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不足?過剰?採用チームの適切な数はどのように測ればいいのか?

求人倍率が上昇し、以前よりも経験者採用の難易度が上がっています。また、ダイレクトリクルーティングなどの採用チャネルが多様化し、採用担当者の業務の幅も増えています。

採用計画に合わせて適切な人員体制を構築できないと採用活動がうまくいかないばかりか、課題を特定するための分析すらできなくなってしまいます

思っている以上に、ここに課題を抱えている企業様が多いと実感しています。

そこで今回は、採用チームの人員体制の目安と役割分担についてまとめました。ご参考になれば幸いです。

執筆者プロフィール

InterRace株式会社VPoS(Vice President of Solutions)
木津和 弘祐

2007年リクルート入社。新卒・中途向けメディア、人材斡旋、RPO事業、事業開発に従事し、マネジメント(課長・部長)、プロフェッショナル職を経験。RPO事業を立ち上げ期より参画し、HR領域の戦略フェーズから母集団形成、選考オペレーションまでのプロジェクトマネジメント、プロジェクトリーダー、コンサルティングを経験。世の中に存在するHRサービスに広い知見と人脈を持つ。2022年にInterRace株式会社に参画。株式会社KITSUWAの代表取締役としても活動。


採用チームの「数」がなぜ重要なのか?

採用チームの工数を正しく把握することは、採用責任者が効果的な採用戦略を組み立てる上での前提条件です。

例えば、採用チームの工数が足りないために十分な採用活動ができず、採用に苦戦しているとします。

自社の採用計画に必要な工数や人員体制を責任者が理解していれば、

「手が回っていない」

とすぐに気づき、業務の一部を外注したり人員を増やしたりして問題解決を図ることができます。

しかし、正しく工数を把握できていないと、人員体制が適切かどうかを判断できず、未達の原因を外部に向けてしまいます。

結果的に何が起きるかというと、

「集客を増やせばいいのでは?」
「チャネルを広げたらいいのでは?」

と、いたずらに採用担当者のタスクを増やしてしまいがちです。

そして、タスクが増えるとさらに手が回らなくなるので、採用担当者は疲弊し未達が続く…という悪循環に陥ってしまいます

ここで非常に重要なポイントは、

・採用現場には「少人数でたくさんの人数を採用する」というウルトラCは存在しない
・採用成功は、採用の責任者が採用担当者の工数や生産性を把握し、選択と集中を行いながら適切な体制を構築できるかどうかにかかっている

ということです。

では、採用担当者の適切な数はどれくらいなのか?

企業規模や募集職種、年間の採用計画によって採用チームの人員体制は異なります。

ただ、目安としては、例えば年間15~20名のキャリア採用を行うスタートアップで、採用担当者が最低1名必要です。

もし年間に50名採用したいのであれば、少なくとも3~4名の採用担当者が揃っていることがスタートアップの人員体制の目安になります。

一方で、大手企業の場合は、年間に20~30名の採用人数に対して担当者が1名必要です。

一般的に、大手企業は認知度が高いので、スタートアップよりも応募数が増える上に選考辞退率が低く選考に進む人も多くなります。

そのため、採用担当者が同じアクションを取ったとしても、採用担当者1名あたりの採用人数は、大手企業がスタートアップを上回ります。

もちろん例外的に、未経験に門戸を広げていたり採用競合よりも明らかに待遇が良かったりすれば、スタートアップでも大手企業並に採用できるケースもあるかもしれません。

こうした例外を除けば、採用担当者1名あたりの採用人数は大手企業とスタートアップを比べると多くて1.5倍くらい差がついてしまう印象です。

なお、ご紹介した目安は、あくまで一定の採用経験を持っている担当者に限ります。

採用経験が少ない担当者が含まれる場合は、立ち上がりに時間がかかるため採用人数は目安よりも下回ります。

また、採用難易度の高い人気職種を採用する場合も採用担当者1名あたりの採用人数が下回る可能性があるでしょう。

この点を踏まえて採用チームの体制を設計しないと、十分な打ち手が実行できず、採用成功から遠ざかってしまいます。

自社採用チームの工数を把握する方法

そのような前提で、自社に必要な採用担当者数はどのように把握すればいいでしょうか。

何年もキャリア採用を行っている企業であれば、過去の採用実績を採用担当者の人数で割って1名あたりの採用人数を算出することができます。

例えば、昨年は50名採用していて、採用担当者が3名だった場合は約16名の採用に対して採用担当者1名になります。

今年の採用計画が65名の場合は、「60÷16=4.06名」になるので採用担当者がもう1名必要だと判断することができるでしょう。

ここで気をつけていただきたいのは、人員の目安はキャリア採用専任が前提ということです。

当たり前と思われるかもしれませんが、実際に

キャリア採用担当者が新卒も兼務していたり研修も担当していたりして、キャリア採用は100%稼働ではなかった

というケースはよく見受けられます。

例えば、採用担当者3名のスタートアップで30名を採用していれば、「採用担当者1名あたり年間10名採用」なので体制にゆとりがあると言えます。

しかし、50%しかキャリア採用に工数を割けない採用担当者3名であれば1.5名で年間30名採用なので、「採用担当者1名あたり年間20名採用」となり1名あたりの採用人数はかなり多くなります。

正しい工数把握ができるかどうかで評価が大きく異なるため、頭数だけで判断しないことが重要です。

採用体制はどう作れば良いのか?

