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shakaijin DAY1

大学4年時はコロナのせいで、家の中にいることがほとんどだった。通学の「つ」の字もない一年を過ごした。活動範囲はほぼ地元のみで、友人と軽い運動をするくらいだった。アメリカから帰国し、思い描いていた一年とはかけ離れた一年を送るとともに、これまでに無いほど何もしない日が続き、本を読んだり、散歩をして写真を撮ったり、人生の中で一番長い休みだったように思う。

桜が例年よりも早く咲き、「地球温暖化かな?」なんて思っていたら、あっという間に大学を卒業していた。大学の卒業式は、偶然にもぼくの誕生日と同じで、大人になるには最適な日だったように思う。

社会人になるまでの、残りの数日を気ままに過ごし、色々あって今年一緒に卒業をした同期と電話をしたり、地元の友人と会っては、ザ大学生というようなくだらない話をして笑いあった。早咲きの桜が葉桜に変わり始め、秒速5cmで花びらを落とし始めると、地面には桜の絨毯が現れた。あっという間に4月がやってきた。

これまでの人生の中では考えられないほど、新しい環境に緊張はしなかった。アメリカ留学のおかげか、少しの度胸はついたようだ。高校、大学と電車での通学をしていたぼくだったが、留学からのコロナで、通学というものからは約2年間遠ざかっていた。電車に乗ってどこかに通うということが、どこか新鮮で、通学が通勤に変わったことがまた新鮮であった。6時半の電車に飛び乗り、車内の中は男性サラリーマンばかりだった。まだまだ日本は男社会なんだなと思った。電車を乗りかえると予想以上にたくさんの人がいて、感染が少し頭によぎったりした。それと同時に社会が、経済が回っているんだなとも思った。

内定が遅かったため、同期が何人いるかも知らずに臨んだ入社式、同期は1人いたが、拠点が全く違うため、実質新卒はぼく1人だった。これも自分らしいかな、なんて思いながら、社会人1日目が始まった。規約とか、お金の話とか、名刺の渡し方とか、なんかよく聞くことをした1日だった。お昼は会社のお金で中華を食べた。年齢の近い人がたくさんいたので、楽しくやれそうだった。こんな社会人の始まりだ。

今日印象に残ったことは、入社式で社長が言っていた言葉だ。

「得意であり、特異であれ」

日本は人と同じことが良しとされる社会である。その中で異質の者は、除け者にされる。しかし、人と違うことこそが、人間のいいところだと、人と違うことこそが、個性だと、また、得意というのも人と違うということである。だからこそ得意な部分、特異な部分を伸ばすことが重要である。よく覚えていないが、そのようなことを言っていた。

自分は他の人よりかは変わった人生を歩み、普通の人よりかは変わっていると思っている。だからこそこの話を聞いたときに、「あぁ、この会社でもっと特異になりたいな」なんて思った。

社会人 DAY1 「特異になって、得意になりたい」

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