日記(2020/2/14):男は職場の女性陣にチョコを配れ

ということで、毎年恒例、事務所にチョコを配る日、いわゆるバレンタインデーがやってきました。

***

私は心身男で主に女性に色恋感情を抱く人であり、ものすごく解像度を落とすと男なんですよ。

で、この時期になると、よく
「女から自明にチョコをもらえると思っている男ども、お前らにそんな資格はなく、盗人猛々しい。貴様らにそんな甘味は必要ない」
という文章がときどきバズり、それがTwitterのタイムラインに流れてくるじゃないですか。
チョコがもらえないのはもう別に何も構わないのですが、雑魚だの盗人だの呼ばれるのは(だって外形的にはそういう含意になるでしょう)、正直に言うと
「だからスナック感覚で◯してよいのではないか。
人事担当にあることないこと吹き込んで無給で追放しよう。
それで餓死したら、餓死した方が悪い。だって雑魚で盗人なんだから」

という侮りを強く感じさせ、生命の危険を感じるので、自分はとてもそれに巻き込まれたくないんですね。
盗人を餓死させることが、先史時代には最適解だったかもしれないが、今はそれは無理な話だ。刑法で死刑のある罪は限られている。
でも、雑魚や盗人だと思ったやつが、そんなこと言っても、普通は耳も貸したくないでしょう。

じゃあ、「俺は雑魚でも盗人でもない。だからその話を俺にされても困る」という話しか出来ないんですよね。

***

だもんで、毎年、職場の女性陣にチョコを配ってるんですよ。
なぜか? 彼女たちから、物理執務室の中で、俺に聞こえる音量で、「男は無資格者のくせに盗人猛々しい」という声を聞きたくないからです。

「無資格者」の方はやむを得ない。もっと外形的に美しくならねばならない。痩せることは大変だが、やらねばならない。
人は一般に、醜い人に対して、「何で間引きされてないの? それどころか発達段階をやっている? お前の育ちのために浪費された資源が勿体無いと思わんのか。直ちに灰になって肥料と石鹸の原材料になれ」という考えを抱き勝ちだ。
それはとてつもなく「醜い」考え方だ。
だが、彼らにそんなこと言っても、どうせ何も受け入れないだろう。
自分の言ってることの、他人にどう聞こえているかの意味が、自分では分かってないんだから、「そんなこと言ってない」という回答にしかなり得ない。
当然、自分は他人の耳など持っていないんだから、そんなの分かる訳がない。
そして、それでも依然として他人にはそう聞こえるんだから、永遠に何一つ解決しないようになっている。
これはそういう仕組みだ。自分は他人じゃないし、他人は自分じゃない。どうにもならない。

だが、「盗人猛々しい」の方は、あらかじめ、この行為で、防げる。
人から、TPOに鑑みてふさわしい物をもらっておいて、なおもその手の文句を言う人、「人からもらっておいて、盗人猛々しい呼ばわりは、いくら何でも、ちょっと」と堂々と言い返せるからだ。
これでなおぐだぐだいうやつ、喋らせとけ。そいつの評判はどんどん悪くなるし、そんなやつは職場内政治でそれなりのデメリットを避けがたく受ける。そのリスクを彼らは取ったのだということだ。じゃあ、黙って見ていればいい。
自動的に、「ともあれ皆にTPOに鑑みてまともなものをくれた人」であるあなたのことを悪く言うやつはかなり減るだろう。
良く言うことはないかもしれないが、それは目的じゃないからね。
今回は、雑魚だの盗人だの呼ばわりされないことが、最大のメリットだ。身を守るためのお札だと思った方がいい。
返礼? 要らねえ。
くれたらそりゃあ「えっ! そんなことをしてくれるとは全く思ってなかった! 信じられねえ!」とは嬉しくはなるでしょうが、だから「違う」んだって…こちらは殺されないために覚悟据えてやってることなので…
「お志痛み入る、これはその心からの返礼である」という志はとても有り難く受け取るが、そういう話を「する」気がないなら、まあ、処世として受け取るよ。だって、俺のやってることも、処世なんだから…
処世のつもりで差し上げたものの返礼を、処世以外の高望みした文脈で受け取るの、それこそ俺が「盗人猛々しい」ムーブしてる訳でしょ…それが嫌だからこういう処世をやっている訳で…

***

「バレンタインデーにもう少しキラキラとしたロマンティックでポジティブな話は出来ねえのか?」
そうですね。それはまた次回からやりたいんですが、少なくともその要求、誰かが他人にチョコではなく雑魚や盗人呼ばわりを投げつけているのを拍手喝采で迎えた人たちや、下手すると投げつけた当の本人たちが、口が割けても言うこっちゃないと思いますよ。
「それくらい笑って許せて初めて大人物でありモテる」?
それもそうね。それ、他人を叩き潰す人が言うのでなかったら、もう少し真面目に受け取れたんだろうね。他人を叩き潰すのをやめたら、少しは考えてみますよ。
「叩き潰したら大人物になるから、叩き潰されて大人物になれ、そうなったら有り難く思え」と言わんばかりのその振る舞い、「かなり意味不明な発想ですね」としか思いがたい…
ぶっちゃけ、なぜそう思ったのですか? そんか非常識な常識、誰が植え付けていった? 何の疑いもなかったのか? だいぶヤバいのではないか? 俺はもうヤバいと思う。

まあ、来年は、もっとキラキラとしたロマンティックでポジティブなバレンタインデーに出来たら、楽しいかもしれませんね。
そのために、スポーツジム通い(かなり苦手意識が強い)を強いられるの、「人をインテリアか何かだと勘違いしてないか。皆さん、人間を人間椅子にするのが本当にお好きだなあ」という気持ちがかなりありますが…まあ人間椅子にならないと分からない幸せの境地もあるのだろう。ナントカします。
とにかく、盗人猛々しい人たちに、たとえ一人だろうが複数だろうが、モテても、何もしょうがないので…不幸になるために色恋沙汰をしたいという趣味、ないので…ナントカしなきゃな…

応援下さいまして、誠に有難うございます! 皆様のご厚志・ご祝儀は、新しい記事や自作wikiや自作小説用のための、科学啓蒙書などの資料を購入する際に、大事に使わせて頂きます。