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付箋職人の朝は早い

こんばんは、治験のいぬです。
今日は、「ちょっとしたコツに気をつけるだけで、仕事は快速で進んでいく」 という視点でお話をしたいと思います。
世の中には本当にいろいろな仕事がありますよね。

僕は色々なアルバイトを経験したものの、
アルバイトが入らない職場も多いので、
自分の想像が及ばない仕事も沢山あるんだろうと思います。
でも、どんな仕事の先にも受け取り手が居るという点は共通しています。
仕事で付箋を貼るようになって、受け取り手を強く意識するようになりました。

文具コーナーに必ずある、付箋

治験コーディネーターという仕事は、
「付箋」の取り扱いがかなり上手になります。
みなさんは付箋、使ったことありますか?

僕はこの仕事をする前は、
ほとんど使ったことがありませんでした。

学生の頃は、教科書の角を三角に折っていました。
このほうが付箋より早い。パラパラ漫画みたいにめくりあげると、
折ったページで止まりますし。便利ですよね。

治験文書の修正方法

・・・さて、今の仕事の話に戻りますね。
CRCは業務上、医師が書く必要のある書類をたくさん扱います。
どんなにIT化が進んでも、治験の原資料は紙です。未だにFAXも現役です。
近年では現場でダイレクトにデータ入力・収集する手法も開発されつつありますが、
当面の主流な方法は変わらないと思います。
治験コーディネーターは、まだまだ紙とお付き合いすることが決まっています。

治験書類は、1つ誤記をしただけでも、修正手順が煩雑です。

治験責任医師等は,症例報告書の記載を変更し,又は修正するときは,その日付を記載して,これになつ印し,又は署名しなければならない。

 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 より

上記のように、堅苦しく関連省令で定められているのです。いきなり引用しましたが、僕は法規にはそれほど強くないです。
省令は症例報告書に言及していますが、
実務上は、治験の文書すべてに求められる修正手順があります。それは・・・

間違えたところを線で消して、
修正前の情報が判るようにしておきながら、
修正後の情報を書き込み、その修正理由として「誤記」などと書いた上で、日付と署名を書きます。

・・・そんなわけで、書き間違いが頻発しては、
医師も治験コーディネーターも困るわけです。

通常の診療情報提供書などとは異なり、
治験の書類はレイアウトが独特なので、
なおのこと間違いを引き起こしやすいです。

単に「先生、これ書いてください!」と書類を持っていくと、
誤記のオンパレードで、時間がいくらあっても足りないのです。

CRCの仕事においての付箋貼り

医師が「こんなことを書きたい」と思っていることを伝えてもらった後、治験コーディネーターは
「こんなふうに書いたら間違いなく書類を仕上げられるよ」
という記載案を付箋で示します。

医師は付箋を見ながら書類を仕上げます。誤記なく完成する。そして次の書類、また次の書類へ・・・。

付箋へのアツいこだわり

付箋を付ける作業にも工夫が必要です。
医師が書いたという責任を負ってもらう必要があるので、
何を書く項目なのかが見えていなければなりません。
記載欄以外が付箋で埋まっていると、「俺はこんな書類書いた覚えない」と言い出す医師も居ます。

医師の利き手や年齢によって、
付箋を貼る位置や付箋の色に気を配ります。
右利きなら左上に。左利きなら右上に。付箋は淡色・単色で統一し、目に負担がかからないようにします。

医師の性格によっては、付箋を剥がす方も居るので、
そのような先生には、剥がされても問題ないような文面で用意します。

付箋が付いたまま返却された書類を見て、治験コーディネーターは再度記載漏れがないかどうかを確認します。

Postit や Sticker のようなハイブランド (?) 付箋は、
粘着力が強いため、感熱紙を痛める可能性があります。
書類の糊残りも気になるところです。

治験コーディネーターとしては、原資料が破損する可能性は絶対に避けなければなりません。
付箋はアスクルの大入りか、100均のノーブランド品が望ましいです。

付箋を剥がす際の力加減にも注意です。
書類の表面を剥がないようにします。

配慮の結果

僕は付箋を貼った書類については、医師から誤記をされたり、
内容の問い合わせを受けたことがありません。
もし内容がわからず書類が完成しなかった場合、
症例報告の入力や、製薬会社側への報告が遅延してしまいます。
医師だけではなく、他の関係者にも多大なご迷惑をかけることになってしまいます。

付箋貼りに重点を置いて対策することで、
その後の業務が早く進んだり、処理をサブコーディネーターに任せることができるようになります。

結果として、僕は常に10案件以上を抱え、
仕事を続けることができています。

そんなわけで、日々、付箋を真剣に準備する僕なのでした。
付箋職人の朝は早い。

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