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同時通訳者が『英語のハノン初級』をやってみる

 先日ご紹介した『英語のハノン初級』、自分でもやってみています。

 Zoom仕事が増えて引きこもり?とはいえ、出かける時は確実に車の移動なので、移動中に音だけ聴きながら繰り返しています。

 確かに文章は中学文法の最初のあたりなので簡単です。英語のプロが分からないようなものではありません。ですが、naturalスピードでやると一瞬の迷いが致命傷になってもう次の文が始まってしまう……とても慌てます🥴

 この慌てる、というのは脳に相応の負荷がかかるので、ハノンのような反復練習には特によいと思います。効果が倍増するでしょう。ササッと口に出すことができる、ということは、見て分かるだけの受動的知識ではなく、自分で自在に使うことの出来る能動的知識だということです。その差を埋めることが英語を話せるようになる一歩だと本文に書いてあります。英語のプロとしてまったく同意です。

 本書のドリル練習は、最初は本の英文を見ながらslowで練習を繰り返し、その後慣れてきたらnaturalスピードに切り替えてさらに練習を繰り返す。そして、次には本を見ないで同じことができるように練習し、最終目標は本を見ずにnaturalスピードですらすら言えるようになることだ、と書いてあります。

 ドリルの基本構造は、1) 新たな語句を次々に代入する連続ドリル、2) 指示にしたがって文を変換する1/2/3段階ドリル、となっており、次々に指示通りKey Sentenceを変換していくようになっています。ただの繰り返しではなく、ここが初心者にとても効果が高いと思います。例えば三単現のs、初心者の方は慣れずに付け忘れることが多いのですが、ハノンでは時間制限のあるドリルで意識せずに自動で付けられるようにトレーニングすることができます。疑問文に変える、否定文に変える、といった変換を指示されることもあるので、日常会話でスマートに話すことに第一歩になるでしょう。中高生は英文法をしっかり身につけることができます。

 本当に素晴らしい教材ですね!
もし私が高校生の時にハノンがあったら、自転車通学時にブツブツ英文を口に出しながら間に合わずに地団駄を踏む、とてもアヤシイ学生だったことでしょう。

 この本は、
1. 中学英文法があやふやな初心者
2. 学校で英語を習っている中高生
3. TOEICなど資格試験のスコアは高めだがスピーキングが苦手な中級者
4. 英語を仕事で使う上級者
などほぼ全レベルの方にお勧めできる教材です。この中で上級者には強いて言えば私のように英語を常時使う人のウォームアップ、という使い方でしょうか。

 今、私がやっているのは、
・初見(例文をまったく見ずに音だけでやっている)
・車の運転中(使える意識量の制限)
・例文をシャドーイングして直後に自分も変換した英文を口に出す
という通常より負荷をかけた状態で繰り返しています。とにかく英文がどんどん続くので口慣らしにちょうどいいです。なにせ本業が通訳で英語日本語をどんどん口に出すことなので、仕事前のウォームアップにちょうどいいんですね、これが。初級ではこれだけの負荷でもほぼ言えますが、これから中級へと進み、そしてまだ出版されていないけど上級も出る予定のようなので、とても楽しみです。

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