NO.2 クロスラリーを制するクロスショットのバリエーション!

どうも、プロテニスプレイヤー、乾祐一郎です。


今回は、クロスコートのショットについて書いていこうと思います。
テニスの基本ともいえるクロスショット。
球出しやクロスラリーで練習することが多いショットだと思います。
何気なく打っているクロスショットですが、少しの意識の変化でさらに効果的なショットに化ける可能性があります。

まず、クロスショットのメリットについてまとめてみましょう。
• ネットが低いのでネットミスの可能性が少ない。
• ダウンザラインよりベースラインまでの距離が長いので、アウトミスの可能性が少ない
• 角度がつくので、より相手を走らせることができる。(相手からどんどん遠ざかっていく)
大きなメリットはこの3つだと思います。
やはり、ネット・アウト共にミスしにくいというのが、ラリーを組み立てる基本のショットである理由だと思います。

テニスのポイントをするにあたって、クロスラリーからのダウンザラインへの展開というのは、1番王道のパターンですよね。
クロスラリーをしていて、ケアしないといけないのが、このダウンザラインへの展開です。
お互いクロスを打っている状況から、ダウンザラインへ展開して、ポイントを取る・取られる…というパターンは試合の流れを決める、太い幹のようなものかもしれません。

普段練習している内容では、もしかすると相手がダウンザラインに打ちやすいクロスショットを打ってしまっているかもしれません。

普段球出し練習などでクロスショットのターゲットを置くとき、皆さんはどこに置くことが多いでしょうか?

多くの場合は、ここらへんに置くことが多いと思います。

もちろん、ここはリスクも低く、簡単に狙えるコースなので、1番ベーシックなターゲットの位置だと思います。
実際、試合の中でも、このコースを使うことは非常に多いです。
基本練習で、ここをたくさん練習するのはいいと思います!

しかし、この基本のクロスに加えて、ここへのクロスを打てるようになったら、戦術のバリエーションがぐんと増えるという場所があります。
それが、ここです!

この、サイドラインのサービスラインより後方を通過するようなショットです!
「それってただのショートクロスじゃん。」と思われる方もいるかもしれませんが、ショートクロスとの大きな違いは、ボールの威力です。

ショートクロスは、通常のショットよりラケットヘッドを落としたり、フォロースルーを短くしたりして球足を抑えます。
その代償として、ボールの威力が落ちてしまいます。

しかし、今回試してほしいのは、通常のクロスラリーで打つような威力で、サイドラインを通過するようなショットなのです。

このショット、ラリーの中で使えるようになると、こんなメリットがあります。

①相手をコートのサイド奥に追いやることができる。

通常のクロスよりサイドに切れるショットになるので、相手をより追い出すことができます。
追い出してからのダウンザラインは、オープンコートが広く、リスクも軽減されますよね。

②相手の走るリズムを変えることができる。

通常のクロスばかり打っていると、相手の1球あたりに動く距離が一定になってしまいます。
一定になるとリズムが取りやすくなってしまい、相手が楽にボールをコントロールできてしまいます。
相手のリズムを一定にしない方法はいくつかあります(スピードの緩急・軌道の高さ・球種など)が、そのバリエーションの1つに、相手の走る距離を変化させるというものを加えることができます。

③相手のダウンザラインのリスクを上げることができる。
これが僕の中で、1番メリットが大きいと思います。
なかなか文だけで説明は難しいので、図も併せて説明しますね。

まず、通常のクロスを打った時のダウンザラインに展開される時のコートの見え方を見てみましょう。

この通りですよね。
この時、打ち手としては、ダウンザラインに打つときに、奥行きはベースラインさえ気を付ければアウトしないんです。(サイドアウトはもちろん気になりますが…)
そうすると打ち手のストレスは少なく、いいショットを食らう確率も高くなると考えられます。

続いて、サイドラインを横切るようなショットを打った時のダウンザラインに展開される時のコートの見え方を見てみましょう。

こう書くと分かりやすいと思うのですが、ここからダウンザラインに打つと、浅くなるとサイドラインを割ってアウトしてしまいます。
それをケアして内側に打つと、今度は守備範囲側に寄って来るショットになってしまいます。

つまり、ここからいいダウンザラインを打とうとすると、サイドのコントロールの他に、さらに難易度の高い深さのコントロールも必要になるのです。
やはり、サイドに加えて深さも最大限の注意を払わなければとなると、プレッシャーがかかりますよね。

という感じです。
なんとなく理解はしていただけたでしょうか?

このサイドラインを横切るショットですが、やはり打つ方も普段と比べてリスクは高くなります。
まずは、簡単な手出しのボールで軌道のイメージを掴んで、次は球出し、いい感覚になったらクロスラリーの中で打ってみるなど、ある程度球数をこなすのがいいと思います。
ポイントの中で使うには勇気と慣れが必要なので、時間がかかってしまいますが、使えると、よりクロスラリーで主導権を握りやすくなると思います。

実は僕も上手く使えるように練習中です。

皆さんも是非トライしてみてください!

先日、ATPカップが開催されていましたよね。
その中で、このショットの使い方がうまいなと思ったのがナダル選手です。
見ていたのがオーストラリアのデミノー選手との一戦です。

ナダル選手もデミノー選手も、素早いフットワークが持ち味です。
通常より相手を大きく振らないと主導権が取れない試合でしたが、ナダル選手はこのサイドラインを横切るショットを上手く使ってデミノー選手を追い出していました。
しかも、ナダル選手は左利きなので、フォアハンドのクロスショットが右利きのバックハンドに飛んでいくんですよね。

左利き特有のサイドスピンのかかったクロスショット、想像してみるととても厄介です…
もし興味があれば見てみてください。


今回はこの辺で。
ご覧いただきありがとうございました。


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