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9月10日公開オススメ映画『ムーンライト・シャドウ』『浜の朝日の嘘つきどもと』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、9月10日に公開されるオススメ映画をご紹介します。
ぜひ映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。

ムーンライト・シャドウ

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1988年に刊行された吉本ばななの小説「キッチン」に収録された「ムーンライト・シャドウ」。
吉本ばななが世に出るきっかけともなったこの小説が、30年以上の時を経て、映画化されました。

マレーシア出身のエドモンド・ヨウが監督を務めた映画『ムーンライト・シャドウ』は、もう驚くほどに吉本ばななの世界観そのまま。
世界の色味、映像、登場人物、雰囲気、彼らのセリフ回し……。あの頃本を読んで思い描いていた世界が、30年以上の時を経てそのまま映像として登場したことに、驚きを禁じえませんでした。

主要登場人物を演じるのは、小松菜奈、宮沢氷魚、佐藤緋美、中原ナナの4人。彼らの見せる表情と世界に思わず引き込まれてしまう一作。小松菜奈の神がかった美しさ、宮沢氷魚のはかなさ、佐藤緋美の見せるあやうさ、中原ナナの戸惑い。彼らの一挙一動が、映像を月明かりのような優しく冷たく発光させています。

原作小説を読んだことがなくてももちろん楽しめますが、あの頃「キッチン」や「ムーンライト・シャドウ」を読んだことがある人には、ぜひ観て欲しいと思います。


『ムーンライト・シャドウ』(92分/日本/2021年)
公開:2021年9月10日
配給:エレファントハウス
劇場:全国にて
Official Website:https://moonlight-shadow-movie.com/
©2021映画「ムーンライト・シャドウ」製作委員会

浜の朝日の嘘つきどもと

映画好きにとってはおなじみの場所、映画館。
子どもの頃からよく通った映画館、家の近くで一番よく行く映画館、若い頃よく通った映画館、旅行先でふらっと入った映画館。たくさんの思い出の映画館があるのではないでしょうか。

この映画『浜の朝日の嘘つきどもと』は、福島県南相馬に実在する映画館を舞台に、震災、コロナ禍で大打撃を受けた映画館を守ろうと奮闘する人たちの物語です。劇中には映画の名セリフを始め、映画を愛する人たちにとっては刺さるセリフが散りばめられ、映画好きの心を刺激してくれます。監督・脚本を務めたタナダユキ、そして主演の高畑充希らの映画愛がフィルムを通して観客の心に届く、という感じでしょうか。

映画、そして映画館を愛する人たちの物語だからこそ、この作品は絶対に映画館、それもシネコンではなく地元に古くからある映画館で観てほしい……(いやまあシネコンでもいいんですけどね)。
そんな気持ちにさせてくれる作品です。


『浜の朝日の嘘つきどもと』(114分/日本/2021年)
公開:2021年9月10日
配給:ポニーキャニオン
劇場:全国にて
Official Website:https://hamano-asahi.jp/

先生、私の隣に座っていただけませんか?

堀江貴大が監督・脚本を務めた映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』
結婚5年目の漫画家夫婦を主人公に、不倫する夫、そして夫の不倫を漫画に描く妻の姿を描いています。

夫の不倫を描く妻を演じるのは黒木華、そして自分の不倫が妻に知られているのではと怯える夫を演じるのは柄本佑。日本映画界に欠かせない若手実力派俳優ふたりが密かに繰り広げる心理戦は、かなりの見応え。

さらに、主人公が描く漫画の展開と現実での出来事が交差していくストーリー構成もお見事。
自身が書いた脚本を監督が映画化していることもあり、キャラクターたちもとても魅力的で、彼らの行動に理解と共感ができるように描かれています。

男性か女性か、思う側か思われる側か……、観る人の立場によって、その感想はかなり変わってくるかもしれないこの作品。あなたはこのラストをどう受け止めるでしょうか?


『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(119分/日本/2021年)
公開:2021年9月10日
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
Official Website:https://www.phantom-film.com/watatona/

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