見出し画像

何気なく弾いているものが、自分を形作る。

ギターに限らずですが、何気なく弾いているフレーズってあると思います。
楽器店で試奏する時、人にギターを借りてパラパラって弾く時、スタジオに入って音作りを確認する時etc...
そういう時に弾いてるものが実はその人の本性なんじゃないかなと思う時があります。

大学生の時ジャズ研にいたのですが、後輩のギターの子がセッションに入って、アンプに繋いだ瞬間指慣らしに邦ロックにありそうなリフを弾いた時
「ああ、この人はジャズじゃなく本当はこういうのが好きなんだろうな」
と少し悲しくなることが何度もありました。
で、実際に曲が始まったらやっぱり演奏はジャズっぽくない、、というか無理にジャズのセッションのノリに合わせてアンプ直のペラペラした音で大人しく弾いている。

本当は歪みペダルを踏んで8ビートのノリで弾きたいだろうし、そもそもジャズが体を流れてないからイメージもしづらいんだろうな。といった風に想像してしまいます。

これについてはギターに限らず他の楽器の人にも同じように思った事が何度もあります。
何というか、そういった何気ない瞬間にその人の中で流れてる音楽が垣間見えるんでしょうね。

逆に楽器を構えた瞬間にごくごく自然にバッピーなフレーズを弾いてたりする人はほんのウォーミングアップに過ぎないけど、ちゃんと演奏しなくても何となくわかる。この人は上手い。で、ちゃんとジャズをやってる人なんだろうな。
実際、曲が始まったらちゃんとジャズのメロディが流れてくる。
あくまで私の経験に基づく話ですが何のジャンルでもこういうのはある気がします。

この動画ではラリーカールトン氏が曲に入る前にルバートでフレーズを並べています。
このパートだけでも、ラリーカールトンというギタリストがどのようなプレイをするのか、どれくらいの技量の持ち主なのか、容易に想像ができますよね。
この動画を初めて見たのは高校生の時でしたが、ここだけでもこの人はすごい、おそらく私の好みなプレイをするんだろうな、と感じたのを10年経った今も覚えています。

昔師事していた先生の言葉に無意識は今までの意識の集合体だ、というのがありました。
こういうのもその1つの例かなと自分で勝手に考えております。

今回の話はあくまで自分の想像ですが、これを利用できる方法があるんじゃないかと考えました。
目指しているスタイルがあって今の自分と違ってるとします。
ふとした瞬間に弾くメロディを無理矢理そっちに持っていくように普段からやっていれば、段々と目指しているスタイルの演奏が染みついていくんじゃないかと私は思うのです。

例えば今までロックしかやってこなかったギタリストがジャズを弾けるように練習する時です。
自分もそうでしたが、フレーズ集みたいなのをメトロノームに合わせてインテンポで弾けるまで繰り返し練習をする、みたいな方が多いんじゃないでしょうか。
それはそれで必要な練習なんですが、プレイをもう一段音楽的にするには前述のような何気なく弾くフレーズもジャズのメロディになるように意識すればもっと良くなっていくという気がします。

ジャズのフレーズ練習に飽きた!
→休憩にディストーション踏んでマイナーペンタを弾きまくる
みたいなのではなくて、気分転換がてらに弾く時も同じようなジャズのフレーズをパラパラと弾くようにしていれば、どのようにギターで歌えてないのか?どれくらいの染みついてるか?そういったところも何となく見えてくると思います。

そもそも1人で弾くときにギターが歌ってなければバンドではもっと歌えません。
例えでロック→ジャズでのパターンを出しましたが、何のジャンルにおいても大体一緒だと思います。
パワーをかけて練習してるものだけでなく、何となく弾いてる時の演奏にも着目してみると、色々と見えて来る気がします。

今何となく弾いたそのフレーズ、本当に自分自身の演奏ですか?
私自身そういった瞬間も馬鹿にせずに弾いていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?