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テレパシーの時代へ

風の時代は、テレパシーの時代。言葉や文章がいらない世界がやってくる。

いつの日か、真のテレパシーによる
通信とヴィジョンが、
言葉と文書の代わりをするであろう。


アリスベイリー「ホワイトマジック」

一か月ほど前だったか、ひどく落ち込んだことがあった。感情が不安定になって、何をしても涙が溢れ言葉が発せられない。その理由が分からず混乱した。パートナーが「透視リーディングしようか?」と気遣ってくれた。透視で私のエナジーを観てくれるのだ。エナジーは真実であり、エナジーは嘘をつかない。私が何も語らずとも、私のエナジーをよみとくだけで、私は楽になるはずだ。

しかし、私は断った。「してくれるな、近寄るな」。拒絶に近い気持ちがわき、不安定さが一層深まった。私は深く沈んだ海底から、自分の力で浮上したい。自分の身体が感じたことを、自分の言葉で語らねば、自分の言葉で伝えねば、私の心は死んでしまう。身体と言葉、そして二つをつなぐ心があって、はじめて海底から太陽の光を目指して浮上できる。私は語りたい言葉があるのに、伝えたい真心があるのに、圧倒される世界という海の中で声を出せずに溺れている。でも、私は自分で表現したい。

パートナーは、言葉を奪われたくないと拒絶する私を理解して、見守ったまま距離をとった。私は私だけの繭のなかで、癒しの時間が終わるのを待った。そして一か月たって、いま私は海面へと浮上して、こうやって言葉で語れるようになった。

言葉は何のためにあるのか、という俯瞰的な問いに、「言葉が人生を創造する。そして生きる意味を体感できる」と答えたい。言葉は暴力にもなり、誤解を生む種でもあり、広い意味を限定する扱いにくい存在であることもわかる。だから言葉なんかなくていいのに…という意見にも同意はする。しかし、言葉を奪われたくはない。私は成熟した使い手になりたいのだ。

テレパシーの時代は、まだこなくていい、エナジーを読まれるだけの交流で、会話も言葉もない世界に、私は生まれたくない。察するだけでコミュニケーションが終わる世界は、まだまだ先でいい。それよりも「はじめに言葉があった。ことばは神であった」と聖書が伝えるように、創造と表現のフォースとしての言葉が、美しく花開く未来を想像したい。

テレパシーの時代は、むしろ言葉は「芸術的な創造表現」になる予感がある。ダンスを踊る、音楽を奏でる。言葉で伝える…。

ああ、だから私は海の底へ沈んだのだ…。言葉が悪いのではない。人生の神秘を表現したい、創造の苦しみだったのだ。

すべての言葉の目的は、想念に衣を着せ、
皆も利用できるようにすることである。
話すとき、私たちは想念を呼び起こし、
それを存在するに至らせ、
私たちの中に隠されていたものを
聞くことのできる表現にする。

言葉は暴露する。
悪い言葉が有害な目的をつくるように、
正しい言葉は有益な目的を創造する。

アリスベイリー「ホワイトマジック」より


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