SSWになってしまった話。2

4月最初の月曜日。私は中学校の校門前に立っていた。今年の桜は早かった。既に葉桜になっている。

異動が分かってからというもの、忙しかった。引継ぎもやらなくてはいけないが、それよりも先に新年度の勤務について連絡がきた。

「新年度早々ですが、〇〇中の正門前に、朝7時半に集合でお願いします。また、教育委員会に挨拶があるので、とりあえず明日にでも一度来てください。」この連絡で、どうやら異動先が中学校だということが分かった。

中学校で社会福祉士がやることは、スクールソーシャルワーカー(SSW)くらいだ。福祉畑の人にとって学校とは魔境みたいなもののように感じる。みんなが行ったことのある場所だけど、すべての児童が通る場所ニアリーイコール地区によってはサバイバーな子たちに大した公的バックアップもない中での支援になるので、何が出てくるかわからない。しかも、職場は完全アウェーで回りはみんな先生だ。自分が中学生の頃、毎日難癖つけて殴ってきた先生達と同じ人種が多数派集団を形成する魔境に、ソーシャルワークのチカラという棒っきれくらいの矜持だけで挑もうっていうのだ。その棒が魔法のステッキになるのか、倒れそうになっている身体を支える杖になるのか、よく分からなかった。

校長室に通された。歴代の校長の写真に周囲から睨まれているようで、本当に怖い。そんな中でご挨拶何も覚えていられない。どうやら今日は着任式というものがあるらしい。そこで壇上に上がり、紹介までされるらしい。

なんか知らんけど、壇上でひとことあいさつさせられた。長いと嫌われるから簡潔にすることに徹した。結果、よっしゃーっすとしか出てこなかった。

その後のことはあまり覚えていない。しかしまあ、なんか始まるんだなって気持ちはあった。

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