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クリエイターがクリエイティブになった日

Stable DiffusionやChatGPTといったGenerative AIが世に出たことで、クリエイティブな活動に対するアプローチの見直しをせまられている。

GAIに対する反応は業界によってはっきり分かれていて、イラストレーター界隈では反発が大きく法規制を求める声もあるのに対して、プログラマー界隈では歓迎ムードであり、GitHub Copilotが業務に積極的に取り入れられている。

なにが起こっていて、これからなにが起こるのだろうか?

知識との関わり方

知識の扱い方には集積・適用・転用・創造の4つがある。まず知識を得ることで、それをよく知られたタスクに使うことができる。一般にせまい意味で技術というときにはこの適用を指す。よりクリエイティブな活動として、既存の知識を別の分野に使ったり、新しい知識を創り出すということがある。

ある分野で技術力の高い人は、その分野において適用・転用を行い、新たな知識を生み出していくのに対し、技術力の低い人は適用においてサポートを受ける。

コンピューターを使ったサービスでは知識の集積が得意だった。WikipediaやGoogleを思い浮かべるとわかりやすいだろう。今まではコンピューターによる知識の適用はむずかしかったが、GAIの登場によってこの問題を解決することができた。

たとえばStable Diffusionをはじめとする画像生成AIは、プロンプトと呼ばれる仕様書を渡すことで、それにあった画像を出力することができる。またチャットベースの対話が可能なChatGPTは、Webサービスの仕様を渡すことで、その作り方や必要なコードを出力してくれる。指示された通りに作業すればサービスを作ることができるというわけだ。

これから起きること

適用のみを対象としたビジネスは今後傍流になっていくと思ってよいだろう。たとえば、仕様通りにイラストやサービスをつくる受託業務がそれにあたる。GAIに対してイラストレーター界隈で反発が大きい要因のひとつは、こういった仕事をしている層が厚いためだろう。

一般に「作ること」よりも「なにを作るか」を重視するビジネスの方がGAIの恩恵を受けやすい。プログラマーたちがGAIを歓迎しているのは、技術全般に対する親和性が高いだけでなく、「なにを作るか」というクリエイティビティを発揮したい人が多いからだ。

Webサービス業界に関していえば、ユーザー数が参入障壁となっているため、クリエイティビティの低いサービスであってもまだ生き残る可能性がある。一方で、アイデアを思いついたときに専門的な知識なしにすぐサービスをつくることができるようになったことで、クリエイティビティの高いサービスは生まれやすくなっている。

適用を本業としない、本質的にクリエイティブなクリエイターにとって、GAIの誕生は朗報だ。これがあることで本質的でないタスクを速やかに処理できるため、より多くの時間をクリエイティブな仕事にあてることができる。GAIの登場によって、クリエイターたちはより深い思考や創造性を発揮できるようになっただろう。




株式会社スタメンの5月アドベントカレンダーのひとつとしてこの記事を書きました。
5月いっぱいは新しい記事がリリースされ続けますので、どうぞお楽しみください。

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