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ムッシーさんへのインタビュー/第1回「山口ならではの靴屋」

山口市の靴屋、ムッシーさんにインタビューしました。
第1回では、古民家で靴屋をやりたいと思った理由、そして家族や友人と一緒に古民家をリノベーションして靴屋を作るまでのお話などを伺いました。

<靴のムッシー>
所在地:山口市富田原町4-20
営業時間:12:00~19:00
※月曜、第2・4日曜休み
電話:083-923-2380

古民家の靴屋さん

築191年の古民家です。
もともとは大地主さんが住んでいました。
それを家族や友人知人と一緒にリノベーションして、靴屋を作りました。
以前は違う場所で靴屋をやっていたんですけど、その当時から古民家で靴屋をやりたいっていうのがありました。

山口って田舎じゃないですか。
「都会のお店に追いつけ追いこせ」
「よりカッコいいものを」
ってがんばっているお店が多いと思うんですよね。
靴屋にしても、どんなお店にしても。

ただ、田舎じゃないとできない空間づくりってあると思うんですよ。
かなり広い敷地で、おっきな建物でってなると、都会じゃちょっとできませんよね。
そういう山口ならではの靴屋を作りたいなっていうのがあったので、こういうお店を作ってみました。

前のお店を営業しながら、今のお店を改修しないといけませんでした。
1年も2年もかけてられないじゃないですか。
だいたい7か月ぐらいである程度の改修をしましたね。

今もまだまだ補修は続いてます。
たぶん古民家ってそういうものだと思うんですよね。
終わりがないというか。

好きじゃないとちょっとできないかな。
誰かに頼めばある程度のことはやってもらえると思うんですけど、費用も当然かかるでしょうし。
なかなか労力もいるんで、古い家が好きとか、手直しして何かするっていうのが好きじゃないと難しいかもしれないですね。

お客様から見える部分は全て手が入っています。
はり躯体くたいの大きな柱だけはそのままで、土壁つちかべとか天井の板とかは全て一から、土間も一から、壁もほぼそうですね。
土壁の中には竹を編んだ小舞こまいというのが入ってるんですけど、それも全部一から自分たちで作って。

壁を塗るのは左官さんと一緒に、教わりながら。
仕上げはほとんど左官さんがやったんですけど、荒壁あらかべという土台は友人とかと一緒に塗りました。

一番大変だったのは、天井に断熱材を入れる作業です。
空間が広いんで、どうしても冬場は寒くて、夏は暑かったんですよ。
天井に断熱材を入れて、裏から杉板をずっと張っていきました。
全部1人で。
もう気合だけで(笑)

ただ、あまりこう「作りました!」感を出すのが好きじゃないんで。
初めて来られた方とかはたぶん、もともとあったかのように見受けられるんじゃないかな。

もともと古民家の知識は全くなかったです。
家にそういう本とか参考資料的なものも全くなくて。
大工さんや左官さんと一緒に作業しながら覚えていくっていう感じでした。道具もだんだん増えていって(笑)

前のお店は15坪ぐらいのちっちゃなお店でした。
アパートの1階を借りてテナントとして入ってたんですけど、そこを作る時も内装は全部自分で作りましたね。
練習と思って、先々は古民家を持とうというのがありました。

革靴のよさを知ってほしい

自分の店では基本的にヨーロッパを中心とした既製の靴を扱ってます。
お客様の足を採寸して合う靴をご提案し、足にトラブルがある方には中敷や靴の加工もこちらでしています。
今は流行りでスニーカーを履く方がたくさんいらっしゃいますけど、革靴にはスニーカーにないよさがあると思うんですよね。

家づくりと靴づくりってすごく似ているところもあります。
革靴もメンテナンスしながら履いていく。
昨今、SDGsっていう言葉が一般化されていると思うんですけど、そういう観点からも、大量消費じゃないところで革靴のよさを知ってほしいなっていうのはありますね。
かかとの修理とか靴底の全部張り替えとか、内側の傷みがあればそれも修理できるんで。
合皮とか化学繊維の靴だとなかなかそういったことができなかったりするんですよ。
なので、革靴には愛着がわくと思いますね。

―第2回へ続く―

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