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【読書】GIVE&TAKE、面白かった所まとめ

性善説では孔子、性悪説では韓非子、このように東洋思想ではシンボルのような存在がいますが、西洋の思想家や哲学者のなかでは、性悪説っぽい人はたくさんいるけど性善説っぽい人ってあんまりいなくない?とかねてから思っていました。

自分自身、油断するとニーチェ的なエッセンスを含んだものを手にとってしまう節があるので、心のバランスを整えるためになんか性善説っぽい本を読みてぇと思い手にとったのが本書です。

元々この本は何年も前から知っていて、有料の本要約サイトでも繰り返し読みましたし、ネットに散文されている情報もたくさんあったので、改めて買ってまで読む必要ないのではと思っていました。

しかし、去年読んだ著者のオリジナルズという本がめちゃくちゃツボったのと、ネットの要約サイトやYoutubeの解説動画は所詮、原著を読むことで得られる量と質には及ばないことを他の本を通じて知ったので、気になる本ならしっかり読んでおこうと購入しました。

この記事で紹介する内容も所詮、自分が気になったところの抜粋や要約に過ぎないので、もし読んで面白いなと思った人はぜひ本書を手にとってもらえたら幸いです。

人は3種類に分けられる

本書ではギバー、マッチャー、テイカーの3つに人は分けられるということを軸に語られています。

ギバー

貰うよりも与えようとする人、貰うことは当然嬉しいが、それ以上に与えることに喜びや価値を見出している。後述しますが、ギバーには失敗するギバー成功するギバーがいます。

人口は2割程度。

マッチャー

五分五分のバランスを意識している人。

貰ったらその分を与えようと思うし、奪われたらその分反撃したいと思う人達。

人口は6割程度。

テイカー

奪う人、与えるよりも多くを欲する人、あらゆる事柄において自分の利益を第一に考える人。

人口は2割程度。

ギブもテイクも物質的なものだけではない

この本で語られるギブ(与える)、テイク(貰う)というのは、お金や物だけでなく、時間や手間、精神的な労力、才能やスキルの活用なども含まれます。

成功しやすいのは誰か

結論から言うと、失敗するギバー、テイカー、マッチャー、成功するギバーの順で、右にいくにつれ人生において成功しやすかったり、幸福を得やすいと本書では書かれています。

下記にその理由とタイプ毎の特徴についてまとめていきます。

①失敗するギバー

・お人好しであることで色々と損な思いをすることが多い。燃え尽きるギバーと呼ばれる。

・物事に対して受動的になりやすい。いわゆるNoと言えないタイプ。

・調査によると、実際に出世の機会や収入が他のタイプに比べて平均的に少ない傾向があったらしい。エンジニアではわりに合わない仕事を抱えやすく、セールス部門では顧客のためを思うあまりサービスを契約しないほうがいいなどと考えてしまいがち。

・テイカーに搾取されやすく、人に何かを与えたいという思いや行動が、ザルに水を流すように徒労に終わってしまうことも多い。

②テイカー


・奪う人、自分の得や利益を重視する人

・自分はなにをしてもらえるか、どんな利益があるか、どんなメリットがあるのかという意識が他のタイプより遥かに強い。

・上述の失敗するギバーをかぎ分け、利用したり取り入るのが上手い。

・尊敬や同情を得るために取り繕うのが上手いが、張りぼてなのですぐにボロが出る。逆にいうと短期的、一時的には成功をしやすい。

※ただし成功したとしても、後述のマッチャーにより潰されてしまう。

・自分自身の損得に敏感なので、他人の損得にも敏感になり、他人もそうであるという疑念を抱きやすい。

・上記のスタンスにより、元々はギバー的なマインドを持っていた組織に、テイカーが数名入り込むと、組織や集団に疑心暗鬼の念が広がりやすく、そのためギバーがギバーとしての力を出し惜しみするようになるそうです。

