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8月26日公開オススメ映画『NOPE/ノープ』『Zola ゾラ』『異動辞令は音楽隊!』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、8月26日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。

NOPE/ノープ

巨大な牧場上空に現れた巨大な雲。そのなかに“何か”がいる……。
『ゲット・アウト』『アス』のジョーダン・ピールが監督・脚本を務めた映画『NOPE/ノープ』は、アメリカの片田舎にある牧場で暮らす兄と妹が、牧場の上空に現れた謎の雲、そしてそのなかにひそむ生命体と対峙する物語です。

突然、自分の生活圏に現れた未知の脅威に人はどう立ち向かうのか?
ダニエル・カルーヤ演じる主人公のOJと、キキ・パーマー演じる妹のエメラルドは、一攫千金を狙ってその未確認生命体を動画に収めようと画策します。このあたり、スマートフォンを手放せず、常にカメラを通じて世界を見ている現代人への皮肉や警鐘を感じさせたりも。

SFムービー、ホラームービーかと思いきや、映画ファンにはうれしい、あのバイクアクションを見せてくれたりもし、ジョーダン・ピール監督の映画へのこだわりと愛も感じられます。
詰め込まれた要素と多くの引用、そして隠喩。ジョーダン・ピールがそこに秘めた意図を見抜くには、作品を何度か観る必要があるかもしれません。

『NOPE/ノープ』(131分/アメリカ/2022年)
原題:NOPE
公開:2022年8月26日
配給:東宝東和
劇場:全国にて
Official Website:https://nope-movie.jp/
©2021 UNIVERSAL STUDIOS

Zola ゾラ

ストリップダンサーという共通点を通じて仲良くなった黒人女性・ゾラと白人女性・ステファニの、デトロイトからフロリダ州タンパへのヤバい出稼ぎ旅の模様を描いた映画『Zola ゾラ』
この物語は、2015年にTwitterに投稿され、世界中に拡散された「148のツイート」を映画化したもの。

現代のブラック・カルチャーをふんだんに取り入れながら、若い黒人女性、特にセックスワークに従事する黒人女性たちが直面する多くの出来事を、皮肉とユーモアたっぷりに描き出した、中毒性の強い映画です。

知り合ったばかりの白人女性・ステファニに「ダンスで金を稼ぎに行こう」と誘われた黒人のゾラ。迎えにきた車に乗リ込み、ステファニと、ステファニのボーイフレンドである白人男性・デレク、ステファニのルームメイトだという黒人男性・Xと共に、タンパへと向かいます。最初はゾラもノリノリで楽しんでいたものの、だんだんとステファニたちのヤバさに気がついてくるのですが……。

白人と黒人、男性と女性、ビッチと聖女、ポン引きと売春婦、搾取と依存、抑圧と反抗、憧憬と軽蔑、冷静と熱狂。
対立してみたり、影響しあったり、干渉しあったりしながらも、決して同化することはないこれらの関係性を描くことで、ゾラという女性のタフさとしたたかさが浮かび上がってきます。

気鋭の黒人女性監督ジャニクサ・ブラヴォーがテイラー・ペイジを主演に迎えて描いた本作『Zola ゾラ』は、SNS時代に生まれた、アメリカ黒人女性発の叙事詩なのです。そのアクの強さと強烈な色彩が、思わず癖になってしまうはず……。

『Zola ゾラ』(86分/アメリカ/2021年)
原題:Zola
公開:2022年8月26日
配給:トランスフォーマー
劇場:新宿ピカデリー、渋谷ホワイトシネクイントほか全国にて公開
Official Website:https://transformer.co.jp/m/zola/
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異動辞令は音楽隊!

阿部寛が、捜査一課から警察音楽隊に左遷された男性を演じる映画『異動辞令は音楽隊!』
『ミッドナイトスワン』『獣道』の内田英治監督が原案・監督・脚本を務めたオリジナル作品です。

現場一筋、昔かたぎの鬼刑事が初めての環境で音楽に挑戦するコメディ……ではありません。
本作は、今までの生き方を否定され、そこにいられなくなった人が、新たな居場所に必死で適応し、変化し、成長していく物語なのです。

時代の変化により、どんどんと価値観や市場環境が変化していく昨今。
変化を余儀なくされ、自己を変革する必要を感じている人にとっては、きっと深く共感できる一作です。

『異動辞令は音楽隊!』(119分/日本/2022年)
公開:2022年8月26日
配給:ギャガ
劇場:全国にて
Official Website:https://gaga.ne.jp/ongakutai/
©2022 『異動辞令は音楽隊!』製作委員会

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