全国にて
Official Website:https://1941.jp/
(C) Voenfilm

聖地X

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『SR サイタマノラッパー』、『シュシュシュの娘(こ)』といったインディペンデンス映画から『22年目の告白 私が殺人犯です』『AI崩壊』といったビッグバジェットなスタジオムービーまで、さまざまな作品を精力的に作り続け、日本映画界を盛り上げる入江悠監督。
この入江監督が韓国の制作会社 B.A.エンタテインメントとともに、オール韓国ロケで作り上げたのが映画『聖地X』です。

この作品の主人公は、韓国・仁川の別荘で親の遺産を使って悠々自適で暮らす日本人・輝夫(岡田将生)と、不倫夫との離婚を決意して韓国にやってきた輝夫の妹・要(川口春奈)です。
彼らが仁川にある不思議な地で出会うのが、日本居酒屋を開業するために韓国にやって来た日本人の店長夫妻と、その居酒屋のオーナー・江口。

彼ら5人は、ドッペルゲンガーのような謎の現象に悩まされ、その謎に翻弄されます。
その現象は、巨木と古井戸があるその地“聖地X”が引き起こしたものらしいのですが……。

その地の歴史やいわれを知らない韓国の地で、異邦人の彼らは翻弄されつつも、謎を解き明かし、自分たちが本当にするべきことに気づいていきます。
この映画『聖地X』は、ホラーでありながら、人間ドラマでもあるのです。

異邦人たちが出会う不思議な出来事を描く映画『聖地X』、観終わった後にもついつい残された謎について考えさせられてしまう、そんな不思議な味わいの映画でした。


『聖地X』(114分/日本/2021年)
公開:2021年11月19日
配給:ギャガ、朝日新聞社
配信:「au スマートパスプレミアム」「TELASA(テラサ)」
劇場:全国にて
Official Website:https://seichi-x.com/
(C) 2021 「聖地X」製作委員会


COME & GO カム・アンド・ゴー


大阪を中心に活動しているマレーシア人監督、リム・カーワイ。彼が手掛けたのが、大阪を舞台にしたこの映画『COME & GO カム・アンド・ゴー』です。

舞台となっているのは、令和以前、コロナ禍が始まる前の大阪のキタ。アジア各国からさまざまな目的でやってきた人々が交錯するその街を舞台に、同じところにいながらもすれ違い、交わることのない各国の人々を描いています。

登場するのは、
韓国から風俗嬢をスカウトして日本の風俗店に手配する在日韓国人のブローカー、
韓国から日本に出稼ぎにやってきた風俗嬢、台湾からやってきた日本のAVオタク、
ネパールからやってきて日本のカフェで働く難民、
ベトナムに帰りたくても帰れない技術研修生、ミャンマーからやってきた留学生、
マレーシアから出張でやってきた旅行代理店勤務の男ら、
アジア各国から日本にやってきた人々。

それ以外にも老人の孤独死を捜査する刑事、ボランティアで日本語教師をしている女性、AV制作会社社長、田舎から出てきてネットカフェで寝泊まりする女性などの日本人も登場します。

東京オリンピックや大阪万博を控え、インバウンドにわき、変化を続ける猥雑な大阪という街。
それぞれの夢を見て、それぞれの人生を送るアジア人たちが、大阪へ来て、大阪から行ってしまうこの物語は、コロナ禍前の日本・コロナ禍前のアジアの一つの姿を鮮やかに記録した群像劇と言えるでしょう。

台湾のリー・カンション、ベトナムのリアン・ビン・ファット、マレーシアのJ・C・チー、香港のデイビット・シウ、韓国のイ・グァンスといったアジアの才能が多く結集しているので、アジア映画ファンにとっても見逃せない一作です。


『COME&GOカム・アンド・ゴー』(158分/日本=マレーシア/2020年)
英題:Come and Go
公開:2021年11月19日
配給:リアリーライクフィルムズ
劇場:ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開
Official Website:https://www.reallylikefilms.com/comeandgo
(C)cinemadrifters


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