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ほとんどのビデオ コンテンツがその可能性を最大限に発揮できない理由 Part 2

前回は動画の活用について、Content Marketing Institute 2023 Video Surveyの調査をもとにお話をいたしました。今回も同様の調査をもとに、さらに新しく話題を展開します。

第一章:カスタマージャーニーのどの段階のビデオを作成しますか?

マーケティング担当者はブランドを認知してもらうために、ビデオを制作することが最も多い(48%)。22%が商品・サービス検討段階用に作成し、15%が購入段階用、15%が購入後用に作成しています。

カスタマージャーニー別動画制作

人間的なつながりを作るための動画の価値は、今年さらに重要性を増し、昨年の37%から43%に上昇した。そのためには、視聴者が共感できる実在の人物のストーリーを共有する動画を作成しましょう。
「人間に焦点を当てることが、私たちのつながりを生み出すのです」

マーケティング担当者の43%が、動画はストーリー、苦労、成功体験を共有することで人間的なつながりを生み出すことができると回答している。3分の1(35%)は、動画は製品やサービスを紹介することで情報を提供できると答え、20%は、動画は視聴者を教育するのに役立つと考えている。ストーリーテリングの動画がより共感を呼び、製品やサービスの価値を高めると考えているようです。

ここで注意していただきたいのは、主要な視聴者が他のコンテンツよりも動画を好むと回答したマーケティング担当者はわずか30%に過ぎません。ほぼ半数(45%)の視聴者は動画見ているが、他のコンテンツタイプよりも動画を好むようには見えないと回答しています。5人に1人のマーケティング担当者は、視聴者の好みがわからないと答え、5%の視聴者は動画よりも他のタイプのコンテンツを好むと答えています。
マーケテイング担当者が動画に関わると、ブランド認知のため、検討段階のため、購入段階のためと3つのカスタマージャーニーの部分での動画作成が85%に当たると調査結果が出ていますが、実は動画の効果が大きくお客様の満足度を向上させるためには、この3つ以外に隠れていると、私は考えています。実はここが宝の山です。

第二章:動画の有効性 まだまだ道のりは長い

いったい、動画マーケティング先進国であるアメリカの事業会社は、どこで自社の動画を制作しているのでしょうか?

動画制作は自社外部

7割近くの会社が自社内で動画作成を行っています。動画マーケティングがいかに重要であるかを、彼らはしっかりと認識しており、自社内にそのノウハウを蓄積しています。
日本の現状は、これとは反対で、外部の動画制作会社へ委託している企業が多数です。
ここに、動画マーケティングに対する考え方の違いがはっきりと現れています。

しかし、動画マーケティング先進国のアメリカでも、「既存の動画をフルに活用している」と答えたマーケティング担当者はわずか7%。63%は、まだそうではない、もしくは、徐々にそうなりつつあると答えています。また、まだ長い道のりの途中を歩んでいると答えたグループは、2022年の22%から2023年には30%に増加した。つまり、アメリカの事業会社も自社内で積極的に動画マーケティングに取組んでいるが、試行錯誤しながら、成果を模索しているところであると推測されます。

動画の活用について

動画の成果が期待以上と答えたマーケターはわずか14%(2022年は15%)。70%のマーケターは期待通りの結果が得られたと回答しているが、16%のマーケターは、期待に対して平均以下の結果しか得られなかったと答えています。
動画マーケティング最先端国のアメリカでも、色々苦労しているのが伺えます。
もうひとつ踏み込んで質問をぶつけてみるとすれば、「期待って何ですか?売上?認知度?」「動画マーケティングから、期待値をどのように定量化して分析していますか?」こんな質問をぶつけてみたいですね。

動画の成果

第三章 動画マーケテイングで成果を出すためには?

