見出し画像

5月12日公開オススメ映画『TAR/ター』『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』『デスパレート・ラン』

映画ライターの松 弥々子が、5月12日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。

TAR/ター

ベルリン・フィル初の女性指揮者となったリディア・ターを主人公とする映画『TAR/ター』

ガラスの天井を打ち破り、圧倒的な権力と地位を手に入れ、すさまじい成功をなしとげたターを、ケイト・ブランシェットが鬼気迫る迫力で演じています。
ターの自己プロデュース能力や、敵と見做したものには子どもであっても完膚なきまでに叩きのめす容赦のなさ、例え音楽に興味のない観客向けの公演であっても、きっちり下準備を欠かさない完璧主義さ……。

そのトゥーマッチさは、まさに“怪物”と呼ぶにふさわしいもの。この傑出した怪物の光と闇を表現できるのは、やはりケイト・ブランシェットしかいないと思ってしまいます。
アカデミー賞は逃しましたが、第79回ヴェネツィア国際映画祭女優賞受賞にふさわしい、怪演を見せてくれました。

『TAR/ター』(158分/アメリカ/2022年)
原題:tar
公開:2023年5月12日
配給:ギャガ
劇場:全国にて
Official Website:https://gaga.ne.jp/TAR/
(C)2022 FOCUS FEATURES LLC.

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像

1980年代ニューヨーク・クイーンズのユダヤ系中流家庭に育った映画監督ジェームズ・グレイの自伝的物語を映画化した『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』

絵を描くのが好きな11歳のユダヤ人少年・ポールの姿を、厳しくもやさしい眼差しで描いています。
ポールを演じるバンクス・レペタ、そして彼の友人となる黒人少年・ジョニーを演じるジェイリン・ウェッブの少年らしく初々しい演技に加え、ポールを見守り支えてくれるおじいちゃんを演じるアンソニー・ホプキンス、ポールの母親役のアン・ハサウェイの演技も見応えあり。

初めて人生の厳しさと自分の無力さを知る11歳の少年。自分は弱い人間でもあるけれど、守られてもいる恵まれた人間でもある。世の中には、もっと厳しい人生を歩まざるを得ない人もいる……。

不条理な人生に立ち向かうにはどうすればよかったのか。そんな、ジェームズ・グレイ監督の逡巡と後悔、そして友人や家族を思う心が深く表現された、人間ドラマでした。

『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』(115分/アメリカ/2022年)
原題:Armageddon Time
公開:2023年5月12日
配給:パルコ ユニバーサル映画
劇場:全国にて
Official Website:https://www.universalpictures.jp/micro/armageddon-time
(C)2022 Focus Features, LLC.

デスパレート・ラン

ナオミ・ワッツが一人で走り続ける映画『デスパレート・ラン』
主人公は、1年前に夫を亡くし、反抗期で話もしてくれない高校生の息子に手を焼く一人の母親・エイミーです。

「学校に行きたくない」という息子を残し、森の中をジョギングしていたエイミーのもとに、息子の通う高校で乱射事件があったと知らせが入ります。
家から離れた森の中で、車もなく、不確定で断片的な情報が入ってくる状況。

息子は高校に行っているのか? 乱射事件に巻き込まれているのか? それとも、乱射事件に関係しているのか……?

不安ばかりが募るなか、スマホを手に各所に電話をしたりして情報を得よう、息子を救おうとするエイミー。
遠く離れた森の中で、スマホしか持っていない彼女に何ができるのか?
森の中というワンシチュエーションながら、ナオミ・ワッツはさすがの演技力で盛り上げる本作。
子どもを思う母親の強さを実感させてくれる、シチュエーションドラマでした。

『デスパレート・ラン』(84分/アメリカ/2021年)
原題:The Desperate Hour
公開:2023年5月12日
配給:イオンエンターテイメント
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
Official Website:https://desperate-run.jp/
(C)2021 LAKEWOOD FILM LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?