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2017年1月31日 18:51
※哉村氏とのリレー小説です。前回はこちら。第一回はこちら。 眠っている彼の頭を撫でる手がある。髪の毛を分けるように骨の形を確かめるように、爪が頭皮に微かに当たる、刺激を線のかたちに感じる。白い、とても白い光がいっぱいに目に入ってくる。その明るさに開けたばかりの瞳が慣れるまで何度か瞬きをしていると、逆光になっていた影が徐々に人の顔を取り戻してくる。「ジョルジュ」 イワンは彼の名前を発音す
2017年1月27日 12:27
・哉村氏とのリレー小説です。前回はこちら。第一回はこちら。 階段を、今いる階より四階下という相対的な指示に従って降りた先はしかし驚くほど代わり映えのしない景色だった。相変わらず白い、窓のない廊下が続いていて、一応いくらか先で折れてはいるようでずっと向こうだが突き当りが見える。それを背にして、昨日名前を知った中国人らしき少年が立っていて、大騒ぎの中では気がつかなかったが背は行彦より高いし、肩など
2017年1月25日 12:02
・哉村氏とのリレー小説です。前回はこちら。 教室。は、窓のない部屋でやたらに天井が高い。正立方体なのだとだれかが言っていたような気がする。通っていた高校のそれよりは一回り小さい。そこに細長い、木で作られた机と椅子が等間隔に四つ、それが三列並んでいる。黒板はない。ただ白い壁だけがある。普通の教室と違うことはほかにもいくつかあって、この部屋の右奥の、本来生徒が座るだろうというところには木が生えてい
2017年1月22日 19:49
・哉村氏とのリレー小説です。第一話はこちら。 第一人違いなんだ、と、階段を下りながら行彦は思う。行彦というのは本当は彼の名前ではなく、彼の弟の名前だ。しかし今、ここでは彼の名前として機能している。階段は足元も、壁も真っ白なペンキで塗られていて、手すりだけが何人もの人間に磨かれてきた風情のある鈍い金色だった。一歩ずつ、踏むたびに靴の裏に固い感触がある。上等らしい革靴は学校の制服のものと随分違って