4月7日公開オススメ映画『ノック 終末の訪問者』『ザ・ホエール』『ガール・ピクチャー』

映画ライターの松 弥々子が、4月7日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。

ノック 終末の訪問者

M・ナイト・シャマラン監督の最新作『ノック 終末の訪問者』は、ポール・トレンブレイの原作小説「終末の訪問者（The Cabin at the End of the World）」をデイブ・バウティスタを主演に迎えて描いた“終末の映画”です。

週末を家族で過ごすため、人里離れた山小屋へやってきたアンドリューとエリックのカップル、そして8歳の養女・ウェン。のどかな週末を過ごそうとしていた彼らの元へ、神の啓示を受けたという4人の男女がやってきます。そして彼らに告げるのです。

「世界の終わりを防ぐため、君たち家族3人の中から、犠牲になる人を選んでくれ……」

彼らは狂信者なのか？
それともホモフォビアで彼らを憎んでいるのか？
なぜ自分たちの誰かが死ななければならないのか？

シャマラン監督は、アンドリューたち家族、そして山小屋を訪れた4人の男女の心理を丁寧に描き、世界の変化と心境の変遷を描いていきます。
宗教的なところもありますが、描かれているテーマは、全世界の人が理解できる普遍的なもの。
シャマラン監督作品をあまり見たことがないという人でもきっと楽しめる、家族の物語となっています。

『ノック 終末の訪問者』（100分／アメリカ／2023年）
原題：Knock at the Cabin
公開：2023年4月7日
配給：東宝東和
劇場：全国にて
Official Website：https://knock-movie.jp/
© 2023 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.　

ザ・ホエール

第95回アカデミー賞で主演男優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞の2冠を獲得した映画『ザ・ホエール』。

「ハムナプトラ」シリーズのブレンダン・フレイザーが、死期を悟った体重272キロの男を演じ、人間の弱さや優しさを見事に表現しています。

この映画を手がけたのは、『レクイエム・フォー・ドリーム』、『レスラー』、『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督。このラインナップから見てもわかるように、追い詰められた主人公たちが見せるスパークをすさまじい迫力で描き出すことに定評のある監督です。

ブレンダン・フレイザーが演じる、同性のパートナーを亡くして以来失意のなかで生きる男性が、死の前に8歳から会っていない娘との関係を修復しようとする様子は、切なくも衝撃的だったりもします。

人間が本当に自分の望みをかなえようとするなりふりかまわない様子は、どこか悲惨で滑稽なもの。だからこそこの作品は、人の心をうつのだと思います。

『ザ・ホエール』（117分／アメリカ／2022年）
原題：The Whale
公開：2023年4月7日
配給：キノフィルムズ
劇場：TOHOシネマズほか全国にて
Official Website：https://whale-movie.jp/
(C)2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.

ガール・ピクチャー

この映画『ガール・ピクチャー』は、フィンランドの3人の女の子の恋と友情にスポットを当てた青春映画。
17歳から18歳になる彼女たちの3度の金曜日を描き、たった3週間で大きく変化するこの世代の女の子たちの姿を、みずみずしく描いています。

現代の『Tytöt tytöt tytöt』は、フィンランド語で「女の子たち、女の子たち、女の子たち」という意味で、女の子たちが何か悪いことをした時に、見下したり、恥ずかしい思いにさせたりするために言うフレーズなのだそう。
日本で言うと「女の子がそんなことをしちゃダメでしょう」と言うようなニュアンスかもしれません。
監督のアッリ・ハーパサロは、このフレーズにもっと新しい意味を与えたいと思い、このタイトルをつけたのだそう。このフレーズをもっと楽しいトーンに変え、女の子たちが自由に生きることを励ました買ったそうです。

そんなふうに、その生まれた時の性別をもとに、規範的な言動を求められたり、役割を与えられたりしがちな“女の子”を励ますために作られた本作。
女の子同士で恋をしてもいいし、恋愛感情がわからなくてもいいし、セックスの冒険をしてみたっていい。
大人になる途中で、自分であることに迷ったり苦しんだりしがちな世代の若者に、ぜひ観て欲しい青春映画でした。

『ガール・ピクチャー』（100分／フィンランド／2022年）
原題：Tytöt tytöt tytöt
公開：2023年4月7日
配給：アンプラグド
劇場：新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国にて順次公開
Official Website：https://unpfilm.com/girlpicture/
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