游木トオルさんへのインタビュー/第1回「今しかできないことをやる」
フォトグラファーの游木トオルさんにインタビューしました。
早期退職後、50歳にして初めての世界一周一人旅に出たトオルさん。
第1回では、旅に出るまでの経緯について伺っています。
「今しかできないこと」を選んだ先にあったものとは?
動画版はこちら
今しかできないことをやる
ーーいつ頃から世界一周しようと思っていたんですか?
ずっと昔から、そういうのできたらいいなっていうぼんやりとした憧れはあったんですけど、現実的に行動しようかって思ったのは、旅に出る半年ぐらい前かな。
ーーきっかけとかあったんですか?
仕事を辞めて、自由人になって、好きな所へ好きな時に行く、みたいなことをしてたんですよね。
その時、「いつまでもこんなことやってられないな」と思って。
こういう風に自由に動けるのも、あとどのぐらいあるかわからない。
そしたら、「このタイミングで、今しかできないことをやりたいな」と思って。
考えた時に、「やっぱりそれは世界一周だろう」と。
「今だ!」と思って行きました。
ーーバックパッカーになるためというよりは、自由人になりたくて仕事を辞めた結果、バックパッカーになった?
まあざっくり言うとそんな感じ。
自由人になりたくてっていうのもはっきりあったわけじゃなくて、その先どうなりたいかっていうのはほぼ白紙の状態で辞めてますね。
ーー不安とかなかったんですか?
もちろんなかったわけではないです。
だけど、それ以上に、仕事を辞めて別の生き方をしたいっていう思いの方が圧倒的に大きかったんですね。
ーー辞めてみてどうだったですか?
最高です(笑)
仕事がめちゃくちゃ嫌だったっていうわけでもないんだけど、ただ最後の方はあんまりおもしろくなくなってはいた。
解放感がやっぱりすごくて、もう本当に心の底から明るくなったし、自由があったし、生きててよかったって心の底から思えるように段々なっていった感じですね。
ーートオルさんって元検事さんに見えなくて(笑)
検事さんって固いとか厳しいとかいうイメージがあるんですけど、トオルさんはすごく力が抜けてるから。
僕あんまり検事やってましたっていうことを最初には言いたくないんですよね。
なぜなら、検事が今違うことやってるっていう風に思われると、たぶん誤解されるから。
僕の中では元々こういう人間なんだけど、ひょんなことからちょっと変わった世界に入って大冒険してきて、ようやくまた元の自分に戻りました、みたいな感じなんですよ。
先入観なしにまず友達になって、それから「昔何やってたの?」って聞かれて「検事やってたんだよ」って言ったら「えーっ!」ってびっくりされる。
で、「よくこんな人がやってたね」っていう感じになることが割とある。
ーー検事時代も大冒険で、バックパッカーもまた新たな大冒険だった?
そうですね、また意味合いは違うけどね。
検事時代も、当時は大冒険とはあんまり思ってなかったけど、今から考えればね。
自分に合ってる部分もあったし、おもしろいなって思う部分もあったんだけど、こういう自分にしてみればよくやってたな、みたいなところに入っていった。
結局23年もそこで頑張ったっていうのを振り返ってみるとね、大冒険だったなって思います。
世界一周の旅へ
ーー自由人になってバックパッカーで世界一周しようと思った時に、まずどんな準備をしたんですか?
簡単な本があるじゃないですか、「バックパッカー〇〇」っていうようなタイトルの。
世界一周した人とか、バックパッカーやってる人達が書いた本を見たりして、予防接種こういうのがあるんだとか、最低限の持ち物としてこういうのはあったらいいのかなみたいなイメージを持ちました。
準備っつってもね、たいした準備じゃないんですけど。
世界一周とかになると1年ぐらいっていう感じだったから、全部の準備ってできないんですよね。
そこに行ってみなきゃわかんないのがいっぱいあるから、とりあえず目先のことだけを考えて準備して、あとは現地調達的な感じで行きました。
ーー最初に訪れた国はスリランカだったんですよね。
どうしてスリランカだったんですか?
深い理由があったわけじゃないんだけど、その時の僕の発想として、とりあえず行きたい所に行くっていうのがあったんですよね。
順番的には、西回りだったらやっぱり東南アジアとかから行くのが順当なんだけど、興味があったのはスリランカだった。
まずは行きたい所に行ってみようということで、ビューっと飛んで、そっから東南アジアに戻るっていう、ちょっと変則的な経路にした。
ーースリランカどうだったですか?
おもしろかったですよ。
日本とだいぶ違うから、経済状況とか、人の暮らしぶりとか。
すごい刺激でしたね。
国がどうとか、スリランカの遺跡や自然がいいとかっていうのももちろんあるんだけれども、自分にとってバックパッカーの初体験という意味で、いろんな刺激とか感動とかがあって、すごくいい経験でした。
ーートオルさんはスカイマークの機内誌『空の足跡』でエッセイを連載されていて、2023年4月号にスリランカ旅のことを書かれています。
ちょっと失敗体験もあったそうですが、お話しいただけますか?
たぶんあれですよね、最初にツアーに申し込んじゃったって。
宿の人が、主催してるツアーに誘導するわけですよ、商売だから。
僕の中では、そういうツアーとかじゃなくって、自分の足で、ローカルな交通機関を使って行くっていうイメージがあった。
だけど、すごく不安な時に「それは危ないからやっちゃ駄目だ」とかいろいろ言われて、「そうなのか、現地の人が言うんだったらきっとそうなんだろう」みたいに思っちゃって。
~第2回へ続く~
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