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【心理学】群衆心理まとめ①

先日読んだフロイトの本に、ル・ボンの群衆心理の内容がたくさん引用されており、元々好きな本だったので改めて内容をまとめてみました。

ヒトラーの愛読書という逸話のインパクトが強い本ですが、社会心理学の古典的な一冊で、現代においても様々な分野で参考とされている名著です。

コロナやロシア×ウクライナの紛争など、現代の状況を鑑みると尚更興味深い内容かもしれません。

群衆の性質

・群衆は無意識に支配される、その行為は脳の作用よりも脊髄の作用を受ける。単独の個人は自己の反射作用を制御することができるが、群衆はそれに欠いている。

・群衆が多人数になるほど、個人としての罰を免れるという確信、一時的ではあるが強大な力の観念、個人としての無力感を脱し絶大な暴力の観念を生む。

・群衆とは決して多人数を指すわけではない。どんな優秀な学者でも、他者や専門外の事柄が関われば群衆と同様の性質を帯びる。

・群衆は偏狭で、横暴で、保守的な傾向に陥る。単独では許容できる意にそぐわない意見でも、群衆になると過度に反応的で時には私刑すらためらわなくなる。

・狩猟に対する熱情と群衆の凶暴さは同じ源から発されている。

群衆の性質から生まれる功罪

・群衆とは個人でいるよりも知的水準が著しく低下することにより、様々な面で非常に高く上昇したり反対に非常に低く降下したりする。

・群衆は弱い権力には常に反抗しようとするが、強い権力の前では卑屈に屈服する。その感情的性質により、無政府状態→隷属状態→無政府状態を交互に繰り返す。

・群衆の中の個人は野蛮人と親和性が高く徳性など持ち得ないが、その中に利己的な衝動を抑制するという社会的因習が持ち込まれると、自己放棄、献身、無私無欲、自己犠牲、公正さへの要求など非常に高度な徳性を持ち合わせているように映る。

・光栄、名誉、宗教、祖国などに対する感情に訴えると、とりわけ群衆の中の個人は動かされる。

・一体どれほどの群衆が、自分には理解できていなかった思想や信仰のために命を落としてしまったのか。

群衆の抱く想像力

・思想は極めて単純なものでなければ、群衆には受け入れられない。

・ある思想が群衆を動かしている場合、その思想は縮小化、単純化されていることになる。

・群衆の想像や推理は、「氷が口の中で溶けるのならば、同じ透明体であるガラス細工も口の中で溶けるに違いない」「勇敢な者の心臓を食らえば己も勇敢な魂を持つことができる」というように稚拙で野蛮なものになりがちである。

・群衆を御する術を心得ている弁士が示すのは上記のような連想である。群衆と密接な関係にある弁士は、群衆を魅了する心象(イマージュ)を喚起する術を心得ている。

・多大な影響を及ぼした弁士の演説の内容が、後から見直すと弱点が目に付くことが多いのは、その内容は哲学者のためではなく集団を勧誘するために作られた物だからである。

・群衆の心を動かすのは100の小事件よりも1の大事件、一大奇跡、一大希望のような言葉、もしくは少し奇妙な事柄から生まれる切実鮮明な心象である。

・例えばパリで数週間で数千名の死者を出したインフルエンザよりも、悲劇の末にエッフェル塔から身を投げた一人の死の方が、群衆には大きな印象を残す。

・群衆はあらやる意味で宗教的な形式を帯びる。そうした信仰を否定する無神論的な思想の持ち主も、その思想が支持されればたちまち熱情を帯びて、無神論を信仰する群衆となるだろう。

終わりに

自分自身noteにまとめておきたい箇所がたくさんあるので、2回に分けて書こうと思います。原著は少し読みづらいかもしれませんが、最近NHKがまとめた本とかも出たみたいなので、そちらの方が内容は理解しやすいかもしれません。



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