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9月9日公開オススメ映画『ビースト』『夏へのトンネル、さよならの出口』『LOVE LIFE』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、9月9日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。

ビースト

イドリス・エルバが南アフリカでモンスターライオンと戦う姿を描いた映画『ビースト』
個人的には、あのイドリス・エルバとともにシャールト・コプリー(南アフリカ出身!)が出演し、バルタザール・コルマウクルが監督しているということで、好きな要素しかない一作。

アメリカで医師として暮らしている主人公のネイト(イドリス・エルバ)は、娘たち二人とともに、南アフリカに暮らす旧友で野生生物学者のマーティン(シャールト・コプリー)のもとを訪れます。
ライオンや野生動物などが多く暮らす自然保護区に動物ウォッチングに出かけたところ、そこで人間を襲うモンスターライオンに遭遇。マーティンはライオンに襲われ、親子3人はなんとかジープで逃げ出しますが、そのジープも動かなくなってしまいます。ネイトたち親子は、数少ない武器を駆使しながら、動かない車の中でライオンから身を守りながら一晩を明かすことに……。

絶体絶命のピンチ、モンスターライオンの縄張り内という完全アウェイな環境で、父は娘を守り切ることができるのか?

アフリカの自然の美しさと厳しさと、野生動物の躍動が楽しめる本作。
人間のちっぽけさとともに、だからこそかけがえの無い親子愛を感じられる作品でした。

しかし、このライオンがすべてCGとは。現代の映像技術にも感嘆せずにはいられません。

『ビースト』(93分/アメリカ/2022年)
原題:BEAST
公開:2022年9月9日
配給:東宝東和
劇場:全国にて
Official Website:https://www.universalpictures.jp/micro/beast
(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

夏へのトンネル、さよならの出口

「なんでも欲しいものが手に入るけれど、引き換えに時間を失ってしまう……」
そんな不思議なトンネル“ウラシマトンネル”の場所を知った少年・塔野カオルと少女・花城あんずが、“欲しいもの”を手に入れるために共同戦線を張る姿を描くアニメ映画『夏へのトンネル、さよならの出口』

海辺の駅のホームで出会い、林の奥の紅葉が輝くトンネルの中で人智を越えた体験を共有する彼らは、だんだんとお互いを理解し、お互いが“どうしても欲しいもの”とその理由を知るようになっていきます。そして、お互いがお互いにとってなくてはならない存在になっていくのです。しかし、それに気づいた時、彼らの時間は……。

少年少女の出会いと成長を描くジュブナイル作品であるこの作品、カオルを演じた鈴鹿央士、あんずを演じた飯豊まりえの好演も光っています。
監督は『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』を手がけた田口智久。アニメ界にまた一人、期待の監督が誕生しました。

『夏へのトンネル、さよならの出口』(83分/日本/2022年)
公開:2022年9月9日
配給:ポニーキャニオン
劇場:全国にて
Official Website:https://natsuton.com/
(c)2022 八目迷・小学館/映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会

LOVE LIFE

第79回ヴェネチア国際映画祭に正式出品され、監督やキャストたちがレッドカーペットを歩いたことでも話題になっている映画『LOVE LIFE』。この物語は、矢野顕子の同名曲「LOVE LIFE」をモチーフに、誰かを愛し、誰かと愛し合っていたとしても、どこまでも孤独な人間の姿を静謐な映像で描いています。

妻・妙子と夫・⼆郎、そして妻の元夫でろう者であるパクと夫の元恋人・山崎。ある不幸な出来事を機に、登場人物たちの関係と心はすれ違っていきます。
妙子とパクの共通言語である韓国手話は二郎には理解できないし、山崎と二郎の過去は妙子には理解できない……。

ちょっとしたことで彼らの関係性はクロスし、拠り所は入れ替わってしまうものなのです。
同じ屋根の下にいながらも、多くの住人たちがそれぞれに無関心でまったく別の暮らしを送っている巨大な団地が舞台になっていることも、かなり示唆的。

人の心や生活はうつろうもの。結局は誰もが孤独に生きていくしかない……。
深田晃司監督が描くこの世界は、人が直接会うことができなかったコロナ禍を経て、ますます現代性を帯びてきたと言えるでしょう。

『LOVE LIFE』(123分/日本/2022年)
公開:2022年9月9日
配給:エレファントハウス
劇場:TOHOシネマズシャンテほか全国にて
Official Website:https://lovelife-movie.com/
(C)2022映画「LOVE LIFE」製作委員会&COMME DES CINEMAS


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