・人間関係を消費的に扱うので、一度疎遠になるとその関係は消滅してしまう。

※個人的には、焼畑農業のごとく人間関係内で炎上を繰り返し、常に新しい土地を求め続けなければならなくなるイメージがあります。

戦略的テイカーについて

・上記の特徴をさらに洗練させて、表向きは成功するギバーのように振る舞うことに長けている。社会的にも大きな成功をおさめやすかったりする。

・一見すると親切だったり愛想が良かったり、利他的に思えたりするが、いわゆる「損して得とれ」の精神が強く、根本は自分の利益が第一になっている。

テイカーの見分け方4つ

これらは実際に広範な調査による統計で割り出したらしいです。

①FacebookなどのSNSで自分を盛ったプロフ写真を使っていたり、そうした投稿が多かったり、フォロワーが多い人ほどテイカーの割合が多かった。

②「自分が影響を与えた人物はどんな人か」という質問に対して、自分よりも社会的に影響力があったり力のある人をあげることが多い。

③自分と関係を築く必要がない人、利益のない人に対しては極端に冷淡だったり横暴な態度を取りやすい。

④話の中で「私は」「私が」というワードが多い。ギバーであれば「私たちが」「私たちのチームは」と言うようなところを、個人の実績アピールに繋げがち。

③マッチャー

・損得のバランスを取る人

・目には目を、歯には歯をのスタンス

・最も人口が多いので多数派を形成しやすい

・ギバーのことは応援したくなるし、マッチャーは排除したくなる

・範囲を広げると、ギバー的な風潮の組織では惜しみなくギブをしようと思うし、テイカー的な風潮の組織では自己防衛的になる。

④成功するギバー


・与える喜びを大事にしている人。周囲からは尊敬に値する人と認識されやすい。

・世のため人のために何かしたいという利他心が強いが、それと同時に自分のキャパも理解している。

・見返りを求めるわけではないが、自分にとっても多少はプラスになることでないと、ギブを続けることができないことを理解している。

・上記により成功するギバーが活躍する組織では、お互いが自然に与え与えられという風土が形成しやすい。

・密に連絡を取り合うことはなくても、何かしようと思えば、力を貸そうという手が自然と集まる。つまりテイカーと違って一度距離を置いたり離れたとしても、良い関係は持続される。

※本書では成功するギバーは上記のような休眠の人間関係を活用することができ、テイカーはそうした関係を築くことはできないと書かれています(テイカーがその場を離れるのは、マッチャーに追放された結果であるため)

・テイカーに対してはマッチャーとして接する→重要

・最も偉大なギバーは、組織や共同体のパイそのものを大きくするギバー。

組織論(マクロ)でみるギバーとテイカー

ギバーは太陽、テイカーはブラックホールを作る

数百人〜数千人規模の様々な組織で行ったヒアリングの結果、

ギバーが多い組織、ギバー達が中心となっている組織(ギバー型組織)は人から良い影響を受けている、自分も人に良い影響を与えたいというメンバーが多くなるとのことです。

反対にテイカーが多い組織、テイカー達が中心になっている組織(テイカー型組織)は人から搾取されている、他の人などどうでもいいというメンバーが多くなるらしいです。

面白いのが、その組織のメンバーの一人一人を点で表して(画像のように)、

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この人から良いエネルギーを受けていると思うなら

相手から自分に向かう矢印を、

この人にエネルギーを奪われている感覚があると思うなら

自分から相手に向かう矢印を書くよう、秘匿性に配慮しながら実施したそうです。

その結果、

ギバー型の組織は内側から外側に矢印が広がっていく太陽のような絵が出来上がり、

テイカー型の組織は外側から内側に矢印が集約していくブラックホールのような絵になったそうです。

つまりギバー、テイカーどちらのカラーが強いかで、組織にいるマッチャーにも伝染して、組織全体のギブ &テイクの量に変化を及ぼすということでした。

おわりに

本書にも記載がありますが、なにをしているからギバーであり、なにをしているからテイカーであるという短絡的な分類はできません。

よくネットに出回っているこの婆ちゃんが言っているように、

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誰かにとってはテイカーな人がある人にはギバーだったり、ギバーの人もある人にはテイカーだと思われてしまうこともよくある事例だと思います。

その為、ギバー、マッチャー、テイカーという分類は精神の根本的な土台の部分で、簡単に表には見えないものだと個人的には思いました。

本書に書かれていることも人間を見る上でのひとつの色眼鏡かも知れませんが、性善説もある程度の尺度と信念を持って貫けば、綺麗事ではなく報われる可能性が高いというのは、世知辛いこの時代において希望になるのではないでしょうか。





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