12月17日公開オススメ映画『ボス・ベイビー　ファミリー・ミッション』『雨とあなたの物語』『偶然と想像』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、12月17日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。
ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。

今週末はあの大作『マトリックス レザレクションズ』も公開されますが、観ていないので、それ以外の作品で（笑）。

ボス・ベイビー　ファミリー・ミッション

今週最初にご紹介するのは、ドリームワークス製作のアニメーション映画『ボス・ベイビー　ファミリー・ミッション』です。

見た目は赤ちゃん、中身はおっさんのボス・ベイビーと、7歳の兄・ティムの冒険を描いた2017年の前作『ボス・ベイビー』。現実には4年しか経っていませんが、劇中ではなんと25年の時間が経過し、ボス・ベイビーもティムもすっかり本物のおっさんになっています。

しかし、ティムの次女であるティナが、いつの間にかボス・ベイビーならぬボス・レディに……。見た目は赤ちゃん、中身はトップ諜報員のキャリアレディになっていたのです。ティムとボス・ベイビーはティナに“スーパーミルク”を飲まされ、25年前の姿に若返ります。そして、二人で世界征服を企むある学校に潜入することになるのですが……。

今作の注目点は、前作から25年後の物語ということで、ティムもボス・ベイビーも中身は本物のおっさんになっているところ。娘を愛する父親であり成功者の弟に素直になれない兄のティム、そしてビジネスで成功したものの兄とも疎遠になっている弟のセオドア（ボス・ベイビー）。大人になった二人のドラマが、うれしくもあり、切なくもあり……。より大人の心に響くドラマになっています。

クリスマスに子どもと大人で共に楽しむのにふさわしい、まさにファミリーで観たいお正月映画でした。

『ボス・ベイビー　ファミリー・ミッション』（107分／アメリカ／2021年）
原題：BOSS BABY FAMILY BUSINESS
公開：2021年12月17日
配給：東宝東和、ギャガ
劇場：全国にて
Official Website：http://bossbaby.jp
© 2020 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

雨とあなたの物語

次に紹介するのは、カン・ハヌル主演の韓国映画『雨とあなたの物語』です。

この作品は、2003年の韓国を舞台に、ソウルとプサンで手紙のやりとりをしている男女を描いた物語です。二浪中の予備校生・ヨンホは小学校の頃に出会ったけれどほとんど話したことがないままに転校してしまったのソヨンに手紙を出します。しかし、ソヨンは難病で入院しており、意思疎通は文字カードでしかできない状態。ソヨンを看病していた妹のソヒは、ソヨンのふりをしてヨンホと文通をするようになるのですが……。

20年近い前、携帯電話はあったものの、まだSNSやスマホもなかった時代。相手のことを考えて手紙を書き、返事を待つというゆっくりとしたコミュニケーション。返事を待つ間に熟成されていく気持ちや、その間に変化していく人間の心が丁寧に描かれています。

12月31日に雨が降っていたら会いましょう。その言葉を信じ、待ち続ける二人の間に、奇跡は起こるのでしょうか。。。

『雨とあなたの物語』（117分／韓国／2021年）
原題：비와 당신의 이야기
英題：Waiting For Rain
公開：2021年12月17日
配給：シンカ
劇場：シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて
Official Website：https://synca.jp/ametoanata/
(C) 2021 KIDARI ENT, INC., SONY PICTURES ENTERTAINMENT KOREA INC. (BRANCH), AZIT FILM CORP., AZIT PICTURES CORP. ALL RIGHTS RESERVED

偶然と想像

最後に、『ドライブ・マイ・カー』で第74回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した濱口竜介監督の短編映画集『偶然と想像』を紹介します。

『魔法(よりもっと不確か)』、『扉は開けたままで』、『もう一度』の三本の短編からなるこの作品は、偶然によって人生が動いていく作品です。主に、二人の人物の対話シーンが主となるこの作品。偶然からもたらされたその対話が想像を呼び、行動を形作っていきっていきます。そして、さらに偶然が起こる……。

意図的な演出なのか、感情をこめすぎずに対話を進める登場人物たちの会話は、だからこそ観客の心に響きます。第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (審査員グランプリ)を受賞した本作、 脚本家でもある濱口竜介監督の脚本の妙を味わえる一作と言えるでしょう。

『偶然と想像』（121分／日本／2021年）
公開：2021年12月17日
配給：Incline
劇場：Bunkamura ル・シネマほか全国にて
Official Website：https://guzen-sozo.incline.life/
(C) 2021 NEOPA / Fictive