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僕がCRCになったワケ

こんばんは、治験のいぬです。
今日は、僕がなぜCRCになったのかについてお話したいと思います。

CRC全体では、臨床検査技師や生物・医療系の学生、医療機関で働いたあとの看護師などが多いです。次いで、栄養士や心理士、リハビリテーション職が多いです。

CRCは、治験薬を試すことで患者さんが
快方へ向かうことを喜びとしている方が多いように感じます。

僕自身も、そんな様子を見てやりがいを感じていますが、
研究者志望を経てCRCとなった僕には、
少し違った視点があります。

少数派かもしれませんが、
「CRCってこんなことを考えながら仕事をしているんだな・・・」
と思っていただけたら嬉しいです。

大学院での経験

 僕がCRCを志したきっかけは、大学院で新規治療法を開発する研究に従事した際に、データを収集することに大変苦労した経験を思い出したことです。

学生の研究ではありますが、
学内の研究推進費用 (研究費) も出ていました。
しかし、僕の教授達とは違い、予算がありませんでした。
研究は、熱意やアイディアだけでは形になりません。

人を動かすにも、研究機材を揃えるにも、
必ずお金が必要になります。

・・・無いものは仕方がないので、
とにかく自分が動くことになりました。

患者さんに治療法のメリットやデメリットを説明し、
同意を得て、患者さんの全身状態を調べ、
治療法を試してもらい、
有効性を見るための検査を自分で行い、論文をまとめました。

データを取って、いざ統計解析へ・・・

 論文をまとめるための統計解析を行う際、
大変なことが起こったのです。

患者さんは生身の人間です。
体調が悪くて体が動かず、予定していた検査の日に通院できないということがありました。
・・・しばらくは来院することが難しそう。

治療法を試したあとの検査 (有効性を確認するための検査) を実施することを、諦めざるをえませんでした。

また、ある時は身体検査の順番が異なったことがありました。
僕の研究計画では、患者さんの疲労が少ないものから順に取り組んでもらうことにしていて、途中に休憩時間も規定していました。

しかし、その日に検査を担当した方が、
順番を誤ってしまったのです。
故意ではないので仕方ないのですが、
患者さんの成績は前回と比較し、明らかに低下していました。

上記のようなエピソードは、治験でも起こりうる事態です。
ただでさえ忙しい病院業務。その中に入る治験は、
どうしても細かい規定が忘れられがちです。
僕たちは、検査が正しく行われるよう、サポートします。

もしも治験だったら・・・

僕の研究は学生の研究だったのでお咎めなしでしたが、
これが医薬品の治験だと大惨事です。
製薬会社は、お薬を試したあとの患者さんの様子を、
正しく、同じ条件で測定されたデータを使って、知りたいのです。

せっかく治験に参加してくれた患者さんのデータなので、
上記のようなエピソードがあったとしても、
存在するデータだけで解析作業を進めます。
しかし、このデータは真の値からかなり外れたものとなってしまいます。
(本来、現行の統計解析は推定統計理論に基づくものなので、ただでさえ真の値ではないのですが、今回は省略します)

おわりに

大学院でデータを正しく取れず、統計解析の際にとても苦労した経験が、治験コーディネーターとして仕事をしようと思わせてくれました。
結果として、今では社会人として一番長く続けている仕事になりました。

僕は、治験コーディネーターとしての働き方をとても気に入っています。
研究責任者のような目立つ立場ではないけれど、
治験薬を世に出すため、正しくデータが取れるように、
ありとあらゆる準備を行います。

先日も、僕が治験に関わった医薬品が販売されました。
担当したお薬が承認されるのは初めてではありませんが、
治験の段階で工夫した様々なことが思い返され、
いつも感慨深く感じます。

このお薬が、少しでも患者さんの役に立って、
生活を支えてくれますように。
そう思わずにはいられません。

本日は、僕が治験コーディネーターになった理由を
お話しました。
 どんな仕事でも、自分なりのやりがいを見つけ出すのがポイントですよね。

治験コーディネーター以外の、みんなのお仕事や
やりがいを聞いてみたいなぁと思いました。


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