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仕事って色々あるよね

こんばんは、治験のいぬです。
治験コーディネーターの仕事はとても楽しいもので、
時間があっという間に過ぎていく (忙しいともいう) のですが、
いいことばかり語っても仕方がない気がするので、今日はちょっと大変なことを書いてみようと思います。

結局、人間は自分が許容できる範疇のストレスでお仕事をすることになるわけですが、
それだけでは身もふたもない感じがする…。

医薬品開発に貢献する重要な役割を担う治験コーディネーターですが、
その仕事は意外と地味だといわれることが多いです。

ドラマで「治験」が取り扱われる際には、
基本的には不正とセット (悪役が懐から瓶を取り出す?) ですので、
劇的に場面を変える、ドラスティックなイメージがあるのかもしれません。

疾患領域によっては、患者さんの希望ともなりうる治験。
被験者のみなさんをお迎えする裏側で、僕らが経験している困難がいくつかあって…。

複雑な業務と高い専門知識への要求
治験コーディネーターは、医療従事者、製薬会社、CRO (製薬会社に代わって開発業務を担当する会社) など、様々な関係者との調整役を務め、治験が円滑に進められるよう多岐にわたる業務を担当します。中でも、一番高い知識を要求されるのが、治験責任医師…つまり、専門医とのやり取りです。
「わかってないな、コイツ」って思われると、医師との関係に支障をきたすこともあります。
ある程度勉強が好きじゃないと、やっていくのはむつかしいかもしれません。

被験者さんへの説明と同意取得
治験の内容、リスク、起こりうる副作用などを丁寧に説明し、患者さんの理解と同意を得ることが求められます。
専門用語を分かりやすく伝え、不安を解消しながら、納得して参加してもらえるよう努める必要があります。
自分が理解していないと、そもそも説明できないからね。それぞれの治験に固有のルールと並行して、その疾患自体も理解を進めておく必要があります。
単に医学的な視点ではなく、疾患を抱える方がどのような苦労をして、何が苦痛となっていて、何が治療の役に立ったり、生活の役に立つのか…までを知っておかないと、きめ細かい治験コーディネーターとしての支援は難しいです。

患者さんからお薬の作用機序や検査の詳細について問われることは少ないけど、
スケジュールや「やらなきゃいけないこと」はよく聞かれるので、
患者さん視点に立って「自分が治験に参加するならここが心配だな」という部分を丁寧に時間をかけて洗い出しています。

治験計画に基づいたスケジュール管理
治験は厳格なスケジュールで進行します。医師や患者さんの都合、検査室、薬局のスケジュールを調整しながら、検査やデータ収集などを円滑に進めなければなりません。予期せぬトラブルが発生した場合も、迅速かつ柔軟に対応する必要があります。…とは言っても、予期せぬトラブルばかりなんですけどね。

膨大な量の書類作成
治験に関する様々な記録や報告書を作成する必要があります。正確なデータに基づいて、分かりやすく読みやすい書類を作成するスキルが求められます。間違いがあると、その修正作業で多大な時間を取られるので、基本的には一発で正確な書類を仕上げ、どんどん次をこなしていく必要があります。
余談ですが、僕は新人のころ、資料を修正する際に間違えて、その修正と理由を書いたことがあります。頭おかしなるわ。

医療・薬学・倫理に関する専門知識
治験に関する専門知識はもちろん、医療・薬学・倫理に関する幅広い知識が必要です。常に最新の情報収集を行い、知識をアップデートし続ける必要があります。各種研究ガイドラインはすぐ更新されたり、新しい通知が出たりしますので、時間をとって勉強したりしています。勤務時間内に勉強するのって、なんだか新鮮ですよね。
僕は怠惰なので、新しいガイドラインだけに目を通します。意識の高い人は、最新の論文を参照したりしています。

これらの業務をこなすためには、高い集中力と忍耐力、そしてマルチタスク処理能力が必須です。僕にはないのですが、不思議なことに、なんとかやれています。

患者さんとの信頼関係構築の難しさ
治験は、患者さんにとって身体的・精神的に負担が大きいものです。不安や疑問に丁寧に答え、常に患者目線でサポートすることが重要です。

丁寧な説明とコミュニケーション
専門知識がない人に対し、治験の内容やリスクを分かりやすく丁寧に説明する必要があります。不安や疑問を聞き取り、納得いくまで説明することが大切です。その結果、「やっぱり今回は見送るわ」となったとしても、それを最大限に尊重できるような空気感も必要です。

患者さんとの信頼関係構築
信頼関係を築くことは、スムーズな治験の実施に不可欠です。良好なコミュニケーションを図り、安心して参加してもらえるよう努める必要があります。何かおかしいなって思ったら、すぐ電話してくれるような関係性がベストです。

患者さんの体調管理と副作用への対応
患者さんの体調管理は、治験の安全性と信頼性を確保するために重要です。副作用の兆候を見逃さず、迅速かつ適切に対応する必要があります。「最近なんだかダルくてさ」という一言から、有害事象「疲労感」や「傾眠 (眠気が出ること)」を想像し、医師へ伝達する必要があります。

患者との信頼関係を築くためには、共感力とコミュニケーション能力が求められます。患者の気持ちに寄り添い、常に患者にとって何が最善かを考えながら接することが重要です。

ワークライフバランスの難しさ
治験は、時間帯や休日を問わず対応が必要となる場合があり、ワークライフバランスを保つことが難しい場合があります。

時間外労働
被験者の体調急変やトラブル発生時には、時間外労働や休日出勤が発生することもあります。急に入院した患者さんがいたときは、さぁ大変です。

オンオフの切り替え
緊急連絡に対応できるよう、常に連絡が取れる状態を維持する必要があり、精神的な負担が大きくなります。人によっては、「土日も患者さんから電話がかかってくるから、休んだ気がしない」といって、退職していった方もたくさん居ます。こういう場合は、交代でシフトを組んで連絡先を担当したりするんですが、複数の治験コーディネーターで対応できることも稀だったりします。

プライベート時間の確保
責任感のせいで、仕事を持ち帰り、プライベート時間を犠牲にしてしまうこともあります。申請しない残業が多い治験コーディネーターも多いと聞きます。

仕事とプライベートの両立を図るためには、時間管理能力と周囲の理解が不可欠です。業務時間を効率的に使い、周囲と協力しながら、オンオフの切り替えを意識することが重要です。

そうはいっても

治験コーディネーターの仕事は、医療の発展に貢献するやりがいのある仕事です。しかし、多くの困難と責任が伴うことも事実です。これらの困難を乗り越え、活躍するためには、高い専門知識、コミュニケーション能力、そして強い責任感と忍耐力が必要です。今まで挙げた困難は、そうそう起こるものではないので、あまり気負っても仕方ないのかもしれません。

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