マーケターは、より良い結果を得るために何が最も必要だと考えているのでしょうか?60%が動画戦略が必要だと回答(2022年も同様)しています。

動画で成果を出すために必要なこと

動画は、適切にコンテンツ内容を選定し、視聴者に届けられれば、顧客とのつながりを望むブランドにとって素晴らしい結果をもたらします。しかし、今の視聴者は非常に目が肥えています。多くの人にとって、あなたのブランドやサービスに対する認識は、すべてあなたのビジュアルコンテンツのデザインクオリティに基づいています。視聴者はもはや、従来の実写の動画コンテンツには感動しません。
実写にこだわるのであれば、ストックビデオの使用は避け、すべてをカスタムメイドにしましょう。アニメーションのオーバーレイやカスタムトランジションを追加して、コンテンツを次のレベルに引き上げましょう。あるいは、実写から完全に離れることもできます。代わりに、高品質のモーショングラフィックスに集中するなどかなり高度な動画コンテンツ作りが必要なことが分かります。動画マーケティング先進国であるアメリカの現状です。
戦略的に動画マーケテイングを活用することの重要性が毎年のように語られています。

では、日本の現状はどうでしょうか?動画活用についての課題感について質問した結果が以下です。

日本の動画活用の課題

動画の視聴者数を把握することは、動画マーケティングにおいて初歩的な指標の一つですが、それだけでは動画コンテンツの実際のビジネスへの影響、すなわちROI(投資利益率)を測定するには不十分です。日本のマーケティングにおいては、動画の費用対効果やコンバージョンの数値化が困難であるという課題があり、これが動画マーケティングの戦略的な活用を妨げる要因となっている可能性があります。

日本の動画マーケティングは、基本的なデジタルマーケティングのプロセスに沿った目標設定、分析、そしてその結果に基づく改善が十分に行われていないため、動画コンテンツへの投資に対して懐疑的な見方が存在します。具体的には、動画の効果を定量的に評価するためのプロセスに沿ったアプローチが不足しており、コンテンツの品質やコンバージョン率を向上させるための明確な戦略が欠けている状況です。このことは、動画を活用したマーケティングの効果を最大化する障壁となっています。

一方、アメリカではデジタルマーケティングの基盤が確立され、動画コンテンツの効果を分析し、最適化するためのツールや人材が既に投資されています。アメリカのマーケターは、この基盤に加えて、より戦略的なアプローチや追加のリソース投資を求めており、さらなる成果の向上を目指しています。

日本が動画マーケティングで一石を投じ、その潜在能力を解放するためには、以下のような戦略的なステップを踏むことが重要です:
1.目標設定の明確化: ビジネス目標に直結する具体的なKPIを設定し、その達成に向けた動画マーケティングの目標を明確にする。

2.分析ツールの導入と活用: データ分析ツールを導入し、動画視聴からコンバージョンに至るまでのユーザー行動を詳細に追跡し、データに基づいた意思決定を可能にする。

3.継続的な学習と改善: 動画コンテンツのパフォーマンスを定期的にレビューし、A/Bテストを通じて最適化を図る。

4.人材育成と専門性の強化: デジタルマーケティングと動画制作の専門家を内製化するか、専門知識を外部から取り入れることで、戦略的なコンテンツ制作を推進する。

5.クロスチャネル戦略の採用: ユーザーが異なるプラットフォームでどのように動画を消費しているかを把握し、オムニチャネルでの効果的な動画配信を実現する。

これらの施策を実行することで、日本の動画マーケティングはアメリカに追いつき、さらにはグローバルな競争において優位性を築くことができるでしょう。そのためには、測定可能なマーケティングの価値を認識し、その上で資源を適切に配分する文化を醸成することが不可欠です。

まとめ:動画マーケティングの戦略的進化:ブランドと顧客の深い気づきを築く

ビデオコンテンツは現代マーケティングの欠かせない一部となっていますが、その可能性を最大限に引き出すためには、単なる制作を超えた戦略的な取り組みが必要です。Part 2のこのシリーズでは、動画が単なる視覚的なコンテンツではなく、ブランドと顧客との深い結びつきを創出する手段であることを探求してきました。人間的なつながりを作り出すストーリーテリングの力を借りて、動画は顧客に情報を提供し、教育し、最終的には製品やサービスの価値を高めることができます。

しかし、動画の戦略的活用はまだ多くのマーケターにとって新たな領域です。アメリカの事例を見ると、デジタルマーケティングの基盤を固め、分析ツールや専門人材に投資することで、動画の効果を最適化しています。日本もまた、動画マーケティングの潜在力を解放するためには、目標の明確化、分析への投資、人材育成、クロスチャネル戦略の展開が求められています。

次回のブログでは、動画コンテンツが隠している「宝の山」をどう発掘するかに焦点を当て、マーケティングにおける動画の価値をさらに深堀りしていきます。動画をただ作るだけではなく、それを戦略的に使いこなし、ブランドと顧客との関係を新たな高みに引き上げるための洞察をお届けします。

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