採用体制は、リクルーターとオペレーターがきちんと分かれており全体を把握できるリーダーやマネジャーがいることが理想的です。

オペレーターは面接の日程調整が業務の中心で、リクルーターは転職エージェントや候補者の方とコミュニケーションを図ったり、面接を行ったりする役割です。

年間50名くらいの採用であればリクルーターは2~3名程度必要ですが、オペレーターは1名で十分でしょう。

リクルーターが複数いる場合は、職種・チャネル・部門のいずれかで役割を分担するケースが一般的です。

メーカーは部門ごとに職種が決まっているのでリクルーターを部門ごとに分けますが、スタートアップでは1部門に様々な職種が含まれるので、職種ごとにリクルーターを分けているケースが多いと思います。

また、転職エージェントやスカウトなど、得意なチャネルでリクルーターを分けると強みを活かすことができますが、各チャネルの採用ポテンシャルの見極めが難しくなるので注意が必要です。

見極めが不十分だと、小規模しか採用できないチャネルに多くのリソースを費やしてしまったり、採用ポテンシャルが高いチャネルにマッチするリクルーターを置けないなど採用の効率化ができなくなる可能性があります。

そのためスタートアップでは、より効率的に採用活動を行うため、スカウト送信や転職エージェントとの調整はその分野に長けた業務委託を活用するケースも多く見られます。

採用担当者の工数が足りない場合は?

採用計画に対して採用担当者の工数が足りていない場合は、経験者を採用するか、未経験者を異動または採用して育成しなければなりません。

すぐに人員をアサインすることが難しい場合は他部門に協力を仰ぐか外注という選択肢になります。

他部門に協力を仰ぐ場合は、まず採用担当者の業務を分解して他の人に依頼できる業務がないか探すことから始めます。

例えば、人事が対応している一次面接やカジュアル面談、スカウト送信を、現場に任せるという方法があります。

また、オペレーション業務はアシスタントに依頼して採用担当者は採用のコア業務のみに集中することでリソース不足をカバーできることもあります。

ただしキャリア採用は、新卒採用のように決まった時期に採用活動を行うことができないため継続することが採用成功のカギです。

業務を依頼した部門が繁忙期に入ってしまうと採用活動の優先順位が下がって片手間になったり、業務が止まったりするデメリットも認識しておく必要があります。

他部門に業務を分散してもまだ工数が足りないのであれば、外注という選択肢になります。

ただ、採用業務を切り出して複数のパートナーに依頼すると、想定以上にコミュニケーションコストがかかり逆に工数を割かれてしまうというジレンマが発生する可能性もあります。

いきなり複数のパートナーに外注せずに、様子を見ながら少しずつ社数を増やすようにしましょう。

なお、エンジニアに代表される採用難易度の高い職種は、候補者インサイトを理解することが大切であり、探し方やアプローチにも専門知識やテクニックが必要なもの。

そのため、初めから外部に依頼して知見やスピードを買う方が効率的な場合もあります。

特に採用担当者がターゲット職種の専門用語を理解できていない場合は迷わず外注した方が効果的かつ効率的だと考えられます。

さいごに

今回は、採用にウルトラCはなく、十分な体制を組むことが重要であるということ、またその体制の組み方の概略についてお話させて頂きました。

特に採用や採用対象職種に精通したリクルーターを確保することが非常に重要になります。もし企業内部だけで対応ができない場合は、ご遠慮無くぜひご相談ください。

なお、私の所属するInterRace株式会社では、採用の課題抽出から採用戦略・戦術設計、運用・稼働までトータルでのご支援を行っております。

一気通貫でのご支援、パーツごとのご支援、プロのリクルーターを派遣するようなご支援、あるいは正社員のプロ人事をご紹介するようなご支援など、お客様の課題に沿ったご提案をフレキシブルに行い、お客様の採用成功に日々伴走しております。

ディスカッションだけでも歓迎しておりますので、気になることがあれば、お気軽にご相談いただければ幸いです。情報交換も歓迎です。

それでは、最後までお読み頂きありがとうございました!


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